よみがえる江田島教育

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 井上正美さん(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=11026)の新著、「企業経営におけるMSの真実」は、戦前の最後のエリート教育・「海軍兵学校の教育」を基礎に、戦後の企業経営の現場で活躍された著者の貴重な記述です。伝統的に日本社会の根幹にあった哲学の再評価と受け止めることもできます。

 戦後の高度成長を担った時代のリーダーたちは、これらのエリート教育を受けた方々だったのであり、それに比べて現在の20年を越える日本経済の体たらくを直視すると、私はこの閉塞した期間の経営者たちの見識に大いなる疑問をいだき、近代の歴史観欠如ほか、「戦後教育の限界」みたいなものを感じる昨今です。

井上正美さんの第二冊目の新著

井上正美さんの第二冊目の新著、戦前・戦後をつなぐ日本の「技術論」

  「海軍兵学校」については、これまでいろいろ書き留めてきました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%85%B5%E5%AD%A6%E6%A0%A1)。

 この著書では、見開き2ページで完結する記述になっていて、学生にとっても大変読みやすい配慮を感じます。また、各章の冒頭には、「起」、「承」、「転」がまとめられて、その「結」がメインでその後に記載されている構成です。そして井上正美さんのメッセージは、最後144ページの最後の6行にまとめられています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・・・。我が国の戦後史は「対米従属」と「自主路線」対立の70年であったが、筆者が拘わる「我が国のISO導入事象」は、小さくはあるがその縮図とみるのは大げさであろうか。畏友・大木浩は、巻頭言の推薦文の中で、「我々世代は国家の盛衰を重く視る傾向が強い」と述べている。企業が持つ自前の管理の仕組みが、国際規格からあらぬ影響を受けて信頼を失っては、企業百年の大計に支障をきたすのではないかと心配になる。マネジメントシステムも自主路線へ早急に復帰することを願いながら筆を擱く。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 と、ここまで書いた所で、私は昨今の「憲法改訂」論議を思い出します。私は決して今の日本国憲法を変えて「自主憲法(?)制定」などという立場ではありません。全く逆の「憲法擁護」論を支持します。憲法論議においては、今の憲法を強引に変えようとする勢力こそ「対米従属」なのですから。終戦直後、今の日本国憲法を制定してからすぐに、アメリカは講和条約調印の1951年以来、一貫して憲法改悪の圧力をかけ続けてきたのが、まさに戦後の日本の歴史です。軍事力でも核問題でも、アメリカはその自国の財政への圧迫を避けるために日本に肩代わりさせる意図は明確で、その環境整備のための「憲法改悪」です。この件については、また別の日にしっかり書いてみたいと思います。

 要するに、戦争責任とは別に、今の日本社会には健全なエリート教育が必要な気がするのです。敗戦まで長い間機能していた日本社会のリーダー養成システムが解体し、戦後は装置として、日本的な伝統・文化・技術等の全否定からスタートしたのではありませんか。そして、本来のエリートたちを戦争で多く失い、戦後のリーダーたちはごく一部の優れた人々を除き劣化していた、高度成長期を支えたのはまさに井上さん達のような若手世代だったのではないでしょうか。

 昨今の企業の現状を見るにつけて、私は新自由主義的な「人的資源の軽視」を強く感じるとともに、今こそ大切なのは、この著書にある日本的マネジメントシステムの再評価であり、人を育てる資本主義なのだと思います。

優しさあふれる金森浩太の音色

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

  高校の在東京の同窓会、「東京六華同窓会:http://www.tokyorikka.jp/」は、100年を越える歴史がありますが、その中で、比較的(?)若手が中心になって毎月懇話会「六華サロン:http://www.tokyorikka.jp/rikkasalon/rikkasalon.html」を開催しています。今月はギタリストの金森浩太(http://blog.livedoor.jp/bubbleguitar/さんでした。

彼の人柄が伺えるワンショット!

彼の人柄が伺えるワンショット、面白いお話でした!

