厚生福祉 巻頭言10回目

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 時事通信社週二回発行の『厚生福祉』に表紙の巻頭言を書いて2年で10回目、私の文章です(第6912号)。「寄り添う姿を求めて」と題して、財団運営で肝に銘じている点も含めて自戒を込めての文面です。

*  時事通信社 厚生福祉 (jiji.co.jp)

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寄り添う姿を求めて

今年51日に熊本県水俣市で開催された水俣病被害者・支援団体と環境相の懇談で、被害者側の発言中に環境省職員がマイクの音を切った事件、私は時を経た今も被害者の方々の表情を忘れることができません。戦後、高度経済成長の時代を経て、わが国は水俣病・イタイイタイ病などの公害問題に直面し、1971(昭和46)年に環境庁が設立した経緯があります。そしてこの日は、68年前に水俣病が公式確認された日です。大臣はこの記念すべき日、犠牲者慰霊式に出席した後、8団体との懇談に臨み、職員は予め設定したシナリオ「13分」を超過したとしてマイクの音を切って発言を遮りました。更に驚くべきことに、懇談の後、大臣は「音が切られたことは認識していなかった」と釈明したのです。そこに居た発言者のお一人は、その後、記者に対して「かつてのチッソの社長と同様、傲慢で儀礼的で切り捨ての姿勢は当時から何も変わっていない、これが行政の本質!」とおっしゃっていました。2011年の東日本大震災での原発事故を「放射能公害」と表現した方がいましたが、その後の企業・行政の対応をみても、以前の公害と同様の体を成している気がします。

以上のように憤りは収まらないのですが、今一度足元の自分の活動を振り返ると、自らにもその矢は向けられることに気が付きます。日々「生命科学」を名乗る財団活動上、中間支援、助成財団として常に「託す」思いで寄り添っていくことを肝に銘じています。資金的に応援するだけでなく、研究者・市民の活動にエールを送り続ける、大変難しい立ち位置ですが、そんな姿勢と言えましょうか。ほぼ40年この財団活動に携わりながら、「心に寄り添う」姿勢って、実に微妙で難しいと感じています。

子供たちの世代に、多大な国の負債、放射線汚染物質を付け回さない努力、それは戦後日本を生きた我々の世代の責任なのだと思います。「個人の尊厳」、「自由」と言っていたものはただの安っぽい「私生活主義」に過ぎなかったのではないか、そば打ちと旅行三昧の定年後の生活で本当にいいのか、1960年後半・70年代に主張したメッセージを今どう考えるのか、与えられ恵まれた環境をただ消費してきた世代等、若い世代からの厳しい問いかけに応えなければなりません。

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『185頭と1人』 @ NHK

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 福島の「牛飼い」吉沢正巳さんを追いかけたNHK総合の番組『こころの時代:185頭と1人』は、「いのちとは何か」を深く考える素晴らしい内容でした。

 福島県浪江町にある「希望の牧場」。

希望の牧場 公式チャンネル - YouTube

 原発事故により出荷できなくなった肉牛を飼い続け、自らを「牛飼い」と呼ぶ吉沢正巳さんが「命の意味、生きている価値」を問い続ける日々を追った番組です。「どんな命にも意味があり、それを全うするべきだ」との信念から、原発事故で出荷できなくなった肉牛の世話を続け、全国から寄付を募り商品にならない牛に餌をやり、生かし続ける日々。

 汚染牛を一切処分せず、自然の流れのまま命を全うさせようと懸命に世話する姿を追う姿、特に牛の命の看取りの場面に言いしれない感動を覚えます。

 ある時期は渋谷の街頭で自らの主張を訴え、多くの人々の賛同を集めたりはしたけれど、必ずしも持続した応援の力にはならなく、いつか一人去りまた一人去っていく状況も。

 これまでの多くの支援にもかかわらず、原発事故から13年がたち、高齢により衰弱する牛たちを看取りながら、果たして生かすことに意味があるのか、一見無意味にも思える営みを続ける吉沢正巳さん、命と向き合う日々の現実と向き合っての取材に基づいた番組は心を打ちました。

「きたネット」、 解散へ

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 「NPO法人北海道市民環境ネットワーク★きたネットWeb (kitanet.org)」解散の件、大きな記事になりました。今年6月の総会で解散を決めて最終的に完了するのはこの秋になるでしょう。

 北海道新聞3月24日(日)朝刊~~~~~~~~

道内各地の環境活動支え22年 きたネット理念は消えず 「扇の要」23年解散へ
 自然保護や環境保全に取り組む道内のNPOや市民団体を支えてきた中間支援組織「NPO法人北海道市民環境ネットワーク(きたネット)」が今年、解散する。2002年の設立以来、生物多様性や地球温暖化、野生動物と人とのかかわり、ごみの問題など、広く環境を巡る課題に各団体と連携して向き合ってきた。前理事長の秋山孝二さんと現理事長の金子正美さんに、きたネットの活動を振り返ってもらい、次世代に託す思いを聞いた。(編集委員 関口裕士)

