14日に富良野演劇工場での富良野グループ公演「屋根」http://www.furanogroup.jp/furanojyuku/index.html の千秋楽、昼・夜2回の公演を観てきました。17・18日には札幌公演も予定されていますね。富良野塾からはこれまでに300名を越える若い有能な役者・脚本家が育っています。勿論、芝居自身の面白さもありますが、私は倉本 聰さんの一番の功績は、今日までの人創りへの情熱だと思います。
「屋根」は、戦前・戦中・戦後の歴史を物凄いスピードで駆け抜けていく一つの家族の物語。濃密に時代時代が凝縮されていて、舞台とはいえ映像の世界でもありました。「川の流れのように・・・・」、「誰を恨むのでもなく・・・・」、「“屋根”が満天の星たちに語った物語・・・」、「熊を追い出しての自分たち人間の生活・・・」、「果たしてこの豊かさはいつまで続くのか?」、沢山のキーワードが、終演後も頭の中を駈け巡ります。そして、時代を越えた“本当の幸せ”とは?、のメッセージが分かりやすく伝わると同時に、場面場面の暗転は流した涙を拭くための気配りと、終わってから気がつきました。
今回やっと富良野の現地、富良野演劇工場に足を運ぶ事が出来ました。札幌駅バスターミナルから富良野駅前まで2時間50分、三日月食堂で懐かしいラーメンを食べて、富良野駅前から演劇工場までマイクロバスで10分、振りかえってみると札幌駅のバスに乗る所から、何か今回の芝居が始まっていたような気がします。富良野に近づくにつれて山並もそびえ立ち、駅前からは北の峯のスキー場も白い帯状に見えました。もう20年以上前でしたか、本州からのお客さんと一緒に滑りに来たのは。ダイナミックな素晴らしいスキー場だと感嘆していました。
会場入り口で防寒具に身を包み車の誘導をしている方が、どうも私の知っている方に似ていました。昼の部終演後には、その方がロビーで観客のお見送りをされていました。近寄ってお話をすると、何と今回の1か月公演の実行委員長をされているとか。実行委員長が率先して寒空の中車の誘導、地元の沢山の方々の協力・支援も受けての公演に、一層観劇、いや感激しました。
近年は、夏の観光客の方が多いそうですね。5年前に、私の東北の親戚たちとの「いとこの会」で、富良野のラベンダー園、美瑛のパッチワークの丘等を見て回りました。ラベンダーの畑は色も香りも写真以上でしたね。ラベンダーソフトアイスクリームも忘れられないし、経営者の富田さんは随分前からラベンダーの研究をされていた事も知りました。
昨日の早朝、ホテルから駅までのタクシー運転手が、「倉本さんの後が心配です」と言っていましたが、私は「沢山の若い方々が育ってきているではありませんか。むしろこれからが楽しみですよ」とお話をして、車を降りました。
1984年に設立した富良野塾は、富良野GROUPという創作のプロ集団として活動してきましたが、2010年の25期生卒塾をもって閉塾するそうです。この間の育成された数々の人材は、今羽ばたいていてこれからも活躍してくれるに違いありません。ホテルの窓から丘にある演劇工場の建物を見ながら、「担い手を育てる」価値を再認識し、私の夢は膨らみました。