5月のBoston 2015(7 最終)

Posted by 秋山孝二
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 そろそろこのシリーズを終わりにしないと延々と続いてしまうような気がします。

 まずは、「JFKライブラリー&「ミュージアム」の興味深いサイト二つ:

* 50周年記念サイト: http://www.jfk50.org/

* 日本とケネディとの関係(就任演説ほか):http://www.jfklibrary.org/JFK/JFK-and-Japan.aspx

 1961年の大統領就任演説の最後のフレーズです。

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 世界の長い歴史の中で、自由が最大の危機にさらされているときに、その自由を守る役割を与えられた 世代はごく少ない。私はこの責任を恐れず、喜んで受け入れる。他の者や他の世代と立場が替われたらと考える者などいまい。われわれがこの努力にかけるエネルギー、信念、そして献身は、わが国とわが国に奉仕する者すべてを照らし、その炎の輝きは世界を真に照らし出すことができるのである。

  だからこそ、米国民の同胞の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。

 世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由 のために、一緒に何ができるかを問うてほしい。

 最後に、あなたが米国民であれ、世界市民であれ、今ここにいるわれわれに対して、われわれがあなたに求めるのと同じ水準の熱意と犠牲を求めてほしい。善良な良心を唯一の確かな報奨として、歴史をわれわれの行為に対する最後の正しい審判として、神の祝福と助けを求めながらも、この地球上における神の御業を真にわがものとしなければならないことを知りつつ、われわれの愛するこの土地を導いていこうでは ないか。

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 次は、初日のフォーラムに主催者である昭和女子大学学長・理事長の坂東眞理子先生と、翌日のファー先生のご自宅での授賞式でお会いし、ゆっくりお話を致しました。坂東真理子先生は、「女性の品格」他の著書でも日本で著名ですが、昭和女子大学がなぜボストンに語学を軸とする出先教育機関を設立したのか等、大変貴重な内容を伺いました。

* 「学長ブログ」はこちら――> http://content.swu.ac.jp/president/

 更に帰路、ボストンのホテルで早朝だったため予め予約したハイヤーの運転手さん、何かものすごく礼儀正しいので朝から気持が良いなと思って車内でしばしお話をしていました。「どこから来たのか?」というから「日本からだよ」と。すると彼は、「ボクは日本、東京が大好きだよ!」。さらに続けて、「エチオピアのアベベ・ビキラをしっているかい?」、私は「知らない訳はないだろう、1964年東京オリンピックのマラソンで裸足で優勝した英雄だ」。彼は淡々と、「彼はエチオピアで今でもヒーロー。実はボク、2001年東京国際マラソンで、エチオピア選手として2位だった」と。後で調べたらこちらにある通り(http://homepage1.nifty.com/yito/marathon/2001Tokyo/index.html)、「2位 テスファイ・ジファル (エチオピア) 2°11′07″」、堂々たるタイムですよね。更に別のサイトでは「マラソン世界記録の歴代7位(2時間6分49秒)」の素晴らしい記録をマークしているのです。2001年のこの大会も下馬評として「◎(二重丸)」選手で優勝候補筆頭だったようです。

 「昔はマラソンで走り続けていたけれど、今はタクシードライバーとして毎日車で走っている!」と、やや自嘲的に笑顔で語っていました。東京国際マラソンの後にアキレス腱の故障で引退し、3年前に20年以上ここに住んでいる兄を頼ってボストンで働いているそうです。やはり世界記録を争う戦いを経験した人物は、何をやってもどこか抜きんでている、今回のボストン訪問を締めくくる極めて印象的な出会いで感動しました。

どこか風格が漂っていて品格を感じる風貌!

テスファイ・ジファルさん

どこか風格が漂っていて「品格」を感じる風貌!

 最後に番外編、乗継地のシカゴ・オヘア空港のラウンジ、トイレに入ってしばしチン黙していると目に入ったのが下のロゴ、まさに日本の成長戦略を象徴するように輝いていました。今回の出張、アメリカ本土を離れる最後は日本経済の今後のヒントを得て、気持よく日本に向かいました。

シカゴ・オヘア空港:ユナイテッド航空ラウンジの男性用トイレで

シカゴ・オヘア空港:ユナイテッド航空ラウンジの男性用トイレで

 やっとこれでこのシリーズを終えられそうです、ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

5月のBoston 2015(6)

Posted by 秋山孝二
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 Mariaさんと子供たち3人と少し遅い昼食は、サラダメインのレストラン。入口の「クイックライン」には、注文テーブルの上に画面が数台並んで置いてあります。このオーダープロセスが、実に私のリクエストをこと細かく聞いてきます。他のレストランでの光景でも感じるのですが、係の人へのお客の注文でも、とにかくアメリカ人の注文の仕方は、まさに「注文をつける」という日本語の通り、細かくしつこい位に妥協しないで自分の好みをリクエストすると言った感じですよね、それ程味の違いが分かるようなお客だとは思えないけれど・・・(失礼)。

レストラン入口:クイックライン 注文・支払は画面から

レストラン入口:クイックライン 注文・支払は画面から

 具の一品一品の入れる・入れないの選択が10種類以上、量を半分・倍・無の選択も細かく、途中で人が対応する方が「クイック」な気がしてきます。飲み物・デザートも含めて全てこちらでオーダーを終えて、ドリンクだけはドリンクコーナーでセルフサービス、他は待ち受けの小さな円盤形呼び出し器具を自分たちのテーブルに置いて待っている、そんな流れです。

一つ一つの具を入れる入れないの選択も

一つ一つの具を入れる入れないの選択も

 大幅な人件費削減を電子端末からの入力で実現している、その前のパターン分けによる商品のファストフード化等、食文化の変貌もこの間すさまじいですね。どんどん「文化」的な要素が排除されていくプロセスを見ている思いで、けっして心地よくはありません。現場の人の力の標準化と正確性が日本よりも低いので、こういったシステムを導入する理由があるのでしょう。

 そんなこんなで、次にMariaさんのご要望で足を運んだのがいわゆる本当に小さな町・Worcester の「Art Museum」、丁度、特別展「SAMURAI:侍」を開催中で、「Uncanny Japan」と題してYOSHITOSHIさんの作品展示が中心でした。日本人の私が観ても「Uncanny(薄気味悪い)」な作品がずらりと。どこか違和感があり、パロディでもなく中途半端な「日本文化のアレンジ」といった私の印象でした。「UncannyなのはJapanではなく、お前だろ」と言いたいようなそんな雰囲気も。とは言え全般的に、こちらの美術館系のHPの充実はプロフェッショナルの技を感じます。

* 「Worcester Art Museum」――> http://www.worcesterart.org/

* 「SAMURAI」特別展示 ――> http://www.worcesterart.org/exhibitions/samurai/

ボストン郊外の街で「SAMURAI 侍」の特別展示も

ボストン郊外の街で「SAMURAI 侍」の特別展示も

入口のウォールに

入口のウォールに

 特別展示ばかりでなく、常設展示の充実は素晴らしく、小さな町の3階建て美術館が、施設面ばかりでなくキュレーターはじめソフト面でもこれ程力を入れて芸術・文化を振興している様子に、アメリカ市民と地方自治の「底力」を感じます。