「そっと響くインストゥルメンタル」

「そっと響くインストゥルメンタル」

 彼の自己紹介から~~~~~~~~~~~~~~~~~

 小学5年で出会ったビートルズに衝撃を受け、翌年よりエレキギターを始める。
 数々のバンドで活動中、偶然手にしたクラシックギターの「あたたかい音色」に魅かれ、
 2003年より独学でクラシックギターを始める。
 2007年、下北沢mona recordsをはじめカフェ等での演奏活動をスタート。
 2009年10月「白い花」が国連ウィーク2009CMソングに抜擢。
 2010年4月14日アルバム「つむひかり:http://www.mona-records.com/shop/item/post_120.php」全国リリース。
 2010年12月8日リリースの下北沢mona records発コンピレーションCD
 「モナレコードのおいしいおんがく〜旅のスケッチ〜:http://www.mona-records.com/shop/tabisuke.php」に「つみき」収録。
 2012年2月8日セカンドアルバム「雨上がり、すみれ色:http://www.tsumikirecord.jp/sound」全国リリース。

 

* 2009年10月に国連ウィーク2009のCMソング(http://www.youtube.com/watch?v=sl3op0Mi-to)に抜擢 された「白い花」

 札幌市内でもBGMライブ演奏(http://sapporo.information.jp/?p=3636)で活躍しています。今年2月の「六華交流会」でも短い時間でしたが、優しい、癒しの演奏を披露してくれました。ビートルズと出会い、小学校からエレキギターを弾き、やがて独学でクラシックギターへと進化して、独特の音色を奏でていますね、これからのご活躍を期待しています、頑張って!

「あの日」生まれた君たちへ

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 「君の椅子プロジェクト(http://www.asahikawa-u.ac.jp/page/kiminoisu_project.html)」の趣旨に賛同して、これまで孫が生まれると椅子を注文しており、先日3人目の「彩由美の椅子」が1歳の誕生日前に届きました。

1歳の誕生日前に届いた「君の椅子」の前で

1歳の誕生日前に届いた「君の椅子」の前で

「彩由美の椅子」です!

「彩由美の椅子」です!

