有楽町界隈で、列を成す人々

Posted by 秋山孝二
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 東京出張は頻繁にありますが、これまで午前10時過ぎの有楽町・新橋界隈を歩く機会はそうありませんでした。先日東京で、汐留方面から有楽町に向けて歩いているほんの少しの間に、人の行列を3か所も見ました。

まずは銀座7丁目辺りの高速道路下のすし屋さんの前。まだ朝の10時過ぎと言うのに、歩道に置いてあるベンチにお年寄りの男性が一人、文庫本を読みながら開店待ちの様子。その横にはおばさん達6人程が、かん高い話声で賑やかに立ったり座ったり。昼食を開店1時間以上前から並べる生活、一体この方たちはどんな暮らしをされているのだろうかと、通り過ぎながらも少々気になりました。今、日本国で最も恵まれた世代かもしれませんね。

次は有楽町駅の南のビル一階角で、10メートル程の列。何事かと入口を確認すると4階にある映画館へのエレベーター前からでした。ここは老いも若きもといった感じで、椅子もない場所で整然と時の過ぎるのを待っている風。ここの若者は、またどういう生活なのでしょうね。

そして信号を渡って向かい側の驚いた長蛇の列、長いばかりではなく幅も6人位の存在感でした。近寄って最後尾の案内プラカードを読むと、何とガード下にある年末宝くじ開店待ち(当初はパチンコ店だと思っていましたが、先日再度確認しましたら違っていましたので訂正致します)でした。およそ50メートルは有りましたでしょうか。ここも、老いも若きも、男も女もと言った具合でした。表情は皆さん、決して暗くはなかったですね。

折からの世界金融の100年に一度のクラッシュ。1929年世界大恐慌時に、何回も見た仕事を求めて並ぶアメリカの労働者の列と比べると、何と平和な風景なのでしょうか。そしてどこからやって来ているのか、出てくる人の数も凄いですね。一方で、北海道の地方都市の駅前通りは、昼間も夜も殆どがシャッター通りと化して、人の姿も珍しいのですよ。平和と言ってもいられない、格差の時代はこの日本にも本当にすでに到来している事は確実です。先日のセミナーでも、一昔前までの「一億総中流層」という日本社会はすでに崩壊して、年間で70名以上の餓死者も出ていて、貧困層の拡大は深刻になってきているとの事でした。

11月からホテルのロビーとか商店街ではもうクリスマスのイルミネーションでしたが、今年の年末は殊のほか寒さが身にしみるのではないでしょうか、温暖化とはいえ、いや温暖化故でしょうか。

年末から来年にかけては、恐らく驚くほど破たんする企業が多く、沢山の雇用削減となり、とりわけ若い世代の失業が急増すると思います。それをまだ認識していない雰囲気の先日の風景、あれらの列が白黒写真のように、職を求めての列に私には見えてきて、何とも重苦しい一日でした。