胸熱くなった定時制高校の授業

Posted by 秋山孝二
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 以前に何回か、私は札幌市内のある公立高校の評議員を務めていると書きました。今年の秋のブログラムに「定時制教育の実情:給食体験・授業参観・意見交流等」がありました。

 当日は夕方5時に学校に集合し、まずは定時制教育の現況報告を聞きました。昭和25年に普通科1学級の設置でスタートして以来、時代の様々な要望に応えながら、これまで2,500余名の卒業生を送り出してきたそうです。大検の単位認定開始(昭和61)、完全二期制導入(平成2)、学校間連携による単位認定導入(平成14)、一部科目履修制度導入(平成18)等、時代の要請により仕組みも変革しながら、生徒たちは数々の表彰等も受けて今日に至っていました。

 これまでは昼間仕事について、夜勉強するのが定時制課程だとの認識でしたが、今年定時制の卒業式に出席した時に、最近は昼間はアルバイトという生徒が4割と伺いました。従って重点目標も「学びの目標を持たせ、向上心の育成を図る」、「自律的な生活態度を育て、自己管理能力の育成を図る」となっています。部活動も盛んで、バスケットボール部は男女ともに全国大会出場も度々あります。4年制の他に3年で卒業する場合もあるようです。卒業後の進路は就職が多いようですが、大学・専門学校への進学もありますね。

 次は給食体験です。専門の職員の方が暖かい味噌汁とおかず、ご飯もたくさん盛り付けられていました。授業を受ける前にまずは腹ごしらえの夕食です。

 そしていよいよ授業参観です。外は真っ暗で教室・廊下はライトが点灯しています。1学年は英語「Earth Day」、2学年は地理「西アジア、北アフリカの人々の生活3:石油資源と地域紛争」でごく近い歴史について、3学年は古典「徒然草第41段:5月5日賀茂の競べ馬を見侍りしに」、4学年は数学「方べきの定理」でした。大変失礼ながら、先入観としてはもっともっと騒々しい教室内を想像していましたが、大変真剣で積極的に発言して前向きに臨む姿勢に、胸が熱くなりました。先生と生徒とのやり取りが小気味よくて、何か久しぶりの授業で私が少々興奮する感じでした。

 考えてみれば毎日夕方から高校に来ること自体大変な努力の結果なのだと思います。これまで小・中学校までの学校教育でどんな体験を経てきたのでしょうね、不登校だった生徒もいるようです。時間があれば生徒たちともゆっくり話をしたい気もしましたが、ごく短い時間ではありましたが、何か私の方が元気を貰いました。

 今年1年生に入学した女子生徒が、「PTAだより」に寄稿していました。「この学校には、人それぞれいろいろな体験をして、それぞれの生活スタイルを持った人たちが入学してきます。そして、幅広い年齢層の人たちが一緒に机を並べて学んでいます。この環境はすごいことだと思います。私は、普通の全日制の学校にはないこの環境で学べることを誇りに思います」と。

 「それぞれの体験」、「それぞれの生活スタイル」、「幅広い年齢層」、「一緒に机を並べて学ぶ」、素晴らしいですね。私の方こそ、こんな感想を書き留める後輩を持つことを、本当に誇りに思いますよ!!!