 2年前にもこの欄で書きました、(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=10862)。

 「君の椅子」プロジェクト代表の磯田憲一さんは、HPで次のように語っています。

~~~~~~~経済性や利便性だけでなく、地域社会の優しく、柔らかなネットワークを少しでも取り戻していきたい、そのためにひとりひとりがそれぞれに小さな取組みを重ねていく、そんな思いを込めて私達は「君の椅子」プロジェクトを立ち上げ、その一歩を踏み出しました。北海道という地域の持つ財産とその潜在力を活かして、「新しい生命」、「新しい市民」の誕生を暖かく見つめ支え合う地域コミュニティ、その再生の火を灯す役割を担いたい、それが私達” 君の椅子プロジェクト”の願いです。~~~~~

 2011年3月11日を経て、「希望の『君の椅子』プロジェクト:http://www.asahikawa-u.ac.jp/page/kibounokiminoisu_2011.htmlも立ち上がりました。3月11日に私たちは多くの命を亡くしましたが、その日、あの東北地方で104の新しい「いのち」が生まれたのです。お名前を確認できた98人の子供たちのもとへ、98脚の「希望の『君の椅子』が届きました。受け取った方々がそれぞれの手記を寄せられて一冊の本になっています。

「君の椅子」プロジェクトに寄せられた手記

「君の椅子」プロジェクトに寄せられた手記

 「被災地に寄り添う」、「3・11を忘れない」、そんな言葉がメディアで上滑る中、自分たちのフィールドから豊かな発想によってメッセージを発信し活動を続ける、本当に素晴らしいことですね。ただ「椅子を買い求める」消費行動ではなく、「思いを寄せる」運動への参加と言えましょうか。

 磯田憲一さん、旭川の木工デザイナー他、プロジェクトを支える皆さんに心からエールを送ります。

社会イノベーター公志園

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comment: 1

  「社会イノベーター公志園(http://koshien-online.jp/)2012」って皆さんご存知でしょうか、現在の世界、世界の中の日本、日本の地域社会・コミュニティの現状に対する大きな危惧 から生まれたイニシャティブです。

 昨年これに参加して決勝大会に進出した坂本純科(http://koshien-online.jp/sakamoto/)さんは、「NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト:http://ecovillage.greenwebs.net/」 の理事長です。数年前に、秋山財団の「社会貢献活動助成」でも採択になりました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6215)。彼女は、1991年北海道大学農学部卒、札幌市環境局に勤務し、2004年に退職、2006年からエコビレッジを訪ねてヨーロッパを旅した後、2009年から北海道にエコビレッジ建設を目指して塾を立ち上げました。今年から、秋山財団の選考委員としてもご活躍されています。

 この「公志園」が対象としているのは、プログラムに直接出場する社会イノベーターたちだけではありません。むしろ、そうした社会イノベーターの応援者、支援者、さらにはこのプログラムの成り行きを見守る一般の観客も、とても重要なプレーヤーです。高校野球に例えると、甲子園は、球児にとっては、地域や全国の様々な人々から応援を受けることで成長する「場」ですが、応援する側の人々にとっても、勝ち負けにかかわらず、球児が全力で戦う姿を見ることで、共感、感動、気づきを得る「場」でもあるのと同じですね。

 DVDで見ると、昨年の一連の活動プログラムを通じて、社会イノベーターの公の志に触れる一般観客や応援者が、地域、日本、さらには世界が抱える経済社会課題への問題意識を深めてゆく、同時に、事業としても成り立ちうるような問題解決アプローチの可能性に関心を持つ。自分自身が持つスキルやノウハウ、周囲にあるリソースを、どのような形で活用することで、世界、日本、地域に役立つ何を創出できるかに思いを巡らす。当初は「三人称」で受け止めていた課題について、「一人称」で自分に置き直して考えてゆくことで、自分なりの貢献に向けての主体性を高める・・・。公志園における観客・応援者の学び、気づき、発見が、日本全体における社会イノベーションへの機運の健全な高まりを醸成する新しい「装置」のような気がしました。

 さらにHPでは続きます~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「公志園」プログラムは、従来にない、「クロス・セクター」での人の協働を誘発することで、地域、さらには日本全体における社会イノベーションを加速する触媒でもあります。

 高校野球の甲子園大会においては、準備を進めるなか、球児や学校を応援する保護者、商店街、地域コミュニティ、地元企業、さらには行政など、まさにクロス・セクターでの支援・応援の輪が広がり、地域における社会関係資本が蓄積され、開花するきっかけを提供します。甲子園は、野球を超えて地域を元気にするのです。

