<大地震、今、感じること(6)>
3月もあっという間に月末を迎えています。大変な一月となりましたが、皆さまお変わりありませんでしょうか。
この間、たくさんの情報がインターネットを通じても得られていて、昔に比べて、一層、従来の「マスメディア」の欺瞞性を具に感じます、大口企業広告との兼ね合いから、圧力による遠慮・自粛とは言え、とりわけ映像系メディアのですね。手元の震災関連の私のメモは、どんどん増えていきますが、月の締めとして、少し書き留めておきます。
まずは株式市場では、ストップ安になっている東京電力の株価(http://company.nikkei.co.jp/chart/chart.aspx?scode=9501&ba=1&type=year)が、実に正直な動きを示しています。先を読む株式市場で独占企業の株価として、今起こっている現実への対処の不透明性と企業の脆弱なリスクマネジメントへの評価なのでしょう。安易に「国の支援」とかと言う前に、当事者としての社会に対する経営責任をしっかり問わなければなりません。現場の関係者の努力と経営幹部の責任を明確に分離して、経営者の経済的責任、社会的責任を曖昧にしてはいけません。そして、今後の電力供給体制の再構築を早急に議論すべきだと思います。さもなくば、エネルギーに端を発した日本売りの様相を招きます、株価のメッセージは、すでに企業破たんを暗示しています。
「原発事故」に関して、一部の反原発派の即時廃炉主張に対して、東電・保安院の世論操作に警戒感を持ちますね。まさにこの「機」に乗じて、パブリック・アクセプタンス(public acceptance)活動を変わらず進めています。1)原発事故による「計画停電(実際は無計画停電!)」を、電力不足への不安を煽る材料として逆に市民を恫喝する機能を呈している、2)当面の防潮堤強化、ポンプへの防御強化等により安全性の向上、こんな大災害を乗り切った(?)日本の優れた技術等のアナウンスです。まるで、目の前の深刻な事態が収束したかのようなおめでたさです。
私は、今回の事故・報道で、東京電力は勿論のこと、マスメディア、経済産業省等は、国民の信頼を失ったと思います。「風評被害」とテレビで繰り返されていますが、ちょっと待って下さいよ、食べ物の放射線の高い数値に不安を抱く行動は、「風評被害」などではなく、市民のごく普通の感覚であり、批判されるべくは曖昧なメッセージしか発していない当事者たちではありませんか。以前、「自己責任」が喧伝された時も、本来は「自分で責任を取る」が、「お前、責任を取れ、俺たちは知らないよ」という意味でメディアで使われたのと同じです。言葉は大切です、巧妙に責任を回避する当事者と、それとスクラムを組むマスメディアを、私たちは見逃してはいけません。
インターネットを通じてのニュースチャンネル(http://www.ustream.tv/user/videonews.com)で、今回の件で冷静なメッセージを発信しているサイトがあります(http://www.ustream.tv/recorded/13551476)(http://www.ustream.tv/recorded/13552530)。トータル約3時間ですが、正しい現状認識、そして今、私たちが何をしなければならないのかを明示しています。
こちらも注目すべきサイトです(http://www.youtube.com/watch?v=ovv2__vc-Nk&feature=relmfu)。「ステーション・ブラックアウト」、青森県六ケ所村にも言及しています、集める危険性の指摘です。
私たちは何をすべきなのか、考えてみました。
1)持続可能な省エネ・節電計画をそれぞれ考え、電力会社に提案し、20~30%程度の節減は不可能ではないことを示す。そして電力会社は、特に、大規模な「計画停電(無計画停電)」については、ライフラインの確保を最優先に、きめ細かく優先順位を決めて周知すること。情報が集中している独占民間企業の優位性を活かして、早急にプランを示す、これ位できなくては民間企業とは言えません。
2)電力会社は、毎日供給できる電力を広く迅速に知らしめる
3)各家庭は省エネ・節電のライフスタイルへ変更する、昨日の札幌市内、まだまだ緊迫感がありません
4)企業は、これまで原発が止まった時の対処を参考に、一層の省エネ対策を練り直す、それは国際競争力を高めることになる
これからも補償に幾らかかるか分からない原子力発電を続けるのか、膨大な安全対策をしながら活用し続けるのか、それがクリーンで安価な電力なのか、電力会社が民間企業と言うのなら、自らの力で冷静に検討をすべきではないでしょうか。社内では、「自分たちは国策に沿って事業を進めただけ、むしろ被害者だ」という雰囲気もあるとか。驚くべき無責任体質です、そう発言してはばからない企業風土が、問題の温床ですし、日頃の経営者の傲慢さではありませんか。
パブリック・アクセプタンス(public acceptance)と書きましたが、この間の原子力行政推進では、1)反原発メディアに対しての集中豪雨的抗議文、2)小学校低学年からの原発推進のプロパガンダ、3)文化人等を使ってのパブリシティ記事掲載等、多額の資金を使って行われてきています。アカデミックセクターも、本来の「真理の探究」といった視座からではない、無責任で自己保身的立ち位置からのメッセージ発信を続けてきていました、産学官一体のですね。異様な一体感を以前から感じていましたし、今月のメディアに登場する方々を冷静に拝見して、確信を得ました。
それとこれはまだまだ議論が浅いですが、送電線の国有化とか、安全審査規準・保険料の見直しとか、国レベルで早急に方向性を示す必要があります。
引き続き予断を許さない福島県での「東京電力原発事故(東京電力の施設であることを明確にする必要があります)」、大変不幸ではありますが、新しい日本のエネルギー政策に向けた貴重な歴史的事実としたいものです、特に若い「いのち」、これからの「いのち」のためにですね!