今日は、韓国併合条約(http://www.archives.go.jp/ayumi/kobetsu/m43_1910_01.html)・締結100年の記念すべき日です。「日韓併合100年」の今年は、歴史認識に関わる重要な節目としなければなりません。
先日来、「将来のアジアの中の日本」を展望する幾つかの会合に参加しています。6月大阪で「ナレッジ・キャピタル・トライアル:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=4441」、更に続いて「API・リレー講座4・5回:http://apipc.org/2010/08/post-14.html」で、主催はアジア太平洋研究所推進会議(APIPC:http://apipc.org/-forum/)です。
リレー講座の4回目は、慶応大学・村井純(http://vu9.sfc.keio.ac.jp/faculty_profile/cgi/f_profile.cgi?id=859452959bdc256a)教授でした。「アジア太平洋のネットワーク型発展における情報と次世代ICT」と題して、ICT(情報通信技術)からみたアジア太平洋地域の変遷について、多国間交渉を含めた大変興味深いお話でした。インターネット等を、外交的・経済的枠組みづくりの視点から位置付けた戦略を垣間見た気がします。
今年1月21日、ヒラリー・クリントン長官が、ルーズベルト大統領の「4つの自由:http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-majordocs-freedoms.html」にプラス「接続の自由」を演説で表明して、中国のグーグル問題に対して「Internet Freedom」を提唱しました。私たちが自覚するかしないかは別として、この間のアメリカの最大の関心事は、やはり中国との対話だったようです。「自由」は裏を返すと、全て「恐怖」と読み替えられます。
そして今年6月16日、「インターネット・エコノミー」について原口総務大臣は、「日米政策協力の決定:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin06_02000027.html」を発表しました。振り返るとクリントン政権では、「情報スーパーハイウェー」といってデジタルインフラの促進でしたが、現在の主たるテーマはその第2ラウンド、「グローバルな空間で経済がそこにのっている時に、各国の責任をどう持つか」で、ヒラリー国務長官のメッセージもそこにありました。
以下、幾つかのキーワード:
* 2001年の「IT基本法:http://www.kantei.go.jp/jp/it/kihonhou/honbun.html」の制定――日本国民がインターネットのようなデジタル情報基盤を使って、知識や情報を誰もが共有・交換出来る社会を作る、と書かれている
* デジタル・コミュニケーションのユニバーサル・サービス化というのは、今や「医療」や「教育」といった知識に対するアクセスになり、政治に対する参加にすら関わってくる
* アメリカのインターネット・ビジネスの主戦場は、中国マーケット
* 日本における重要なメディアは「電話」と「テレビ」、日本では「新聞」と「テレビ」が内容的に同期しているのが世界的に例外
* グローバルな社会がインターネットで出来るが、その時に「文化」はすり減るのか、それとも力強くなるのか、インターネット始まって以来の課題
* 「Twitter」という技術は侮れない
* 「クラウド・コンピューティング」で出てくる課題は、データを盗まれた時、どの国の法律で裁くのかである
オンラインでの授業・HPを介した大学の進化、グローバル空間のガバナンスをどう行うか、国際的課題について日本での議論も活発にする必要があるようです。メディアを先頭に、そんな時代のリーダーシップを期待したいですね。
第5回目は、ケント・カルダー教授で、テーマは「太平洋パートナーシップの将来の鍵とは何か」でした。ケント・E・カルダー(Kent E. Calder )教授は1948年生まれ、専門は日本政治、日韓の比較政治、東アジアの国際関係等です。現在はジョンズホプキンス大学http://www.thepath.jp/archives/2006/04/11/johns_hopkins_university.html教授、同高等国際問題研究大学院(SAIS)付属エドウィン・ライシャワー東アジア研究センター長を務めています。久しぶりに先生とお会いし、講演後に札幌での想い出話でしばし懇談することが出来ました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2510)。
日米両国は今、新しい時代を迎えていること、すなわち「直接投資」、「文化交流」、「技術投資」、「安全保障」分野で積極的な協力を推進していくべきと力説しました。沢山の人脈を形成しているこれまでの日米関係に関わってきた人々、そんな財産を大切にしつつ、これからの新しい日米関係を新しい担い手によって前向きに構築していきたいものだと痛感しました。