 同様に、「社会イノベーター公志園」も、地域、さらには日本全体を活性化します。公志園のプロセスと場には、市民、ビジネス、行政、大学セクターなどから、様々な背景をもった人々が、全国大会参加の社会イノベーター、伴走者(メンター)、支援者あるいは一般観客として、関与していきます。社会イノベーターの公の志と、事業への取り組みが、セクターの垣根を越えて人々の共感を呼び、立場や利害を超えた信頼と賞賛の人間関係を創り出します。

 こうした人間関係が、NPO/NGO組織に対する企業CSR・フィランソロフィーという器を通しての支援、行政主導の企業や市民セクターを巻き込んでの公民共創という、ともすれば表層的・形式的になりがちな連携を超えた、真の「ソーシャル・アライアンス」を促進し、地域で、そして日本全国で、社会イノベーションが誘発される基盤を形成します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~HP からの引用 おわり

 

 新しい時代は新しい仕組みと新しい担い手によって創造される、以前から私自身が模索していた「プラットホーム」のモデルがこの「社会イノベーター公志園」にあります。北海道でも「志」のある企業、市民活動セクター、行政等とこの種のイニシアティブを立ち上げたいものです。一番眼を覚ましてもらいたいのは、地元経済界を形成する「企業の経営者」たちですね、ただ高齢者のノスタルジア・サロンではどうしようもありません!

道新に掲載されました!

道新に掲載されました

 この5月から、札幌市南1条西5丁目愛生舘ビル(http://aiseikan.net/)6階に、「会員制・愛生舘サロン」を開設します、後日興味のある方にご案内致しますので宜しくご参画をお願い致します。

「ボストンマラソンでの爆発」と聞いて

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 「ボストンマラソンでの同時爆発事件」と今回ニュースで聴いて(http://edition.cnn.com/2013/04/15/us/boston-marathon-eyewitnesses/index.html)、私は昨年7月に訪れたコプレイプレイスのフィニッシュ地点をすぐに思い出しました。

道路に書かれた「FINISH」の文字、コプレイスクウェア

道路に書かれた「FINISH」の文字、コプレイスクウェア

左が図書館で、その少し手前が「FINISHライン」

左が図書館で、その前が「FINISHライン」

 昨年この欄(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=13537)に書いたマリアにすぐにお見舞いのメールを送信しましたが、今現在、返信はまだ届いていません。たとえ家族はご無事でも、精神的な不安を察するに、何とも慰めの言葉も持ち合わせません。

【追記:19日】 昨日(18日)夜に、ボストン近郊に住むMariaからメールがきました。無事ではあったようですが、間一髪の事件、地元の方々への影響は測り知れません。

We are all well.  Isla was at a baseball game and was on the subway at the time of the bombings, and her train was evacuated two blocks from the bomb site about 3 minutes after the first bomb went off.  She was very frightened but otherwise unharmed.  We are all so sad about the events, and we hope they figure out who did this soon. ・・・・・

 

 亡くなられた方々には心からお悔やみを申し上げると同時に、今入院されている方々のご回復を祈るばかりです。本当に衝撃的であり、難しい時代を生きていることを実感致します。

【追記】 4月25日Facebookに掲載です:

http://beforeitsnews.com/conspiracy-theories/2013/04/boston-marathon-crisis-actors-2450330.html

(株)アミノアップ化学のエコ新棟

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comment: 1

 (株) アミノアップ化学(http://www.aminoup.co.jp/companyprofile/の小砂憲一会長を久しぶりに訪問しました。2年前に完成した工場の新棟は、環境技術を70項目以上結集した究極のエコ建物。さらには、これまで社会貢献に著名な功績を残した歴史上の人物像も建物随所に配置されて、小砂会長の遊び心に思わず笑ってしまいました。旺盛な研究開発への意欲と同時に、ウイットに富んだ小砂さんのお人柄、昔に初めてお会いした時のいたずらっぽい姿は今も変わっていません、失礼しました、高校の大先輩に対して!