 私の発言はおおよそ以下のとおりでした。

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Q きたネットの活動を一言で表現してください。

秋山 「接着剤」の役割を果たしたと思います。環境問題に取り組む人たちのネットワークを広げました。

Q 私にとって、きたネットは環境活動の「扇の要」でした。解散は残念です。

秋山 環境保全など公益活動に対する企業の姿勢が変化しました。中間支援組織を支援するよりも企業が直接、自らの看板で動くようになった。同時に会員団体もそれぞれ自前でできることが増えました。きたネットは当初の使命を果たしたと言えます。
秋山 活動の現場は市町村にあるし、政策は国で決めるとなると、道の存在感はどうしても薄れてしまいます。でも本来、北海道は三つの海に囲まれた島で独立性が高い。道には、中央ばかり見るのでなく、もっと独自性とリーダーシップを発揮してほしいと思います。

Q きたネットが活動した22年間に起きた出来事で、私が最も衝撃を受けたのが2011年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故でした。道内の環境活動にも大きな影響を及ぼしたと思います。当時理事長だった秋山さんはその後の動きをどう見ていますか。

秋山 3・11の後、いわゆる環境系の人の多くがエネルギー問題に取り組みました。きたネットから派生する形で「北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク」も生まれました。原発に頼らず再生可能エネルギーで道内全ての電力を賄うことを目指す団体です。今の生活は持続可能ではない、社会を変えないといけないと多くの人が考えたと思います。

Q でも、あまり変わらなかった気がします。

秋山 社会全体の意識を変えるにはやっぱり20年、30年かかるんだと思います。若者の中には私たちにない発想で新しいシステムを作ろうとしている人たちがたくさんいます。自分たちの世代ができなかったことを反省しつつ、次の世代に期待しています。

Q きたネットは解散しても環境や社会を良くする活動は続きます。その担い手に望むことはありますか。

秋山 企業が社会貢献活動をする機運は高まっています。北海道を応援し、そのために活動する人たちを支える企業がどんどん出てきてほしいと思います。

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 これまでの素晴らしい活動は、宮本さん、黒子さんのお二人の事務局のお陰に尽きます、心から感謝致します。

全くブレない、小出裕章さん!

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 小出裕章さんは人生の一貫性として大変尊敬している方ですが、今も変わらずプレない人生を歩んでいます。

* これまでの小出裕章さんの記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A3%95%E7%AB%A0

 自ら原発事故に対しての責任を感じている様子、頭が下がります、私と同世代として世代の責任を一人で背負うかのようにですね。

* これまでの私の原発事故関連の記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85

 それに対して、これまで推進してきた多くの専門家・行政・政治家の連中は、沈黙の中に紛れるかのように知らんふり、「原子力ムラ」の潜んでいて禄を食んでいるのでしょうね。

NHKスぺシャル『台湾有事』

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 年末から年始にかけて、たくさんの興味深い番組を録画しましたが、なかなかそれをじっくり観る時間がないのが悩みです。その中で、コンパクトにまとまったこちらの番組、津軽海峡を中国・ロシア海軍が合同での航行を行ったとなると日本の南の話だけではないですね、まさに「有事」です。

NHKスぺシャル『台湾有事(https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/LQY2PGJNV4/)』

 台湾を巡る歴史的認識・状況は、これまで私が続けて参加している寺島実郎戦略経営塾でも何回も取り上げられています。米中、中ロ、EU諸国等、日本を取り巻く世界情勢の激変と流動性は、目を離せないところまで来ているのでしょう。

 先日のシミュレーション(図上演習)の場面を垣間見ても、本当に大丈夫?と大いに不安を掻き立てられました。コロナ対応の鈍さ、無策、10年前の原発事故対応、日本国の危機管理体制の脆弱さは、政治の劣化と相俟って甚だ心もとないものですね。

 義理も人情もないなって、今更言われなくてもごく普通の市民でもとうの昔に分かっていることではありませんか!!引き続き注意を払って見つめていかなければなりません。

楽しみな『NHK検証報道』!

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 年末ギリギリに報道されたNHK総合テレビ『検証 コロナ予算 77兆円』は、今年からも継続して報道されるようで、AIを駆使しての分析と専門家たちの考察も加わり、楽しみですね!

* 詳細はこちらーー> https://www3.nhk.or.jp/news/special/covid19-money/post/index06.html

 コロナ禍の対策と銘打って出された各省の様々な「政策」、これまでの特別に打ち出される東日本大震災の後の「復興予算」でも、「東京五輪予算」でも、その実態が不明確であることと実際にどう使われたのかについての検証、さらにどこに支払われたのかの追跡等、以前から納税者の一員として大変不満を持っていました。

 先日の初回の内容は、その手法、切り込む視点、考察を加える集団に関して、これまでとは一味違った鋭さを感じて、今後の企画にも期待を抱きました。

 官の政策を民間企業に委託するとその先からは民間企業間の取引となり説明責任は回避される、そんなペテンみたい手法がまかり通るのは、およそ先進国ではありません。納税者がもっともっと税金の使い道に関して追跡を迫る、さらにその効果についても説明責任と総括を求め、次の政策につなげるプロトコルを構築しなければ、無駄遣いは一向に減ることはないでしょうね。

 そして、打ち出した政策が仮に「失敗」との評価があったとしても、それを認めることが大切であり、貴重な資料として次の政策立案に活かしてもらいたいと切に思う次第です。

 マスメディアの使命として、或いは日本の本来の「シンクタンク」「政策提言集団」の使命としても、新たに求めたいと私は思っています。「科学的根拠に基づいた政策立案」、原発事故、自然災害、コロナ禍のようなパンデミック、すべてに共通する「科学リテラシー」の涵養は、日本の教育にも求められるものなのでしょうね。

経同会、新しい委員会発足!!

