「飯舘村放射能エコロジー研究会:http://iitate-sora.net/」が主催する東京シンポジウム「原発災害と生物・人・地域社会~福島の事故でわかってきたこととこれからの課題」が、東京大学弥生キャンパス・農学部講堂で開催され、300名を越える参加者で大盛況でした、当日の様子はこちらから(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/71433)。
第一部は<放射能の生物影響と初期被曝量評価>と題して、現地での地道な活動とこれまでの専門分野の研究を重ねての発表。イネ、シジミチョウ科ヤマトシジミ、野生動物等の被曝被害で、大変内容の濃い、また専門外の人間にも分かりやすいお話でした。これらの研究者の方々は、日々の研究活動において、ごく普通の市民・住民と触れあい、議論をしているのでしょう、究極の「アウトリーチ」ですね。いや、やっぱりこの言葉は不適切ですね、「イン」でも「アウト」でもない、まさにこの飯舘村が研究フィールドそのものなのですから。
<基調講演>の「原発災害とリスクコミュニケーション」については興味深かったですね。これまでの原発リスクに対してのプロパガンダが、「説得」と「教育」の「リスコミ」でなされていたこと、それがパターナリズムが横行して「スリコミ!」に転落していった経過等、この間の「原子力ムラ」の体質を見事に説明していました、是非、鬼頭秀一(http://kitoh-lab.org/)先生の論文(http://kitoh-lab.org/assets/files/MedicalPhilosophyEthicsPPT.pdf)を検索して読んで下さい。
◆第1部(10:10~12:10)
放射能の生物影響と初期被曝量評価
座長 小澤祥司/NPOエコロジーアーキスケープ
「飯舘村全域を対象とする放射能汚染と初期被曝量評価の試み」
今中哲二/京都大学原子炉実験所
「飯舘村での低レベルガンマ線場を用いたイネの遺伝子発現実験の報告」
ランディープ・ラクワール/筑波大学大学院生命環境科学研究科
「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」
大瀧丈二/琉球大学理学部
「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被曝モニタリング」
石田健/東京大学大学院農学生命科学研究科
「福島県に生息する野生ニホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況について」
羽山伸一/日本獣医生命科学大学獣医学部
◆基調講演(13:30~14:00)
「原発災害とリスクコミュニケーション」
鬼頭秀一/東京大学大学院新領域創成科学研究科
◆第2部(14:00~15:30)
村民の思いと現状報告
座長 菅井益郎/國學院大学経済学部
「全村避難から2年 飯舘村民からの報告」
酒井政秋/飯舘村小宮・菅野榮子/飯舘村佐須・杉下初男/飯舘村長泥
「避難生活実態と復興に関する飯舘村成人悉皆アンケート調査報告」
浦上健司/日本大学・NPOエコロジーアーキスケープ
◆第3部(15:50~16:50)
賠償問題と支援の課題
座長 糸長浩司/日本大学生物資源科学部
「損害賠償問題」
小林克信/ 原発被災者弁護団(東京)弁護士
「「福島―関東対話の会」の活動から」
渡辺瑛莉/福島―関東対話の会
◆総合討論(16:50~18:00)
モデレーター 糸長浩司
今回の最大の収穫は、以前からfacebookで「お友達」だった酒井政秋さんとリアルにお会いできたことです。朝日新聞に大きく掲載されていた彼の除染に対しての真摯なコメントは、今でも忘れられません。地元からの3人のご発表は、困難な中、それぞれの現実と向き合って生きている「力」を感じました。
一昨年3月末、私はこんなコメントを書いていました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8003)。
一堂に会した皆さんは、これまでも、今も、そしてこれからも、固有の視座から飯舘村を観続け、寄り添い、共に生きる姿勢を示していました。小雨降る東京でしたが、講堂にあふれる熱気は、冷めることはありませんでした。
8 月 27th, 2013 at 8:35 AM
[...] 一方で、ただ危機感だけを募っていても、今現在そこに暮らしている方々もいます。その方々とどう寄り添えるのか、外の人間として考える責任もあります。私自身は、「飯館村放射能エコロジー研究会(http://iitate-sora.net/)」に注目していて、今年のフォーラムにも参加しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16313)。 [...]
5 月 21st, 2014 at 7:29 AM
[...] 昨年の様子はこちら――>http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16313 [...]