新政権による一連の「事業仕分け」は一通り終了しました。率直に言って、大変新鮮で面白かったと私は感じています。
初めての試みにメディア、特にテレビは連日「編集した」場面の放映に終始し、実際に足を運んだ方の感想とはかなりかけ離れた印象を与えていたことも明らかになってきています。今まで「速報性」を売りにしてきた従来型メディアのテレビ局も、インターネット上のテレビ画像、twitter等のニュー・メディアの前には、その機能に陰りが出ているのでしょう。真実を知りたい私たちにとっては、大変楽しみな時代になってきています。日本における従来のメディアの劣化は、目に余る程ひどいものでしたから。
蓮舫http://www.renho.jp/議員の切れ味のよい質問は、ただのパフォーマンスなどではなく素晴らしいですね。彼女のHPにも掲載されていますが、これまでの国会・予算委員会での経験を踏まえた、一味違う官僚への突っ込みに拍手を送った国民は多かったと思います。
高野孟「ラジオ万華鏡」http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/12/post_445.htmlでは、彼女は「何故、今、事業仕分け?」を分かりやすく説明しています。
そこで、今までの国会・予算委員会はなんだったのか、そう言わしめるほど「公開の場での質疑応答」は意義があったと。そして高野さんもおっしゃっていますが、これらは本来国会の仕事のはずですね。緊張感の欠如、空虚な委員会での質疑、財務省と各省庁との密室でのやりとり・・・・。1時間が短いと官僚・メディアは喧伝していましたが、今までは密室で各案件せいぜい10分程度とのこと、それが全てのメディア、市民に公開されたからこその効果は計り知れません。
その中でインターネット上の幾つかのコラムでも、仕分けに関わった議員の方もおっしゃっていましたが、防衛省官僚の予算説明の論理性と説得力は際立っていたようです。それに反して、スパコン・先端科学技術予算を巡っての文部科学省官僚の応答は、皆さん実にお粗末と口をそろえて語っています。仕分け人は「世界2位ではいけないのですか」と予算を提起した官僚に質問をしたのであって、「第2位で良いのだ」と断言したのではありません。力強いメッセージを期待したに違いありません。ところが、それに対する全く論理性も気迫もない官僚の言葉に、あの場にいた殆どすべての方々が失望したようです。毅然とした態度でその予算の必要性を力説するのではなく、ただ「夢」と言った様で、思考停止もはなはだしい。
ノーベル賞受賞者の方々の記者会見も、私は違和感を持ちましたね。まず仕分けのプロセスを彼らは正確に理解していないのではありませんか。明らかに事実誤認と思われる発言が相次いでいました。彼らの発言は、第一義的には、仕分けの公開の場で、あの程度の答しか出来なかった文部官僚に向けられるべきです。恐らく公開仕分け後、文部官僚が省内に戻り、科学者たちに自分本位な報告で泣きついたのでしょう。海外事情に詳しい方々もおっしゃっていますが、現在の日本のこの分野の実力は、すでにかなり前から凋落の一途をたどっているとのこと。自然科学分野総体の水準アップには、格差の問題を含めてどういった予算が必要なのか、の議論がまず重要なのだと思います。
一連のやりとりを見ていて、今後も継続して頂きたいし、地方でも是非「事業仕分け」を導入して頂きたいですね。今のような激動期、首長の役割はこれまで以上に重要になってきています。新しい時代のリーダーが、全国各地に出現することを期待したいです。本来は議会に求める仕事ですが、議員に今より遥かに高い質を求めるよりも、優れたその道の方々による「事業仕分け」の方が、時間的にも可能性としても現実的です。
私は最近、地方公務員を主体とする集まりの冊子に「新政権に期待する」と題して寄稿しました。その終わりの部分から引用します。
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国際社会の中で地盤沈下が著しい今の日本の状態では、3か月・100日が新政権の勝負です。政権に関わる全ての方々に「覚悟」を決めて頂きたいし、初心を忘れてほしくない。そして私たち一人ひとりが自立する市民として声を出し続けて、結果に関しては「待つ」覚悟も必要です。新政権にはあらゆる抵抗勢力を突き抜けて、新しい時代の指針を示し政策の実行を期待したいのです。――――――
メディアを含めて、私たちは見極めなければなりませんね。