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 北海道経済同友会の新しい委員会活動『北海道地域活性化委員会』が始まりました。委員長は日本銀行の前札幌支店長だった小高咲さん(現在は(株)北海道二十一世紀総合研究所取締役副社長)、先日はそのキックオフミーティングが開催されて、北海道庁の企業誘致のご担当の方のお話ほか、積極的な意見交換もあり、今後に期待感を高めました。

* これまでの関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%90%8C%E5%8F%8B%E4%BC%9A

 講演後はこれまでのこの会の委員会活動、幾つかの提言を積み重ねてきた足跡の振り返りでした。

 それを踏まえて、ポスト・コロナ、ウイズ・コロナの新たな時代における北海道の産業振興、働き方・暮らし方の改革について、その方向性のたたき台です。

 そして今後の議論の方向性・イメージも確認しました。

 私はこれまで20年以上、この北海道経済同友会で幹事を引き受けています。個人資格で会員登録しているこの経済団体では、他団体と違ってかなり毎回議論が盛り上がっていたのですが、昨今は大手企業の支店長の年代も若くなるに従ってか、予定調和的な雰囲気が漂っていて紛糾する場面も殆どなく、私自身は何となく物足りない、あるいは多少の孤立感も正直感じていました。今回、コロナ禍を経てメンバーも何か感ずるところがあったのか、それぞれ質疑応答では含蓄のある意見が多く面白くなってきました。3・11の原発事故に関して、翌年の富山での全国大会分科会で私も登壇した時のあのアウェイ感から時を経て、再び経営トップの視座からの提言をしていきたいと思いますね、乞うご期待!!!

【 2012 富山での全国会議 】

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12630

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12606

心震えたトーク、学術会議任命拒否問題!

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 インターネットサイトに『Choose Life Project(https://cl-p.jp/』があり、様々なテーマで情報発信をしています。私は少し前からここのサポーターに登録してたくさん学んでいますが、先日の「学問と表現の自由を守る会主催・第1回ライブ&オンライン座談会」は、心が洗われるような素晴らしい内容でした。登壇者も納得のいく方々でしたが、「学問をする自由とは」ほかその発せられるメッセージの力強さに心が震えました。それぞれご専門の立場からの今回の「日本学術会議新委員任命拒否問題」を鋭く批判する姿勢、私は原発事故、コロナ禍等に関して従来の「専門家」への強い憤りを感じていたので、ここに登壇された方々の見識に、日本の希望を見出した思いです、特に若い温さんの率直なご発言は、私自身原点を見つめ直すような気持でした。

学問と表現の自由を守る会主催・第1回ライブ&オンライン座談会

https://cl-p.jp/2021/10/01/gakumon_hyogen_liberty/

出演】
<司会>
佐藤学(東京大学名誉教授)
<座談会登壇者>
加藤陽子(東京大学教授)
田中優子(法政大学元総長)
広渡清吾(日本学術会議元会長)
温又柔(小説家)

 社会に激震が走って1年、今なお6人の任命拒否はそのまま、新しい政権においても何ら説明されず、大学への統制は強まり、忖度によって報道の自由も狭められ、息苦しい窒息状況が続いています。あれから1年、これからの社会における「自由」、「自分からの自由」について語りました。

* 昨年の私の記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=40025

 任命拒否の当事者である加藤陽子先生のこの問題の一連の分析と考察、さすがに高校時代まで物理部所属の「リケジョ」の本領発揮、時系列と資料に基づく精緻なご発言には感動致しました。また、「既得権」としての「基本的人権:フンダメンタル・ヒューマンライツ」の意味付けほか、そもそものお話も新たな気付きを与えて頂きました。

 田中優子先生の前法政大学総長として、菅を巡る法政大学卒に関わるコメントは笑いましたね。また、ご専門の江戸時代文化等からの今の日本社会・政治に関するピリッとした辛口コメントも素晴らしい。

 広渡清吾先生は日本学術会議の元会長として、日本語の「忖度」の意味、ドイツ語では「先取りした服従」を深掘りして、また任命拒否の内閣としての法的根拠の脆弱性に言及し、説得力がありました、「内閣法」と「内閣設置法」の存在です、「波長を合わせる」政府の行為、総動員法的行動の危険性。「多様性」はそれぞれが「自立的」でなければ意味がないとも。「社会の水準を上げる」重要性。