環境関係の数多くの表彰受賞

環境関係の数多くの表彰受賞

 http://www.aminoup.co.jp/companyprofile/social_environmental.php

<エコハウス棟>

2011 年9 月に70 の環境技術を持った、アミノアップ化学の新社屋が完成しました。省エネルギーシステムを採用し、自然エネルギーを最大限に活かすことで、CO2 の50% 削減などの高い環境負荷低減を目標としています。

「NATURE」にも記事が掲載!

「NATURE」にも記事が掲載!

 

小砂社長の部屋:自然エネルギーの冷暖房システム

小砂会長の部屋:自然エネルギーの冷暖房システム

  オードリー・ヘップバーンあり、チャーリー・チャップリンあり、幅広く活躍された方々をモチーフにした人形が、ロビー・廊下に配置され、私たちを歓迎しています、実にユニークで、思わず笑みがこぼれます。

廊下には社会貢献に尽力された歴史上の人物たち

廊下には社会貢献に尽力された歴史上の人物たち

皆さん、建物の中に「生きて」います!

皆さん、建物の中に「生きて」います!

 

 「究極のエコ」って、その神髄はこのような「楽しさ」と「心地よさ」なのでしょうね、小砂会長はそうおっしゃりたいのだと私は勝手に解釈しました!

名前に見る時の流れ~

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 先日、私が評議員をつとめる公立高校の入学式がありました。その320名の「入学生」名簿、生徒の名前を見て時の流れを感じましたね。

 何かと言えば、私たちの時に「主流」だった名前の漢字が殆ど見当たらないのです。まずは、最近かなり慣れてはきましたが、男女混在のアイウエオ順名簿に違和感があり、次は男子名で「」がつく生徒はゼロ、末尾が数字の生徒はわずか4名でそれもすべて「」、私のように「」がつく子は一人もいませんでした。女子名では、私たちの時代は一般的だった末尾の「」は、わずか10数名で女子生徒の1割程度しかいません。

 人気の漢字は、「」、「」等でしょうか、名簿から拾ってみると以下のような感じです。

風太、陸、翔、唯菜、萌花、春香、中、友、大、海、しずく、すずか、こゆき、かれん、春菜、春凪、柚乃月・・・・・・・

ひと昔前の映画・舞台俳優の芸名のような凝った名前が多いですね、親族の多彩な「思い」が込められています!

 ところで、私の兄弟と言えば、「せつ」、「一男」、「孝二」、親の愛情には変わりはないとは信じますが、何ともオールドファッションと言えなくもない、私の子と言えば「基」、「晃」、「彩果」、「久」、入学式で式次第の名簿を見ながら、生徒氏名を読みあげる担任の先生も大変だなと、ふとそんな思いに耽ったひと時です。

「原発のリスク」を問いなおす

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 二つ前のこの欄に、「飯館村」のフォーラム<基調講演>「原発災害とリスクコミュニケーション」について書きました。これまでの原発リスクに対してのアプローチが、「説得」と「教育」の「リスコミ(リスク・コミュニケーション)」でなされていたこと、それがパターナリズムが横行して「スリコミ!」に転落していった経過等、この間の「原子力ムラ」の体質を見事に説明していました、と。鬼頭秀一(http://kitoh-lab.org/)先生の震災から半年の資料(http://kitoh-lab.org/assets/files/MedicalPhilosophyEthicsPPT.pdf)が興味深いとも。

 2011年3・11以降、メディアからのメッセージで私自身、体にスッと入ってくるもの、いわゆる「腑に落ちる」類と、それに反して何となく「違和感」を持つもの、喉につかえるいずいもの(?)とを感じていましたが、今回、その理由が分かったような気がするのです。違和感と言えば、「フクシマ原発事故では一人も死んでないではないか」と言い放った評論家の言は、その最たるものでした。

 NHK・ETV特集「原発のリスクを問い直す:http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2013/0406.htmlは、アメリカの原子力規制の元トップ、グレゴリー・ヤツコ委員長が福島県浪江町の原発被災者を訪問し、さらに政府事故調、国会事故調関係者と意見交換を追いかけての番組でした。

グレゴリー・ヤツコ前アメリカ原子力規制委員会・委員長(NRC)

アメリカ原子力規制委員会・グレゴリー・ヤツコ前委員長(NRC)

 

<従来の原発リスク>

* これまでの「原発リスク」は、「死亡率」を基本としたもの。今回、「死亡だけが原発被害なのか」という大きな問題提起

* 15万人を越える避難している住民をどう受け止めるか、「今、健康被害が無い」だけで原発の安全性を語ってよいものか?

* ノーマン・ラスムッセン教授: 技術者は自分の想定する範囲でしか事故の可能性は捉えられない

