空港搭乗口での出来事

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 出張で出歩いていると、沢山の考えさせられる場面に出会います。

ついこの間は、ある地方空港の搭乗口でこんな事がありました。

私はいつも飛行機ではANAを利用しています。ご存知の様に、搭乗の時に、まず「事前搭乗」があり、その次に「優先搭乗」があります。以前は「優先搭乗」だけでしたが、高齢の方とか幼いお子さんの方と頻度の多いビジネスの方が一緒だと追い抜かされたりサービスにならないとの判断で、これを二つに分けた経緯があります。「事前搭乗」は、ご高齢の方、妊娠中の方、事前搭乗をご希望される方と、ある意味では微妙なアナウンスでいつも始まります。今回は、見るからに頑丈そうな60代の男性が一人、このアナウンスの直後に搭乗口を通過しました。周辺に待つその後の「優先搭乗」組の一人がすかさず、「今の男がどうして事前搭乗なんだ!」とかなりきつい調子で係員に詰め寄りました。最初対応した若い男性の職員は、困った様子でしばし沈黙していると、近くにいたベテランと見える女性係員がはっきりした口調で言いました。「基本的にこの搭乗サービスは、お申し出のあった場合、障害者手帳等も確認して通って頂いています」と。プライバシーと申告とルールのギリギリの折り合いなのでしょうね。クレームをつけたやはり60歳代と見える男性は、その説明を聞いてすぐに「わかった」と引き下がりました。

実は私はこの一部始終を後の方から見ていたのです。事前搭乗の時に、ごく健常と見受けられる男性が確かな足取りで進んでいくのも「何なのだろう、あの人は」と思いながら私は傍観していました。ああいう人が何故「事前搭乗」なのか、と思っている矢先に、次の展開でした。詰め寄った男性に対してはあの言い方もないだろうに、と思いながらも、よくぞ言ったと拍手の共感もありました。

日本の場合、難しいですね「クラス分け」というのは。もう20年ほど前に、アメリカ・フロリダ州のディズニーワールドで、車イスの方々が全く別の列から最優先で全てのプログラムに入場するシステムに驚きました。片や一般の列は、1時間以上も待つ程であるというのにです。日本では、こんな事を並んでいる方々が許すのかなと、当時考えさせられました。今のアメリカはどうなっているか知りませんが、当時の市民レベルのモラルは徹底していました。この時、私と同じメンバーの一人が、水虫が悪化して、片足は草履で、そして車イスを使って広い敷地内を一緒に回っていたのです。並ぶ所に来た時、一般の列に車イスで並んでいたら、係員が同伴の私も含めて最優先の列に誘導しました。あまりの厚遇に、「水虫で車イスなのに、何か申し訳ないな」と本人も思った様で、見学後、出口のちょっと植木で陰になった場所で、車イスから降りたのです。まるでスーパーマンのクラーク・ケントの早変わりの様にです。分かる方にしか分からないでしょうが。

最近の札幌の地下鉄では、優先席は見事に空いています。たとえ若者が座っていても、それらしき方々が乗り込んでくるとすぐに席を立っている光景を見ます。以前とは「モラル」も随分向上してきているのでしょうね。

先日の空港の場面では、それぞれの男性がもう少し会話があれば、どうと言うこともないのでしょうが、どこかギスギスした感じでした。皆さん時間に追われているのか、もう少しおおらかでも宜しいのでは、と思う時がよくあります。