* 広渡清吾先生の私の関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E5%BA%83%E6%B8%A1%E6%B8%85%E5%90%BE


 
 温又柔さんは切れ味抜群の発言で大変感動しました、自分の言葉を獲得すること、それが自分から自由になること、自分の立場が不自由への加担になっていないか。詳細は最初に記載した動画でご覧ください。

* 『Choose Life Project』関連の私の記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=Choose+Life+Project

 秋山財団は日頃から生命科学の広い領域の研究者の皆さまとお付き合いしていますので、今回のこの問題は看過できない忌々しき事態だと私は昨年から推移に注目しています。狭い意味の「学問の自由」という視点からだけでなく、広くこのところの安倍・菅政権のアカデミック・メディア・市民社会セクターへの異常なまでの介入に、引き続き緊張感をもって時代を見つめていかなくてはならないと思うのです、近代日本の歴史を検証するとその危険な状況は容易に理解できるはずです。結論として、最後に佐藤先生がおっしゃっていたように、一人一人、一団体一団体が、「それは変だ、おかしい!」と声を挙げることです!

『JCJ賞』 贈呈式 2021

Posted by 秋山孝二
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 札幌では、『メディア・アンビシャス』として市民が勝手に優れたメディアを選ぶ活動ですが、こちら『日本ジャーナリスト会議:jcj(http://www.jcj.sakura.ne.jp/』はメディア関係者の方々がノミネート・選考する活動、先日私も大賞ほかの贈賞式にZOOMで参加しました。

* これまでの『メディア・アンビシャス』関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%93%E3%82%B

◆21年JCJ賞贈賞式・記念講演

 冒頭の代表理事のご挨拶。


「私と沖縄」
講師:佐古忠彦さん(TBSテレビ報道局、映画監督)


 TBSテレビ報道局で様々な取材の仕事を続けるかたわら、映画監督として沖縄を題材にしたドキュメンタリー映画を制作している佐古忠彦さん。「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」は数々の賞を受賞し、今また「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」を上映中です。なぜ沖縄をテーマに取り上げるのか、沖縄とのかかわりや映画の内容に触れていただきます。今のメディア状況、表現の自由の問題などに懸念が広がる中で、ジャーナリズム精神を発揮する佐古さんの取材と表現に注目します。

◆JCJ賞贈賞式
 佐古さんの記念講演後に、JCJ賞の受賞者をご紹介します。受賞者スピーチがあります。
苦労話や工夫した点、読者・視聴者からの反響など、毎年、スピーチの中身が濃く、大いに刺激を受けます。

https://21jcjsyou.peatix.com/

審査委員長の講評

審査委員長の講評

【JCJ大賞】2点
● キャンペーン連載『五色(いつついろ)のメビウス ともにはたらき ともにいきる』(信濃毎日新聞社)
● 平野雄吾『ルポ 入管―絶望の外国人収容施設』 ちくま新書

【JCJ賞】3点(順不同)
● 菅首相 学術会議人事介入スクープとキャンペーン(しんぶん赤旗)
● ETV特集「原発事故“最悪のシナリオ”~そのとき誰が命を懸けるのか~」(NHK)
● 映画「標的」 (監督・西嶋真司 製作・ドキュメントアジア)

【JCJ特別賞】1点
● 俵義文氏   日本の教科書と教育を守り続けた活動

 今年の私たちの活動と比較しても大変興味深い選考結果でした。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=41139

 酷いニュース番組が多い中でも、果敢に日々取材を試みて貴重なメッセージを市民に届けている多くの方々がいらっしゃる姿に、今後も大いに期待したいし、私たち自身も応援し続けたいものですね!

秋山財団 贈呈式 2021(下)

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 2年続けての中止は活動の継続の観点からもいかにも知恵がない、そんな思いを34年前の設立時から会場にしている札幌プリンスホテルさんにもお伝えして、「コロナ禍のコンパクト・バージョン」贈呈式を企画し開催しました。

 研究助成事業の要、選考報告は選考委委員長の稲葉睦先生に行って頂きました、大変熱のあるお話でした。

 一方、ネットワーク形成助成事業の選考報告は、こちらの選考委員長・加藤知美さんが新たな採択を含めてのご報告でした。 
 

 締めのご挨拶は大原雅先生、秋山財団の理念を柔和なお話で再度お示し頂きました。

 2001年9月11日はアメリカの同時多発テロ 、2018年9月6日は北海道胆振東部地震と、私たちの贈呈式の前後には大きな出来事が起きており、今年もその当時を思い出されました。

* 2018年贈呈式の様子ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=34107

 私の今年のご挨拶~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 本日はコロナ禍の中、皆さまにはこのようにリアルに今年度贈呈式にお運び頂き、例年にも増して心から感謝と御礼を申し上げます。

 受賞者・受領者の皆さま、この度は誠におめでとうございます。今年は皆さまと財団関係者のみのご出席に限定させて頂き、万全の予防策で今日の日を迎えました。この場がただの式典・セレモニーではなく、秋山財団設立以来、年一度の「交流の場」と位置付け、今日ご臨席の皆さまにも是非その辺の意のあるところをお汲み取り頂ければ幸いです。

