「2011.3.11」以降、私は被災地のごく一部ですが、時間を見つけては訪問しています。昨年は東京出張の折に、足を延ばして東北新幹線で郡山に、そこから会津若松方面に向かいました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12699)。今年は3月に宮城県仙台市荒浜地区、名取市閖上地区(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16071)、そして先日、郡山に行く用事があり、札幌から飛行機で直接福島空港へ、郡山、福島市、相馬、南相馬、飯館、二本松等、西部を通りながら放射線量測定もしてきました。
測定した器械は昨年同様です。 「エステーエアカウンターS:http://www.st-c.co.jp/air-counter/」は、「ガンマ(γ)線だけの測定」で、以下の数値の単位は「μSv/h : マイクロシーベルト・パー・アワー」です。この器具では、「0.05」以下は、みな「0.05」での表示となります。今回「0.05」で表示された地点は、恐らくそれよりもさらに低い数値だと推測されますね。
私たちが細心の注意を払わなければならないのは、「放射線量測定」といっても、何を測って、何を測っていないかを明確にすることであり、諸条件の違いで「放射線量」が意図的に誘導される危険を織り込まなければなりません、科学的に「諸条件を明確にして発表すること」の重要性ですね。大学時代に「物性物理学」専攻だった私、実験を繰り返してデータを収集・分析し、考察を経て卒業論文を書き上げた人間のこだわりでもあります。
人体への影響を警告するためには、福島県の線量の高い区域では「α線」、「β線」も入れて測定するべきなのでしょう。「γ線」のみだと70μSv/hだけれど、「α線」と「β線」を足すと500μSv/h越えという例も福島ではあったとも聞きます。α核種とβ核種は離れれば安全とは言いますが、体内に取り込んだら離れられない、「内部被曝」として人体への危険性は消えません。より楽観視しやすい指標で発表・判断するのは科学的ではなく、誘導・プロパガンダです。
「内部被曝」については、皆さんご存知の肥田舜太郎医師が広島原爆による被爆から、この間60年以上語り続けていました(http://www.uplink.co.jp/kakunokizu/)。今年2月発刊の新著「被爆と被曝:放射線に負けずに生きる」では、放射線障害研究の歴史の根深さを知ります、教育・研究分野でのこのテーマで、国際的責任を日本は果たさなければなりません。
知人のMさんからFBで教えてもらいました、たとえば条件が違うとこんなに数値は変わってきます。――><福島県相馬市 道の駅のアスファルト表面> アスファルト表面に直に置くと数値が急激に上がるのは、「β線」によるもの。空間線量測定に「β線」は含まれていません。
https://www.youtube.com/watch?v=jCG527ruCgc&feature=youtube_gdata_player
福島市信夫山公園・護国神社
二本松城城壁前
南相馬海岸線から南を望む
放射線の被曝に「安全値」というのは無いとは思いますが、国の基準でいわれている「1ミリシーベルト/年間」を今回測定した1時間当たりに換算すると下記の数値となります:
1mSv/y÷365÷24×10^3≒0.114μSv/h
今回の各ポイントの測定値(γ:ガンマ線だけ)です。測定器具は昨年のものと全く同じです。~~~~~~~~~~~~~~
福島空港・外 0.09
郡山市内・外 0.14
福島・信夫山公園 0.38
大波 (115号線沿い) 0.46
相馬市内 0.32
南相馬市内 0.43
飯館村(12号線沿い) 0.62 ~ 0.91
川俣町 0.36
二本松城跡 0.24
~~~~~~~~~~~~~ 昨年の測定値
福島県会津若松市の「鶴ヶ城」にも線量計が設置されています(http://www.aizukanko.com/news/index.cfm#wn97)。因みに、鶴ヶ城公園本丸内の放射線量、5月25日正午は、「0.12 μSv/h」 です。
単位 <μSv/h : マイクロシーベルト・パー・アワー>
郡山駅前・外 0.24
郡山駅・内 0.14
猪苗代 0.08
会津若松市内 0.05
宇都宮駅・外 0.09
茨城空港・外 0.12
~~~~~~~~~~~~~~ 昨年の測定値 おわり
さらに今、東京電力福島第一発電所事故現場では、汚染水が大量に海に漏れ出しています(http://www.youtube.com/watch?v=uEWO6FfUwJo)。海外メディア、研究者は、この海洋汚染を強く懸念していて、日本が国を挙げて対処しようとしていない現状に大変な危機感をつのらせています(http://rt.com/news/fukushima-apocalypse-fuel-removal-598/)。
今回、ごくわずかの時間でしたが、「除染」作業をする人々、あちこちにあるブルーシートを被せた土地ほか、放射能汚染の続く現地に滞在して、この状況を医療機関でのエックス線照射、放射線管理区域と同一視する方々のセンスを疑います。環境に広く放出された、匂いも、色も無い、いわゆる五感では感知できない放射線、それが今も継続して漏洩している現状、このまま放置すれば日本国民の分断が続き、人心は一層混乱するでしょう。
一方で、ただ危機感だけを募っていても、今現在そこに暮らしている方々もいます。その方々とどう寄り添えるのか、外の人間として考える責任もあります。私自身は、「飯館村放射能エコロジー研究会(http://iitate-sora.net/)」に注目していて、今年のフォーラムにも参加しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16313)。
今の状態は、福島県を中心とした「広大な国土の喪失」です。日本政府の国際社会での責務完遂、今、東電には当事者能力無しの中で、任にある方々の本気の原発事故収束への全力投球、それしか国際社会から信頼を回復し、日本国を救う道はありません。