生物多様性フォーラムで、一歩前進

Posted by 秋山孝二
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 秋山財団の助成事業の中で、環境をテーマにした活動への助成が多く、昨年開始した「ネットワーク形成支援事業」でも、同様の傾向が見られます。それらを評価する為にも、私自身が見識を高める必要を感じて、この数年遅ればせながら環境分野の勉強を深めつつあります。「温暖化リスク」に続いて、有限会社イーズhttp://www.es-inc.jp/ が主催する「企業と生物多様性フォーラム」に参加しました。企業の環境関係部署の方々、環境へのコンサルティング会社の方々等、大変インテリジェンスを感じる「知的集団」というか、熱心な雰囲気のひと時でした。遅れて関心を持った私としては、みなさん先輩という気がして得るものが多かったです。

特に「いまなぜ生物多様性か」で、最新の世界・日本の動向を知ったこと、と

ミレニアム生態系評価http://www.biodic.go.jp/cbd/2006/pdf/1204_2_4.pdf

生態系サービス評価(ESR) http://pdf.wri.org/corporate_ecosystem_services_review_jp.pdf 

について知る事が出来て、ストンと腑に落ちました。「生物多様性」と「人間の幸せ」との間に、生態系の機能として「生態系サービス」という概念を想起する事により、人間と生物多様性との関係性が大変明確になりました。橋渡しの「言語」としての4種類も分かりやすいですね。そのイメージをつかむと、生物多様性の「保全」と「活用」が人類にとってのテーマだと浮き彫りになってきます。以下、当日の私のメモから印象に残るフレーズを幾つか。

*生物多様性のキーワードは、「つながり」と「バランス」、そして「つながり」を取り戻す活動であり、「戻す」よりも「先へ進む」事。「Resilience」という言葉が「温暖化リスク」と同様に、こちらでも出てきました。「しなやかな強さ」と訳しているそうです。

*環境問題の人類としての進化: 公害ーー>温暖化ーー>生物多様性

*アービン・ラズロー 「未来は予測するものではなく、創り出すもの」

*企業としてポイントは、「どこで見切って活動を開始するか」である

*企業で多様性のリスク・オポチュニティを分かりやすくする為には定量化(お金に換算する必要性)も大切、アメリカでは連邦法でクレジットの売買を市場で初めているとか。

*日産自動車(株)の取り組み事例では、「水問題」もテーマの一つ

先進的企業は、本業での技術開発ばかりではなく、水問題への考察・取り組みにも着手している事を初めて知りました。講師だった有限会社イーズの枝廣淳子さんは、日本の企業は基本的に大変真面目なので、課題の認識が明確になって方向性が定まると、几帳面に推進していく信頼感があるとお話をされています。先日集まられた企業の方々とお話をしていても、強くそれを感じました。ただ、日本の90%以上は中小企業で、この企業群が日本経済を支えている訳で、先日の意識レベルと活動を、どう地元で展開していけばよいのか、知恵のいる所だと思います。逆に、地場企業は、地域環境とは密接ですので、環境悪化等は現場感覚として持ちやすいとも思いますね。一番の壁は、従来型の「経済団体」幹部の意識変革かもしれず、当初は恐らく抵抗勢力として構造的にはなるのでしょう。子供・孫の世代の為に、あきらめずにやれる光を見出した先日のフォーラムに感謝です。