 3年前の昨日は北海道胆振東部地震、今年は、新型コロナウイルス感染の蔓延、記録的高温による熱中症、集中豪雨、57年ぶりに1年の延期を経ての東京オリンピック・パラリンピック等、怒涛の日々でした。コロナ禍の1年半の間、私たちの財団活動は、昨年は贈呈式は中止、今年度助成事業は淡々と作業を進め採択を決定し、同時に、8月にはリモートによる昨年の受領者の「交流会」を開催他、理事会・評議員会はハイブリッド形式を導入し、運営の振り返りも行う貴重な時間となりました。特に再確認したのは、国際情勢でパンデミックばかりでなく、2015年「パリ協定」、「SDGs」の採択、「EUサスティナブルファイナンス行動計画」、「タクソノミー」により、数年前から財団の資金運用環境の激変でした。

<事業実績>

 このようなコロナ禍の中、お陰様で基本財産の運用は順調で予定通りの事業予算を確保できました。それにより、2021年度、秋山財団賞1300万円、研究助成382,900万円、ネットワーク形成事業助成10823万円、合計494,023万円 となり、34年間の累計事業実績は、合計1,533件、総額11505万円となりました。これも偏に財団を支えて頂いた多くの皆さまの賜物と深く感謝申し上げます。

<財団が取り組む課題>

 この場を借りて、今、秋山財団が取り組む幾つかのテーマについてご報告致します。

1.財団理念の継承と事業の発展的具現化

* 多様な市民、学生、研究者、市民活動団体、関係者に財団理念や事業内容を紹介するツールとして、HP上でのブログの積極的な活用を通じた双方向のコミュニケーション向上です。

 事業では、このところ話題になっている「ダイバーシティ」、とりわけ日本社会全般で立ち遅れる「ジェンダー差別解消」の動きに注目しています。一財団の影響力は限られてはいますが、当財団でも以前から議論になっている女性研究者への支援(今年の研究助成38件の内女性3件)は、当財団設立者が女性という出自もあり、具体的な事業展開を目指し、理事会・評議員会・選考委員会のジェンダーバランスと共に、研究助成申請・採択における女性比率向上の具体策の議論を進めて参ります。

2.「アウトリーチ活動」の新たな展開

* 今後の財団事業の方向性として、全道地域を対象とした若い世代、研究者、地域づくりの担い手、地元の教育機関、受領者との更なる連携強化を推進する所存です。当財団は、2013年度からこの活動を本格的に実施し、財団の重要な事業として位置付けており、特に『防災』をテーマに、避難所における課題に注目したり、今後ともフィールドの違いを越えて広い視点から課題解決に向けたコラボレーションを実現して参ります。この10年を振り返ってみても、原発事故等の災害、コロナ等のパンデミックにおいて発せられるメッセージに対して、いわゆる「専門家」「研究者」と市民との距離・違和感とでも言うのでしょうか、専門分野の方々のメッセージが心に響いて来ない、届かない状況を多くの市民が感じています。日頃からのアウトリーチ活動を通じて、市民はもちろんのこと研究者ご自身にとっても有益な場となることを期待します。

 終わりに、昨今の社会課題に対して、現政権をはじめとする政治の世界での『科学的知見』の欠如は深刻で目を覆うばかり、また国際社会における日本の埋没、劣化を感じているのは私ばかりではないでしょう。生命科学を基盤とした秋山財団らしい新しいステージでの「アウトリーチ活動」を提起し、この実現の為にもここにお集りの研究者・市民の皆さま、財団関係者の皆さまの更なるご協力・ご提案をお願いしたいと思います。

 重ねて、本日の受賞・受領、誠におめでとうございます、今後のご参会の皆さまのご活躍を心から期待しています。

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『処理水』だって、水野!!

Posted by 秋山孝二
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 NHKテレビのニュース、解説委員・水野倫之はまだこんな『処理水対策』という言葉とマンガで懲りずに説明していましたよ、2011年の東電福島原発事故直後から一貫してNHKで報道に携わっていますが、ここにきて『汚染水』を『処理水』はないでしょう!!!

* 以前の私の水野記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=38337

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=41789

相変わらずの水野!

相変わらずの水野!

東京五輪に想う

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 先日の2021年開催の『2020東京五輪開会式』のライブを見ていて、遥か57年前の東京五輪開会式を想い出しました(https://www.youtube.com/watch?v=XIy0c7FV-6k&t=156s)。当時私は中学二年生、10月10日は午前授業になったような気がしていますが。

 今回は誘致決定のプレゼンからケチが付き続けた稀有なプロジェクトですね、当時の安倍首相が誘致プレゼンで福島原発事故は「アンダーコントロール」と言い放っていました。その後の数多くのトラブルから、IOCの体質も浮き彫りになってきました、IOCのために日本国・国民だけがリスクを取らされている、そんな気さえする昨今です、開会式のIOCバッハ会長の冗漫な内容の無い挨拶も近年にない酷いものでした。

ハンガリー選手団の入場!

ハンガリー選手団の入場!