* グレゴリー・ヤツコ委員長: 日本では大勢の人々が住む土地を追われ、人生と未来を奪われたまま

ノーマン・ラスムッセンMIT教授

ノーマン・ラスムッセンMIT教授

グレゴリー・ヤツコさんと浪江町前町長の馬場有さん

グレゴリー・ヤツコさんと浪江町前町長の馬場有さん

 

<ヤツコ氏が感じる被害者の視点>

* 事故後の重要なのは、被災者のことを直視し考えること、被災者の声を聞いてはじめてこの悲しみを理解できる

* 人々が故郷から引き離される事態は決して容認できないこと、電力供給と引き換えにこのような事態があってはならない

* 今までとは違う「原発の安全基準」が必要だと強く考えるようになった

* 大規模避難の危険はないと保証できる場合のみ原発の稼働を許可すべきである、それが最終目標であり正しい道だと、ここを訪れて本当に実感した

 

<国会事故調の報告を読んで:メンバーとの意見交換>

* 「人災」と言い切ったことに注目

* 誰が改革の担い手となるのか、非常に難しく継続的な人材育成が必要 (日米で共通)

* 原発の安全を考える上で大きな問題は、事故を「確率論」で考えてしまう事、「百万分の一の確率」というのは、百万年に一回しか起こらないという意味ではない、「20世紀のリスクの考え方:ラスムッセン理論」

* 規制機関は「起きる確率の低い」事故に目を向け難しい決断を下さなければならない

* 「信頼」を得るというのは地道な努力の積み重ねだが、失うのは一瞬

* 日本の原子力技術者は、スリーマイル事故後、ライバルがいなくなり、イノベーションもなく傲慢になっていった(田中三彦)

これまでの安全基準の記述(一部)

これまでの安全基準の記述(一部)

 

<浪江町住民アンケートより>

* なぜ原発が完全に収束していないのに10キロ圏内に戻そうとするのか、国の方針なのか町の方針なのか、疑問に思う

* 原発がある限り戻りません、完全に東電が更地になったら戻ります。その頃にはこの世にいません

* 一部の平たん部のみの除染では安心して子育てなど無理でしょう。また近くに現状の原発がある限り、安全な地域とは到底理解できません。国、東電、自治体、本当に信頼できません

* 国・県・町の判断で帰って大丈夫と言われても、安心して帰ることはできない。人命や健康被害を最優先し、金や特定の人々の利害やもくろみ等により誤った判断が下されることのないよう良識ある判断をして頂きたい

 

<今回の視察・面談を終えて> 

* 本当の意味での住民との「新しい契約」が必要です、社会に重大な影響を与えるような事故を決して起こさない、大量の放射能物質の放出や、住民の大規模避難を許さない、という契約です

* 原発の安全の新しい考え方で、必ず実行すべきだと思います、「21世紀型の安全基準」

* 原発事業者や政府には責任があるのです、周囲の住民に甚大な被害を与えてはならない「責任」が生まれるのです

* 福島の事故は、住民との契約が欠かせないということを明らかにしました

 

 以前から注目していたグレゴリー・ヤツコ氏の数々のコメントは、責任ある立場にいた方の示唆に富むものでした。フクシマの教訓を今後に活かしていく中心に、日本のポジショニングがあると確信しているのですが・・・・。日本人だけではこれまでのしがらみが強すぎて変革が難しいのであれば、世界の英知を集めて「原発のリスク」を問い直す「場」の創設に邁進すべきだと思いますね、日本の果たすべき役割は大きいです。

新年度、4月を迎えて

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 平成25年度がスタートしました。いつも横切る北海道神宮駐車場には、これまでに見たことが無い程の観光バスが停まっていました。ほとんどが中国語の観光客、残雪を見ながら歓声を挙げて大喜びでした。

次々とバスが停まる北海道神宮、中国語ばかり

次々とバスが停まる北海道神宮、中国語ばかり

 一方、FBでは湯浅誠(http://yuasamakoto.blogspot.jp/)さんのメッセージが飛び込んできました。高校生の企画による国会議員との意見交換の場(http://hgst-pw.tumblr.com/)です。彼のコメントから引用します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用 はじめ

「僕らの一歩が日本を変える。」のイベント「高校生100人✕国会議員Vol2:http://hgst-pw.tumblr.com/」に助言者として参加。ほぼ全政党の党首・幹事長クラスが挨拶にくる、ランチタイムから午後のセッションにかけて50人程度の国会議員が入れ代わり立ち代わり議論・交流にくる、企業から協賛金を得て全国25都道府県から高校生を招待してしまう、大量のマスコミが取材にくる。どれをとっても「私にはできない」と圧倒された。
