以前、アメリカ・オレゴン州ポートランドのヘンリー上野さんご夫妻とお会いしたことをご紹介致しました。
http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=323
先日引き出しを整理していると、ポートランド日系人会が主体となって寄付を幅広く集めて設立したリタイアメントホーム、「いこい荘テラス」の写真が出てきました。札幌とポートランドとの交流活動の最中に、上野さんらから要請を受けて、私たちのグループは、札幌市民にも寄付依頼をお願いしました。連邦政府の支援も受けて、予定通り設立し、今その目的を果たし続けています。周辺も整備されて、素晴らしい施設に成長しているとのお話をお聞きしました。
寄付の中心になったのは日系人会でも、入居者を日系人だけと制限することは許されないそうです。収入の基準他、あらかじめ明示した公正な基準に基づき、公平な選考過程を経て入居者を決定する義務を負っていると。マイノリティの比率も決められているとのことです。アメリカ社会では、市民による「ファンドレイジング(資金集め)」は実に盛んで、いわゆる「シビル・ソサイアティ」の確立が素晴らしいですね。意思ある方々がそれを形にしてお金を集め、そして運営していく手法が確立しているような気がします。まさに「新しい公共」を現実に実践しているのでしょう。
同時に設立する時の建設費だけではなく、その後の運営する費用と仕組みもセットになってプロジェクトを組む、そんな知恵もうかがえます。日本でも昭和30年代のまだインフラが貧弱な時に、「00期成会」みたいな活動が地域有力者を中心に立ち挙げて、積極的な活動をされていました。今は、どの世界でもただ苦情を申し立てるモンスタークレーマーが多いような気がします。自分たちの意思を「見える化」して、幅広い賛同者からお金を集めて実現する、そんな原点を見つめ直したい気がします。