 案の定、翌日の新聞は辛口の記事で。

 その後、各種目の開催が進むにつれて、例によってマスメディアのメダル狂騒曲、相変わらず国別メダル数の表が新聞各紙に踊っています、変わらない、いや今回の場合はコロナ禍のパンデミック報道を差し抑えての大騒ぎ、日本のジャーナリズムの底の浅さを露呈しています。私は山極寿一先生のご意見に賛同致します。

* https://digital.asahi.com/articles/ASP7R5KPFP7FULBJ00P.html?iref=pc_rellink_06

 日本での新型コロナ感染者の数は特に東京ほか首都圏で爆発的に増加している昨今、とても五輪、金メダル一色で浮かれている暇はありませんね、心して現実に対処しなければ!!!

おしどりマコ・ケン、パワー全開!!

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 「だまっちゃおれん原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜原告団」主催のおしどりマコさん・ケンさんによる取材報告〜みんな忘れてない?原発事故10年の真実〜』は、この間ずっと変わらずに取材を続けているマコさん・ケンさんのお話、面白おかしく、しかし的を射た指摘の数々、相変わらずのパワー全開でした。

* https://www.youtube.com/watch?v=M8pAzZyZ1cQ

 おしどりのお二人は3年前に札幌にお招きして講演をして頂き、その後の交流会、ススキノでの会と親しくお話をすることができました。

* 2018年7月 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=33725

 今回は原発事故から10年経って、その真実を取材に基づいてのお話、大変説得力がありました。

 この場の終盤で話題になった開沼博氏の『風評加害(https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2019031800004.html?page=2)』という言葉、何かの講演会で彼が使ったとか。

『いないことにされる私たち』

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青木美希著 (朝日新聞出版)『いないことにされる私たち~福島第一原発事故10年目の「言ってはいけない真実」』!

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福島第一原発事故から10年。
 たくさんのひとたちが、いまも避難生活を続けざるを得ない状況であるにもかかわらず、国は住宅提供を打ち切り、ともすれば「避難者」と見なさない。それはなぜなのか。当事者、官僚、県職員などへの取材から考える。「住宅提供を打ち切られれば暮らしていけない」「なぜ避難者の数に私は数えられないのか」。甚大な被害を及ぼした福島第一原発事故――避難者たちは、国の政策に翻弄されながらこの10年をどう過ごしてきたのか、その実態に迫る。

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 先日は、ロフトナインプロジェクトでリモート対談がありました。

* https://www.loft-prj.co.jp/schedule/broadcast/181218

青木美希(新聞社に記者を外された原発事故取材者)
相澤冬樹(NHKに記者を外された森友事件取材者)
神田桂一(会社組織に戦力外通告された漫画「めぞん文豪」原作者・司会)

ZOOMでのトーク

ZOOMでのトーク

 青木美希さんは札幌北高出身、北海タイムス、北海道新聞を経て、現在朝日新聞で活躍されています。3・11から10年、昨年3月にメッセージを発信しています。

* https://www.youtube.com/watch?v=rk-KderBZDs

金岡祐一先生 ご逝去

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 秋山財団の設立当初から選考委員長、評議員、理事として、財団の基盤を創って頂いた金岡祐一先生がご逝去されました。北海道大学薬学部からご連絡を頂き、先日は北海道新聞に死亡告知が掲載されました。

 心からご冥福をお祈りいたします。

 これまでにも何回か金岡先生のお話は記事にしています

* 2012年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12594

* 2015年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=24562

 原発事故後の状況に関しても、科学者・研究者のお立場から大変示唆に富むコメとを私に頂きました。

~~~~~~~~~~ 私の当時のブログより

 今さらの気もしますが、線量の違いは見た目には全く分かりませんね、気温・湿度等とは違って、人間の五感では判別できない「放射線量の怖さ」が分かります。もちろん、線量「0.00」状態を望むわけではありません。おおよその「安全の目安的数値」はあるとは思いますが、瞬間的数値の意味だけでなく、「内部被曝」を含めた体内への長期的影響も懸念される「放射能汚染」、医療・研究機関のように狭い管理された空間ではない「環境」においては、「安全基準」はあり得ない、やはり人間の手には負えないものと理解すべきですね、そんな現場感をあらためて強くしました。何を言いたいのかというと、今回の爆発事故で環境に放出された放射線量と、病院等でのX線被曝を比較して、「大丈夫、安心です!」と喧伝する解説者・メディアがナンセンスだと、声を大にして叫びたいのです。

 それともう一つ、定時定点観測を継続的に公開していくことが重要です。「大丈夫」とか、「安全です」とか言うのではなく、淡々と現実の「数値」を掲載すること、そして、それを個々の人間が判断するレベルの見識を持つことが、3・11以降の日本で暮らす人々に必要なのだと思います。富山でお会いした金岡祐一先生が、おっしゃっていました、「正確なデータを継続的に公開すれば、世界の良質な研究者が信頼するその数値を基に、多くの貴重な考察・コメントを寄せてくれる時代でしょう」、「『風評被害』を言うのであれば、『風評加害』も同時に存在するはず」、と。

 データに基づくしっかりした議論を、これからも身につけたいですね。

