画期的判決、「情報開示」への新たな時代

Posted by 秋山孝二
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  沖縄返還時の日米政府間の密約を巡る情報公開訴訟は、先日東京地裁で画期的判決が出ました。

http://www.asahi.com/national/update/0409/TKY201004090506.html

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/

 山﨑豊子著「運命の人:http://bunshun.jp/pick-up/unmeinohito/#character」でも、リアルに表現されています。長い戦いの末に獲得した「判決」と言えましょうか。控訴するかどうかはまだ分かりませんが、戦後生まれの私としては特段に重要な今後の動きであり、引き続き注目して参ります。

 今年2月2日、北海道新聞朝刊に掲載された私の「新聞評」の原稿です(太文字はこの欄用に編集)。 ————–

 日韓併合100年、日米安保条約改定50年、冷戦終結20年、2010年をどう位置付け認識するのか、転換点として期待と不安を抱きながら、私は選挙による政権交代後の新年を迎えた。

 「新春四季対談:時代を開く」(4日朝刊)の歴史学者加藤陽子氏・川島真氏の対談、「小樽商大生と記者座談会」(11日朝刊)は、新鮮な視座を提供して、時代の変化をそれぞれの立場で実に的確に指摘している。特に昨年の衆院選での出口調査の経験から時代を読みとる若い感性に、メディアは大いに学ぶべきではないか。対談では説得力ある史料公開の重要性を語っていたが、モスクワ・ロンドンからの「北海道の独立・英米が警戒」(5日朝刊)、冤罪根絶を語る「徹底した証拠開示を」(18日朝刊)にもあるように、「情報公開」により時代認識を変え、新しい方向性を見出せる。モスクワからの記事は、昨年5月の連載「シェワルナゼの証言」とともに興味深かった。

 新政権誕生によりメディアの自由度は高まり、政権・検察ばかりでなく、権力とメディアの新たな緊張関係が生まれて、本来の監視機能が問われる。情報文書は国民のものであり、「情報公開」への扉を是非こじ開けて頂きたい。         

 特集「多極化すすむ世界」(18日朝刊)は、寺島実郎氏の枠組み論議の構想力が際立つ。軍事同盟としてだけの日米関係は片肺であり、21世紀の日本の安全保障という視点から、日中米関係、及びグローバル社会での気候変動等、日本の果たすべき役割の企画も期待する。「COP15に参加して」(7日夕刊)は、全員参加型秩序の時代とはいえ衝撃の結末で、結果的にG8・G20の枠組みでも間に合わない「転換期」を印象づけた。

 経済分野では経営破たんとなった日本航空の会社更生法適用、すでに十数年前から利用者としてその体質を感じていた私は他社を選択していたが、今回は膨大な税金投入による再建で、納税者として注視せざるを得ない。「信奉者多い起業家」(14日朝刊)、この時期に日航CEOに就任した稲盛和夫氏の「覚悟」と「勇気」に対して、この程度の記載では全く物足りない

 一方北海道との関係性で、「地域主権改革勝負の年」(6日朝刊)が具体的で分かりやすかった。同じく地元に根付いた地道な活動の連載「変える変えたい2010」(3-9日朝刊7回)は、キーワードの解説も毎回コンパクトに含まれて、担い手達の力を実感した。

 未来は予測するものではなく創り出すものであり、激変期にありながら「従来型」の視座に固執では感動はない。特に「東アジア共同体」構想の国際社会での意味、4つの密約等について、編集には座標軸と原点を示す「覚悟」と「勇気」を期待したい。

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  判決後の記者会見で西山さんがおっしゃっていましたが、この判決は「情報開示に対する『革命』だ」と。昨年の政権交代後、時代は少しずつ変わってきているのでしょう。メディアの情報開示に対する姿勢も転換して貰いたいものです。