基本的な経営者の視座!

Posted by 秋山孝二
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 現代は、日本のマスメディアに掲載されなくても、インターネットの世界で外国紙のインタビュー記事を読むことができるので、日本国民にとっても有難いことですね。外国記者の質問は、日本の窮屈な記者クラブの縛りもないのか、率直であり、それ故にか答えもシンプルで分かりやすい場合が多いです。以下のやり取りも、質問が引き出した功績でしょうね。

~~~[東京 18日 ロイター]~~~~~~

―-脱原発路線を強力に主張する異色の地域金融機関トップとして知られる城南信用金庫(本店・品川)の吉原毅理事長が、ロイターのインタビューに応じ、原発コストが安いというのは将来負担を無視した国家ぐるみの粉飾決算に近いとの見解を示した。

また、新エネルギーの開発が新しい経済の活力を生み出すとの持論を展開した。

東京・神奈川を地盤に信金業界2番手の総資産3兆6000億円を持つ同信金は、地銀中位行に匹敵する規模を誇る。そのトップとして、金融業とエネルギーの政策のかかわりあいに関し、どのような本音を持っているのか聞いた。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3H06620140418?fb_action_ids=496454680454663&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_obje

~~~~~~~~~~~~~ 引用 おわり

 経済界に身を置く私としては、特に以下のコメントに賛同します。

* 原発のコストの方が低いという人で、いやしくもビジネスマンや経済に携わる者ならば、会計の原則ぐらい勉強していただきたい。コスト計算には、直接原価と間接原価があり、そこで総合原価計算が行われる。原発は、今あるウランを使うだけならば直接原価は低い

* では、その結果の間接原価はどうなのか。将来の廃炉費用や、使用済み核燃料の保管料や処理費用、工事費や人件費、地代がカウントされているのか。カウントされていない。われわれは今、時価会計で、将来に発生するキャッシュフローをすべて現在価値化し、負債計上している。原発にはそれが入っていない

* 1回事故が発生したら、天文学的なコストがかかる。貸し倒れ引当金の積み立ての考え方を入れれば、とんでもない引き当てを積まなければならない。これは、不採算というのではないか。国家ぐるみの壮大な粉飾決算だ

 以上のことは、経営のイロハです。新規事業プランでも、ニーズがあるからとか、喜ばれるから、だけでは「事業」としては成り立ちません。誰からお金を頂けるのか、維持管理費を含めて持続可能なのか等の考察もないと、とても「事業案」としては成り立ちません。思い起こしてみれば、これらは直接金融・間接金融含めた金融機関から言われ続けた指摘ばかり。今の日本の金融は、そんな本来の価値創造の視座をかなぐり捨てて、ひたすら手数料商売で利益を計上している歪んだ姿です。保険会社、再保険会社、金融機関のリスク査定からみても、上記の吉原理事長のご指摘はまさに正論です。

 城南信用金庫の吉原毅理事長については、3年前の9月にこちらで書いています

――>http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=10232