~~~~~~~~~~~ 引用おわり

 金岡祐一先生、本当に秋山財団創設時から大変お世話になりました、先生のご意思をしっかり受け継いで、秋山財団の運営に尽力致します、心より感謝申し上げます、どうか安らかにお眠りください。

3・11から10年を迎えて

Posted by 秋山孝二
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 2011年3月11日の東日本大震災から10年、今年はこれまで以上に多彩な企画番組が多かったような気がします。録画して観ましたが、原発事故ほか、メディアの報道に関わっている方々の貴重な意見交換の場もあったりで、新たな気付きも多かったです。

 福島原発事故を検証する内容の濃い番組、10年を経て当時の状況を語る当事者たち、今後の危機管理に必ず活かしていかなくてはなりませんね。

 次は『クローズアップ現代+(https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/)』のキャスターを4年間務めていた武田真一さんが3月末で卒業です、熊本地震の時の報道が印象的でした!

* https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/199/index.html

 そしてこちらは、各局で報道に関わっている方々の貴重な意見交換の場、特に渡辺宜嗣(のりつぐ)さんのお話に重みがありました。

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あしたの命を守りたい〜NHK民放 取材者たちの震災10年〜の出演者

 新人とベテランが平場で語り合い情報を交換する、素晴らしい企画だったと思います。東日本大震災ではメディアの大切さ、課題等、学ぶところが満載です、是非、次の報道に役立ててもらいたいものです。

懐かし、海外からのお客さま !

Posted by 秋山孝二
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 コロナ禍が続き、この間予定していた秋山財団のイベントも中止になり、ふと過去の記録を振り返っていると、懐かしい近い過去のお客さまの思い出にしばし魅入りました。

 2008年、当時、市民活動助成で応援したチェルノブイリの子供たちを支援する市民活動の方からのご依頼で、駐日ベラルーシ大使ご夫妻とチェルノブイリの子供たちが秋山財団事務所を訪問されました。当時元気に建物内を走り回っていた子たちも、12年経ってどんな大人になっているのでしょうね。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7835

大使ご夫妻

大使ご夫妻

チェルノブイリ原発事故の子供たちと

チェルノブイリ原発事故の子供たちと

 そして、お客様といえば翌年の2009年には中国からも、市民活動の窓口となっている中国の行政府の皆さん、(公財)公益法人協会から地域に根差している財団の見学希望ということでご依頼がありました。当日私は、東京での外せない用事があり、萱場利通監事が秋山財団を代表してお迎えしました。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2816

写真が小さくて申し訳ありません。

 今、海外からのお客様はなかなか移動も難しく訪れることもありませんが、秋山財団も引き続き海外とのネットワークを大切にしていきたいですね。もう十数年前に、私がアメリカ・シアトルで開催されたイベントに参加したこちらの団体『Council on Foundations(https://www.cof.org/content/council-foundations』、今でも何かの機会にはフォーラム等に参加してみたいなと思っています。

 アメリカ・ボストンの『JFK Library(https://www.jfklibrary.org/』も数回訪問後もずっと注目しています。今のアメリカの大統領の立ち振る舞い、当時の品格からすると見る影もなく、危うさ、寂しさを感じますね。

* 関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=jfklibrary

児玉龍彦先生のメッセージ

Posted by 秋山孝二
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 東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦先生は、2011年3月11日の東日本大震災で起きた福島第一原発事故に対しても、鋭い指摘を行ってきていましたが、今回のこの時期にもまた、大変的確なメッセージを発信されています。原発事故関連では、私の所属する経済同友会の全国会議にもしばしばご登壇されて、大変説得力のあるご発言をされていて、私は信頼申し上げていました。

* これまでの児玉龍彦先生関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E5%85%90%E7%8E%89%E9%BE%8D%E5%BD%A6

 この時期の活動について、先日インターネットにアップされていました。児玉龍彦先生とともに、資金面で支援している村上財団(https://murakamizaidan.jp/concept/)村上世彰理事長も同席しての記者会見、それぞれ明快でした。

* https://www.youtube.com/watch?v=8qW7rkFsvvM

インターネット動画サイトで

児玉龍彦先生:インターネット動画サイトで

村上理事長

村上世彰理事長

 数日後、今度は国会で。

* https://jp.reuters.com/article/japan-coronavirus-idJPKCN24H0TS?fbclid=IwAR2y3l3WQGeO6bT2fpuy7llT6Nh0bd0MwpeFB19XK70iMg4kB1G-az81XpM

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 [東京 16日 ロイター] - 東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏は16日の参院予算委員会(閉会中審査)で参考人として発言し、新宿区に新型コロナウイルスのエピセンター(感染集積地)が形成されつつあると指摘した。感染拡大防止に「国の総力を挙げないとニューヨークの二の舞になる」と述べ、大規模なPCR検査の実施などを通じて制圧することが急務だとの認識を示した。杉尾秀哉委員(立憲・国民、新緑風会・社民)らへの答弁。

 児玉氏は「極めて深刻な事態となっている事」について報告したいと述べ、「東京にエピセンターが発生しており、今、全力で食い止めないとニューヨークのような事態になる」と指摘。外出自粛を呼びかけるステイホームでなく、「遺伝子工学・計測科学を使った(感染者の)制圧が重要。致死率は時間と共に上昇する」と懸念を示した。

 その上で「責任者を明確にしてトップダウンで前向きの対応が必要」として、「今すぐ国会を開くべきで、今する対応は来週する対応の百倍の価値がある」と提言した。

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 「専門家」と称される方はあまたいらっしゃいますが、児玉龍彦先生のように「国民・市民のために闘う専門家」の姿を見ると、日本もまだまだ捨てたものではないと気持ちが明るくなります、これからも注目します!!