外形だけでなく、高校生のディスカッションのモードにも驚いた。ほとんど誰も「理想的だけど、それどうやってやるの?」というようなことを言わない。みんなが「課題の難しさ」を前提にした上で、その上でどうするか、という提案をする。そこが「夢がない」「とんがってない」と、この世代が批判される原因のようだが、いかに難しさをシェアした上で共同して知恵を絞る文化を醸成するかが課題と思っている私のような人間からすると、感慨深かった。考えてみれば、今の高校生は1990年代半ば以降生まれ。生まれてこの方デフレ、人口減少、少子高齢化がデフォルトになっている世代。あたりまえなのかもしれない。
終了後、NHKに「今日の高校生の議論を大人たちはどう受け止めるべきか」と聞かれ、「大人が大人にならなきゃいけないということじゃないでしょうか」と答える。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり

 最後のフレーズに共感します!

 新しい年度が始まりました、どの職場でも新しい体制がスタートし、何とかこの閉塞する社会を変えていきたいですね!

飯舘村の今、これからの課題

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 2

 「飯舘村放射能エコロジー研究会http://iitate-sora.net/」が主催する東京シンポジウム「原発災害と生物・人・地域社会~福島の事故でわかってきたこととこれからの課題」が、東京大学弥生キャンパス・農学部講堂で開催され、300名を越える参加者で大盛況でした、当日の様子はこちらから(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/71433)。

 第一部は<放射能の生物影響と初期被曝量評価>と題して、現地での地道な活動とこれまでの専門分野の研究を重ねての発表。イネ、シジミチョウ科ヤマトシジミ、野生動物等の被曝被害で、大変内容の濃い、また専門外の人間にも分かりやすいお話でした。これらの研究者の方々は、日々の研究活動において、ごく普通の市民・住民と触れあい、議論をしているのでしょう、究極の「アウトリーチ」ですね。いや、やっぱりこの言葉は不適切ですね、「イン」でも「アウト」でもない、まさにこの飯舘村が研究フィールドそのものなのですから。

 <基調講演>の「原発災害とリスクコミュニケーション」については興味深かったですね。これまでの原発リスクに対してのプロパガンダが、「説得」と「教育」の「リスコミ」でなされていたこと、それがパターナリズムが横行して「スリコミ!」に転落していった経過等、この間の「原子力ムラ」の体質を見事に説明していました、是非、鬼頭秀一(http://kitoh-lab.org/)先生の論文(http://kitoh-lab.org/assets/files/MedicalPhilosophyEthicsPPT.pdf)を検索して読んで下さい。

東京大学本郷キャンパス・安田講堂

東京大学本郷キャンパス・安田講堂

様々な視点からの被曝影響アプローチ

様々な視点からの被曝影響アプローチ

第1部(10:10~12:10)
放射能の生物影響と初期被曝量評価

座長 
小澤祥司/NPOエコロジーアーキスケープ 

「飯舘村全域を対象とする放射能汚染と初期被曝量評価の試み」
今中哲二/京都大学原子炉実験所 
「飯舘村での低レベルガンマ線場を用いたイネの遺伝子発現実験の報告」
ランディープ・ラクワール/筑波大学大学院生命環境科学研究科
「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」
大瀧丈二/琉球大学理学部
「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被曝モニタリング」
石田健/東京大学大学院農学生命科学研究科
「福島県に生息する野生ニホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況について」
羽山伸一/日本獣医生命科学大学獣医学部

◆基調講演(13:30~14:00)
「原発災害とリスクコミュニケーション」
鬼頭秀一/東京大学大学院新領域創成科学研究科

◆第2部(14:00~15:30)
村民の思いと現状報告
座長 菅井益郎/國學院大学経済学部

「全村避難から2年 飯舘村民からの報告」
酒井政秋/飯舘村小宮・菅野榮子/飯舘村佐須・杉下初男/飯舘村長泥
 「避難生活実態と復興に関する飯舘村成人悉皆アンケート調査報告」
浦上健司/日本大学・NPOエコロジーアーキスケープ

◆第3部(15:50~16:50)
賠償問題と支援の課題
座長 糸長浩司/日本大学生物資源科学部

「損害賠償問題」
小林克信/ 原発被災者弁護団(東京)弁護士
「「福島―関東対話の会」の活動から」
 渡辺瑛莉/福島―関東対話の会

総合討論(16:50~18:00)
モデレーター 糸長浩司

飯舘村小宮・酒井政秋さん

飯舘村小宮・酒井政秋さん

飯館村佐須・菅野榮子さん

飯館村佐須・菅野榮子さん

飯館村長泥・杉下初男さん

飯館村長泥・杉下初男さん

東京大学弥生キャンパス・農学部弥生講堂前

東京大学弥生キャンパス・農学部弥生講堂前

