原発事故報道、アウトリーチ活動の欠如!

Posted by 秋山孝二
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 <大地震、今、感じること(5)>

 危機的な原発事故について、テレビで連続的に報道される楽観的メッセージ、例えば核心を外すNHK解説者のM氏、保安院幹部の後追い記者会見、狭い視野の大学教授等、「これで一安心」、「体に害を及ぼすレベルで無い」、「CTスキャナー一回分以下」等の言葉は、何とも一般市民の心には全く届かないどころか、逆に大きな不安感と不信感をかきたてる結果となっています。今回の事故の放射能レベルを、医療機関のCTスキャナーによるレベルと比較して発表するそのセンスに、あきれてモノが言えません、誰もそれを聞いて安心なんかとは思いませんよ。

 それに比べて自衛隊・東京消防庁責任者の記者会見は説得力があります。実際の現場を踏まえた「危険予知力」の違いではないかと思いますね。今朝、テレビで放水活動に携わった東京消防庁ハイバーレスキュー隊指揮官の記者会見(http://ceron.jp/url/www.youtube.com/watch?v=6Vad16Rlx8U)で、「放射能に関して、十分な知識と理解がある隊員だけに、今回の放射能レベルへの恐怖心が強く、状況への危機感もあった。ただ、今、自分たちの活動が救世主にならなければという使命は十分認識しており、モチベーションは大変高く、今回の目標完遂があった」と、淡々と述べていました。

 日本の原子力・放射線関係の研究者に足りない事は、日頃の「アウトリーチ活動」なのではないでしょうか。「原子力発電」、「放射線管理」、「放射線治療」等における放射能の話を、ごく普通の市民に対して率直に語れる術(すべ)を日頃から磨いておく必要があります。「安全であるため」の説明ではなく、研究自体の説明・お話を、小学生にも分かる形で研究の一環として義務付ける、それぞれの学会の社会的使命として行うことが重要だと思いますし、是非、該当する学会は検討して頂きたいですね。

 私たち秋山財団では、昨年から「研究助成」の要項に、「アウトリーチ活動」を義務付ける一文を入れ始めました。秋山財団の研究助成を申請する必須要件としての「アウトリーチ活動」です。それ程大げさなものを考えている訳ではありません。ごく普通の子どもたち、市民が、研究者たちが日常使っている専門用語から何を連想するか、どんな心理状態となるか等を、大学教授も若い研究者も、その初期から学びながら研究活動を行うべきだと思います。

 私は数日前の<大地震、今、感じること(1)>で次のように書きました。~~~~~~~~~~

 丁度、今、早朝テレビのワイドショーで、原発の専門家という方が、「すぐに1986年のチェルノブイリ事故と今回の事故を一緒にする人たちがいるが、全く違います!」と、あたかも心配する市民の無知を叱責するような言い方でしゃべっています。

 でも、そうではありませんね。理屈とか理論ではなくて、直接会って知った人々の顔と現実が最も説得力があるのであり、そこから連想する「不安」を払拭できない専門家の理屈こそ、「ニセモノ」と言うものでしょう。歴史的事実、或いは目の前に起きている現実に直面して、社会にしっかりした「安心」を提供できない「専門的知識」とは、一体どんな意味を持つのでしょうか。今こそ、「専門家」としてのこれまでの活動が問われているのです。

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 ヨーロッパの方々にとって、「原発事故」は、チェルノブイリ事故なのですよ、研究者がどんなに「それとは違う」と主張しても、そういった認識にある人々への説得力ある説明が前堤だと理解すべきです。タコつぼ的研究、独善的研究に問題提起を与えてくれるのは、子供たち、市民たちの素朴な疑問なのではありませんか。それは自身の研究への余計な労力ではなく、大いに役に立つ価値あるメッセージだと確信します。