少し前の記事ですが、研究者を取り巻く切実な環境をあらためて知る思いでした、千葉大学の飛び級ということにも魅かれて、です。
~~~~~~~~~~~朝日新聞デジタル版4月1日より抜粋
https://digital.asahi.com/articles/ASR3045KVR2GUPQJ00S.html?
千葉大飛び入学、研究者、そしてトレーラー運転手 研究者の現実とは
物理の才能を見いだされ高校2年で千葉大学工学部に飛び入学し、今はトレーラー運転手として働く佐藤和俊さん。なぜ研究者の道をいったん諦めることになったのか。政府が科学技術立国の実現を掲げるなか、学ぶ側や研究者にどんな現実が立ちはだかっているのか聞きました。
・・・・・
「研究自体は絶対に面白い。面白いのはわかっているのですが、仕事として考えるとどうなのか。当時していた仕事より給料は少し下がり、任期もある。色々と迷った末に大学の研究員に挑戦しました」
「ただ、研究員は労働者として見られていないのかなと思う部分がありました。2年契約が終わる3月に、翌年の契約ができるかどうかわからないと言われました。別の職を探していいのかどうかわからない。半年後に契約できるかもしれないと言われても、その間どうやって暮らせばいいのか」
・・・・・・・
佐藤和俊(さとう・かずとし)
1981年生まれ。千葉県出身。高校2年次に千葉大学工学部に飛び入学。2004年、千葉大院修了。13年からトレーラー運転手として働く。
~~~~~~~~~~~~~
この数十年、日本の研究者を取り巻く環境は、およそ『科学立国ニッポン』を標榜するには全くお粗末な国の施策です。ノーベル賞受賞時には大騒ぎするマスメディアも含めて、いわゆる基礎研究への支援体制は21世紀に入って一層この国では疲弊しています。秋山財団で巡り合う研究者の方々が口々におっしゃるのは、この間の文部科学省の科学研究費における「競争的資金」の在り方、継続的傾斜配分による研究機関格差等の弊害です。
特に審査員と受賞者との関係性、これまでの実績と先駆的・ユニークなテーマとの乖離により、新しい研究の掘り起こしは現実的にはかなり困難な状況下と推察します。そして更に、今回ご紹介した佐藤さんのようなライフワークを難しくする研究者の経済的環境も。新しく有望な若手研究者に参入を促すような社会的環境を是非創っていきたいものです。年寄りはダメとは申し上げませんが、少なくとも今の立法府の議員達への報酬を大幅に減額して配分を研究分野に振り向ける英断を期待したいものです。
今日も後半の選挙投票日、昨今の国政選挙・統一地方選挙でみる議員たちの振る舞いを見ていると、以前にも書きましたがまさに「就職活動」を税金を使って行い、職を得て「国会・議会」に座ると寝ている酷い状態、納税者としてはとても許すことができない現実です。今後を背負う若い研究者、女性研究者が思いっきりこの日本国内で活躍できる環境づくり、北海道の地でその微力な応援を私どもの財団は担っていきたいと思っています。