 今回の最大の収穫は、以前からfacebookで「お友達」だった酒井政秋さんとリアルにお会いできたことです。朝日新聞に大きく掲載されていた彼の除染に対しての真摯なコメントは、今でも忘れられません。地元からの3人のご発表は、困難な中、それぞれの現実と向き合って生きている「力」を感じました。

 一昨年3月末、私はこんなコメントを書いていました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8003)。

 一堂に会した皆さんは、これまでも、今も、そしてこれからも、固有の視座から飯舘村を観続け、寄り添い、共に生きる姿勢を示していました。小雨降る東京でしたが、講堂にあふれる熱気は、冷めることはありませんでした。

映画「CARLOS」

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 この所、映画・演劇の話題が続きます、今度は、映画「CARLOS:http://www.carlos-movie.com/」です。第一部から三部まで合計5時間30分でしたが、全く疲労感は無かったですね、1970年代・1980年代の冷戦構造、ベルリンの壁崩壊後の世界情勢の変化等、並走した自分のその時代も思い出して懐かしかったです。1990年代中ごろ(?)、新聞のほんの片隅に写真入りで「カルロス逮捕」の記事を覚えています。

冷戦構造とは?を再確認した感じ

冷戦構造とは?を再確認した感じ

 HPより引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  「クリーン」「夏時間の庭」等、アート系の良質なフランス映画をリリースしてきた若き巨匠オリヴィエ・アサイヤス監督が映画作家として勝負にでた「カルロス」。
 ここ数年世界中で最も注目されてきた伝説のテロリスト、イリッチ・ラミレス・サンチェス、コードネーム「カルロス:CARLOS」の半生を史実や報道をもとに描いたこの作品は全3部上映時間5時間超えのフランス映画史上まれにみる超大作です。1974年ロンドンにおける経済界の大物殺害未遂から1994年ハルツームで逮捕されるまでの20年間、テロ14件、殺害83人、負傷者100人以上の事件に関与したといわれるカルロス。主人公カルロス役を演じたエドガー・ラミレスは「会った瞬間に映画の成功を確信した」と監督が絶賛するハリウッド期待のラテン系ニューカマー。日本赤軍によるハーグのフランス大使館占拠、ウィーンの OPEC総会襲撃等、実在の事件をリアルなアクションで再現した迫真の映像は「24」や「ジェイソン・ボーン」シリーズをはるかにしのぐ衝撃をみるものに与え、息もつかせぬスピード感で描かれたテロリストの軌跡は、アクションの本場アメリカでも絶賛の嵐!銃と女を愛し革命を夢見た男の栄光と挫折の物語は、9.11同時多発テロ事件以後を生きる私たちに世界を見つめる新たな視点を提示しています。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「テロリスト」の持つ主義主張が、どこかの時点から曖昧になり、ただ破壊することが自己目的化していく、そして、冷戦構造の崩壊が、一層彼とその仲間たちの存在を「傭兵」以下の「厄介な存在」としていく過程が見事でした。エドガー・ラミレスの体を張った演技、体形に象徴されるその時の環境と彼の精神状態、挿入される白黒ニュースが、一層迫力を与えていました。

 自分の姿を鏡に映し、或いは昔の自分をアルバムの中に見つけると、その時々の自分が鮮明に思い起こされる、顔かたち、体形はウソをつきませんね。

演劇「イシノマキにいた時間」

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 「イシノマキの時間は、今も流れている」

 演劇「イシノマキにいた時間:http://www.ishinomakitime.com/」の札幌再演が、昨年12月に続き先月、札幌西区琴似のコンカリーニョでありました。作・演出の福島カツシゲさんのお話、スペシャルゲストの吉俣良(http://www.yoshimataryo.com/)さんの演奏と盛りだくさん、お客さんも大勢で義援金も集まっていました。

演劇に携わる者がどんな支援ができるのか

演劇に携わる者がどんな支援ができるのか

  「震災から2年が過ぎ、何が変わって、何が変わらずにいるのか」、そう語りかける芝居から、演劇に携わる者としてどんな支援が出来るのかという真摯に被災地と向き合う姿が感じ取れました。仮設住宅を訪問するフリーター飯田人志(ヒトシ)のかもし出す雰囲気が心にしみて良かったですね。人の話にじっくり耳を傾けること自体も、生きる勇気を与え、励ますという、何か生の人間の力を受けとめました。現場でボランティア経験のある福島カツシゲさんの伝えたいメッセージだったのでしょう。

 吉俣良さんの演奏、「篤姫」、「風のガーデン」のテーマ曲、エンディング曲「添歩み(そゆみ)」も素晴らしかったです。震災と音楽と言うと、震災直後に被災地に入ってライブコンサートで避難者を励ました長渕剛(http://www.nagabuchi.or.jp/index2.html)を思い出しました。

 自らの表現するフィールドで、それぞれ被災地と向き合う姿勢、演劇でも音楽でも、感動しますね。