NHK総合『映像の世紀~バタフライエフェクト』シリーズ、今回は『戦争の中の芸術家』でした。私にとっては芸術家の叔父のワグナー・ナンドールの存在があり、彼自身、時の政府との兼ね合いで亡命を余儀なくされた人生を身近に感じているので、世界の芸術家の戦時における立ち振る舞いとその後の人生は大変興味深いものでした。
* ワグナー・ナンドールーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%83%AF%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%
戦時では、音楽家・作家等、戦地での慰問とか自ら戦地に赴いたり、洋の東西を問わず様々な形で動員されているのですね。ベルリンフィル指揮者フルトヴェングラーはユダヤ人楽団員を守りながらもドイツに留まり、戦後ナチ協力者の疑いをかけられ数々のバッシングを受けたり、イタリアのトスカニーニは反戦の立場で戦時中は迫害を受けました。
ロシアの作家ゴーリキーは時のスターリンにすり寄ったと戦後批判され、作曲家ショスタコーヴィチは、スターリン体制で生き延びるために意に沿わない作曲を続け、独ソ戦では反ファシズムの象徴となる交響曲を作りました。
一方、日本においても俳優、映画監督、作家たちも戦争の渦中で動員されたのでしょうね。そうやって生きていくしかない彼・彼女らを、私たちは戦争協力者として批判する立場にはないののかもしれません。
芥川賞作家・火野葦平は従軍して書いた『麦と兵隊』がベストセラーとなりますが、戦後は罪の意識に苦しみ、彼なりの人生を終えました。
* 『麦と兵隊』復刻版ーー> https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000418/
戦後も様々な立場から批判を受けた芸術家たちも多かったようです。
人々に影響力のある芸術家ゆえに、戦時のプロパガンダの一員として動員されるのでしょう。どの国でも、芸術家たちは国家と表現の自由との間で揺れ続け、戦争は戦場だけで語られるものではなく、多くの人々の人生に影響を及ぼします。