箱﨑陽一先生、逝く

Posted by 秋山孝二
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 「一般財団法人 札幌南高学校林(http://www.rikka-forest.jp/)」理事の箱﨑陽一先生が、2018年6月12日13時32分、お亡くなりになりました。札幌南高松本事務長、奥様の瑞枝さまから相次いでご連絡がありました。永年、リンパ系のガンで入退院を繰り返し、先月25日に私は久しぶりに病院にお会いしに参ったばかりでしたので、大変残念でなりません。

< 箱﨑先生に関する記事 >

* 2016年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=23501

* 2017年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=29403

* 2017年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=29919

 お通夜・告別式は、北広島市で家族葬で執り行われましたが、連日、大勢の参列者でお別れを致しました。お通夜の折に、奥様の瑞枝さまから、告別式での弔辞を依頼されてお引き受け致しました。家に戻り、しばし生前の箱﨑先生と深夜まで真摯に向き合って準備し、当日、唯一の弔辞として拝読させて頂きました。

優しい笑顔のご遺影

優しい笑顔のご遺影

< 私の弔辞 >

弔辞

 一般財団法人 札幌南高等学校林理事、故箱﨑陽一先生のご霊前に、謹んでお別れの言葉を申し上げます。

 つい二日前の午後、札幌南高から「箱﨑先生ご逝去」の報が届き、私はにわかには信じがたく、しばし呆然としておりました。というのも、年明けから肺炎等で体調を崩されていると伺っていたので少々心配していましたが、先月二十五日に病院を訪問して久しぶりにお会いした姿が、お声にも力があり、ことのほかお元気とお見受けしていましたので。

 私にとって、学校林財団との出会いは箱先生との出会いでもありました。私が理事に就任して間もなく、現役の教諭として地道に活動されていた箱先生は、植林・伐採が主体の活動から、多様な生態系としての視点、教育・研究の場としての視点、言い換えると環境林・教育林としての展開を提案し続けていらっしゃいました。

 今年、百七年目を迎える学校林、当初の焼け野原から植林を軸に立ち上げた壮大な森づくりは、この十数年、大きく変貌してきています。箱先生をリーダーに、これまでの保全事業から環境林・教育林としての価値を創り始めました。

 昨年のゴールデンウイークの合間、箱先生とご一緒に、水芭蕉も真っ盛りの湿地で、シイタケ、なめこ他の植菌をオリジナルの「YH法」はじめ、幾つかの方法で行いました。そして、簡単な昼食の時間は、箱先生のフォトコレクションの回覧時間、いや、正確にはご自分で撮ったのですから「箱ギャラリー」でしょうか。鮮やかなエゾエノキの葉を背景に、国蝶オオムラサキの多彩な写真の数々、じっと待っての接写レンズでの撮影は、かなりの忍耐力が必要でありまさにその執念と情熱に脱帽でした。

 また昨年は、学校での取り組みの論文テーマ「学校林にはばたけ国蝶オオムラサキをスローガンに ~オオムラサキの保護活動を中心に八年間実践した環境教育の総括~」で、公益財団法人下中記念財団第二回表彰事業の最優秀賞を受賞されました。東京での表彰式には私も応援で駆けつけ、箱先生はご夫妻でご出席、素晴らしい受賞スピーチでした。その論文の最後に、「退職後も学校林財団理事会や企画活動委員会の構成メンバーとして、準絶滅危惧種であるオオムラサキの保護に向けた企画・研究活動等に携わり、継続できる喜びを感ぜずにはいられない」と記されていて、私も昨日までそう信じておりました。

 白旗山の一部をなし、複雑な沢や尾根をもつ多様性と魅力のある学校林。 この森を潤した水は、厚別川から石狩川へ、そして日本海へと注ぎ、海の命とつながる位置にあります。 そしてここはまた、教育の場であり、同窓や地域の交流の場であり、天然資源を生み、地域経済に資する場であり、世代間の架け橋でもあります。 連綿と続く札幌一中から札幌南高の歴史とともに歩んできた学校林は、これからも六華同窓の縁と、地域とともに、美しく豊かに続いていくでしょう。先月二十五日、私が病室を離れる時、「学校林は同窓のためだけのものではなく、広く市民に開かれたものであるべき、私はそう信じている」とのお言葉、私は忘れることはありません。

 箱陽一先生、この学校林でのご業績が、言い尽くせぬ貴いものとして私どもの心にしっかり残っております。「箱プロジェクト」の実践は、松本美奈子さん、宮本敏子さんをはじめとする強力な女子力、「オオムラサキ・キノコチーム」として新たな担い手たちが立ち上がり、一歩一歩前に進んでいます。「六華の風」になって、あの大きな空を吹きわたり、百年、そしてさらに先まで見守って頂きたいと思います。歴史に刻まれたこの財産と陽一先生の生前のご尽力に深く感謝するとともに、これからも永く継承し力強く歩んでいくことをお誓いし、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 どうか安らかにお眠り下さい。

平成三十年六月十四日

一般財団法人 札幌南高等学校林

理事長  秋山 孝二