変わらない、NHK水野倫之

Posted by 秋山孝二
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 NHKの水野倫之解説委員が、夕方のNHK総合番組で解説した、「原発処理水環境放出提案 広がる反発」(https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/417922.html。2011年3月11日の東日本大震災、その後の福島第一原発爆発事故の時、熊本地震の時も水野氏は解説をしていましたが、いつもメッセージに気迫を感じなかったのは私だけではなかったと思います。タイトルには「広がる反発」とは銘打っていますが、その内容たるや政府の有識者会議の報告がメインで、肝心の現地・福島の方々の意見が極めて少ない、取材を確かにしたのでしょうか、何か意図的とも思える報道スタンスです。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=26258

 汚染水からは放射性のトリチウムは取り除くことができず、すでに117万tの処理水がたまり、2022年夏にタンクが満杯になる見通しと、まずは現状を手身近に解説。

 そこで経産省がきのうの専門家会合で示したのが、
▽海水で薄めて海へ放出する、
▽煮詰めて水蒸気にして大気中に放出する  という2つの環境放出処分案。
経産省はほかにも地下に埋めたり、敷地を拡げて長期保管することを検討したものの、実績が無かったり、許可を得るのが難しいと説明。
これに対し海洋放出は世界中の原発で普段から行われ、大気放出も実績があること。

 また被ばく影響の試算では海洋放出で年間最大0.62μSv、大気放出で1.3μSvと、人が自然界で受け、2100μSvを下回って影響は小さいため、環境放出が合理的だという。でもこの環境放出案、風評被害など社会的影響が大きくなる点をはっきり示していない点が大きな問題と説明。


 一方、福島の漁業、水揚げはいまだに事故前の2割にも満たない厳しい状況で、今、環境放出されれば、「また海へ放出された」点が強調されて全国に伝わり、壊滅的な打撃を受けるおそれを漁業者は懸念しています。今後は専門家会合の議論を参考に、最終的には政府が関係者の意見も聞いて処分方法を決める方針とのこと、政府側の代弁に終始していました。

 ただどんな方法をとるにせよ、風評被害は抑えなければならず、そのためには福島の魚などを買う全国の消費者に政府が説明しておく必要があるが、取り組みはまだ不十分。今後、消費者団体などに丁寧に説明して、理解が得られるか見極め判断していくことが必要と最後に簡単に締めくくっていました。

 原発事故時の彼の報道の仕方、熊本地震時のスタンス、そして今回のこの報道、一貫してジャーナリストとしての熱を感じず、どこか上から目線の冷たさを感じました。

 先月のNHK山崎記者とは対照的なテーマへの姿勢・醸し出す雰囲気でした。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=38219

3・11から9年目

Posted by 秋山孝二
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 2011年3月11日の東日本大震災から早9年が経ちましたが、今年の特集では、NHK総合テレビの原発関連企画が印象的でした。

* https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20200315

ずっと追いかけている山崎記者

ずっと追いかけている山崎記者

 東京電力福島第一原子力発電所で起きた史上最悪レベルの原発事故を、独自に検証してきたメルトダウンシリーズです。今回は311までの数年間、関係者の間で、津波対策についてどのような議論が行われていたのかを取材し、事故に至る道のりを検証していました。1000ページを超える国や電力会社の内部文書を入手、さらにおよそ100人の関係者を取材しています。東京電力を中心に電力会社の間で、国の「長期評価」をめぐって行われていた会合で、「巨大津波への備え」について各社が交わしていた生々しいやりとりが明らかになり、さらに、当時新たな知見が次々と出ていた過去の巨大津波「貞観津波」についても、規制当局の保安院、研究機関、電力会社、地元自治体などの間で行われていた詳細なやりとりも見えてきました。事故前に具体的な津波対策を実施することはできなかったのか?原発の安全審査に関わっていた中心的人物などのインタビューを交え、9年たって見えてきた新事実を描き出していました。

津波の予測

巨大津波の予測はしていた

津波の予測メルトダウンの可能性予測

 NHKのアーカイブスの厚みというか、継続的取材を続けてた山崎記者に拍手ですね。第二次世界大戦の日本の軍部に通じる隠ぺい体質に、あらためて日本の脆弱さを痛感します。今の新型コロナウイルス感染に対処する政府等の姿勢にも同じ匂いを感じる昨今です。