秋山財団の「アウトリーチ活動」について、つい先日これまでの活動をHP上に掲載しました。
* http://www.akiyama-foundation.org/news/765.html
思い出してみると、2011年3月11日直後に、私はこの欄でマスメディアと「専門家」について下記のように書き留めており、それ以来ずっと持ち続けている問題意識です。
* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7922
特に以下の部分は、その後の展開の中でも変わらず意識を集中していく必要があると思っています。
===========2011.3.20のブログより
私たち秋山財団では、昨年から「研究助成」の要項に、「アウトリーチ活動」を義務付ける一文を入れ始めました。秋山財団の研究助成を申請する必須要件としての「アウトリーチ活動」です。それ程大げさなものを考えている訳ではありません。ごく普通の子どもたち、市民が、研究者たちが日常使っている専門用語から何を連想するか、どんな心理状態となるか等を、大学教授も若い研究者も、その初期から学びながら研究活動を行うべきだと思います。
私は数日前の<大地震、今、感じること(1)>で次のように書きました。~~~~~~~~~~
丁度、今、早朝テレビのワイドショーで、原発の専門家という方が、「すぐに1986年のチェルノブイリ事故と今回の事故を一緒にする人たちがいるが、全く違います!」と、あたかも心配する市民の無知を叱責するような言い方でしゃべっています。
でも、そうではありませんね。理屈とか理論ではなくて、直接会って知った人々の顔と現実が最も説得力があるのであり、そこから連想する「不安」を払拭できない専門家の理屈こそ、「ニセモノ」と言うものでしょう。歴史的事実、或いは目の前に起きている現実に直面して、社会にしっかりした「安心」を提供できない「専門的知識」とは、一体どんな意味を持つのでしょうか。今こそ、「専門家」としてのこれまでの活動が問われているのです。
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ヨーロッパの方々にとって、「原発事故」は、チェルノブイリ事故なのですよ、研究者がどんなに「それとは違う」と主張しても、そういった認識にある人々への説得力ある説明が前堤だと理解すべきです。タコつぼ的研究、独善的研究に問題提起を与えてくれるのは、子供たち、市民たちの素朴な疑問なのではありませんか。それは自身の研究への余計な労力ではなく、大いに役に立つ価値あるメッセージだと確信します。
============= ブログからのコピー おわり
従来の自然科学の「専門家」が、切迫した命の課題にどう立ち向かえるのか、先日の「メディア・アンビシャス映像部門大賞」を受賞した「海の放射能に立ち向かった日本人~ビキニ事件と俊鶻丸」(NHK)でも、あの時代の科学者と比較して現代の劣化を感じるのは、私だけではないと思います。当時の水産庁長官が外務省局長宛に顧問団の結成と調査船派遣を通告しているのです。見識、矜持、勇気とか、そんな人間としての資質が問われているのだと思います。この番組は、昨年9月に放映されましたが、大好評でリクエストが多く、今週末7日(金)深夜に再々放送が予定されています(http://www.nhk.or.jp/shizuoka/bikini60/blog/index.html)