今年、何回かミニフォーラム・研究会でお世話になりました出口正之先生は、節目節目に的確なコメントを世の中に提起されています。
* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=36197
私はこれまで、幾多の困難に直面した時、自分に言い聞かせている言葉があります、「原点を見失うな!」です。「Back to the basic!」とおっしゃる方もいますが、同じようなニュアンスかと。今、公益法人を巡っての議論では、わずか10年でも微妙に変わる振り返り内容に、危機感を強めているのは私ばかりではないようです。特に、政治の世界、行政の世界の方々の劣化は目に余るものがあり、現場で変わらず活動する私達を悩ませています。総括はいろいろあって構わないとは思いますが、誤った認識だけはしっかり修正する必要があり、それも私達の責務だと思う昨今です。歴史修正主義者がまかり通る最近の日本社会、在った事実を無かったことにしてはいけません。歴史から学ぶ重要性は、正しい歴史認識とともに深い現状認識にもつながることだからです。
* 私のこの10年の振り返りはこちらーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=36280
そんな思いを抱きながら、先日も、出口正之先生ご自身のブログのご指摘「原点を見失うな」は全く同感です。
<10年の振り返り>
公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針
閣 議 決 定
- 改革の目的と検討の方向等 我が国においては、個人の価値観が多様化し、社会のニーズが多岐にわたってきている。しかし、画一的対応が重視される行政部門、収益を上げることが前提となる民間営利部門だけでは様々なニーズに十分に対応することがより困難な状況になっている。
これに対し、民間非営利部門はこのような制約が少なく、柔軟かつ機動的な活動を展開することが可能であるために、行政部門や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを提供することができる。その結果として民間非営利活動は、社会に活力や安定をもたらすと考えられ、その促進は、21世紀の我が国の社会を活力に満ちた社会として維持していく上で極めて重要である。
また、民間非営利活動は、国民一人一人に職場や家庭とは異なる多様な活動の場を与えるため、個人の価値観が多様化した現代社会に対応するものである。個人の様々な価値観を受け止め得る民間非営利活動を促進することによって、個人の活動の選択肢が広がり自己実現の機会が増進するものと考えられる。
したがって、民間非営利活動を我が国の社会経済システムの中に積極的に位置付け、その活動を促進するための方策を講ずる必要がある。
公益法人(民法第34条に基づく社団・財団をいう。以下同じ。)は、我が国の社会経済において重要な位置を占めているこのような民間の非営利活動を担う代表的主体として歴史的に一定の大きな役割を果たしてきている。
しかしながら、主務官庁の許可主義による我が国の公益法人制度は、明治29年の民法制定以来、100余年にわたり抜本的な見直しは行われておらず、特別法による法人制度を除き、近年に至るまで、一般的な非営利法人制度がなかったため、時代の変化に対応した国民による非営利活動の妨げになってきたとの指摘がある。
特に、公益法人は、公益性の判断基準が不明確であり、営利法人類似の法人や共益的な法人が主務大臣の許可によって多数設立され、税制上の優遇措置や行政の委託、補助金、天下りの受け皿等について様々な批判、指摘を受けるに至っている。
こうした諸問題に対処し、更に21世紀の社会経済の一翼を担う民間非営利活動の発展を促進することが喫緊の課題となっていることから、次の方針をもって公益法人制度の抜本的改革に取り組むこととする。