札幌のシアター・キノで、先日の「人生フルーツ(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=29405)」に続いての感動の映画「わたしは、ダニエル・ブレイク(I,DANIEL BLAKE)(http://danielblake.jp/)」でした。館内はお客さんでいっぱい、この所、素晴らしい映画のオンパレードですね。
<ストーリー:HPより>
イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。・・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり
映画界からの引退を表明していたイギリスを代表する巨匠ケン・ローチ監督でしたが、現在のイギリス、そして世界中で拡大しつつある格差や貧困にあえぐ人々を目の当たりにして、今どうしても伝えたい物語として引退を撤回して制作されたのがこの映画だそうです。映画に数々出てくる窓口でのやり取りのシーンは、見事に現場を再現し、係員、警備員の言葉・対応等、驚く程身近でしたね。単純な対立構造ではなく、それぞれの立場に居ながら、葛藤する人物像も同時に表現している、きめ細かな演出を感じました。
カンヌ国際映画祭(http://www.festival-cannes.fr/jp.html)では、『麦の穂をゆらす風』に続く2度目のパルムドールを受賞しました。どの国の人々も経験がある不条理ではないでしょうか、そして、格差と貧困は今もなお拡大しています。
* パルムドール http://www.festival-cannes.com/en/actualites/articles/69th-festival-de-cannes-awards
ケン・ローチ監督 HPより
主演のデイブ・ジョーンズ、イギリス出身のコメディアンとHPで紹介されています、味わいのある雰囲気は素晴らしいです。縦割り制度・複雑な手続きの中でたらい回しとなり、人としての尊厳を踏みにじられ貧困に苦しみながらも、助け合い生きていこうとするケイティ親子との心の交流と温かい眼差しに、彼の人間としての魅力を感じます。
デイブ・ジョーンズ HPより
脚本はポール・ラヴァティ、「食べ物、暖を取ること、住み家。太古の昔から生きる上で最低限必要な要素です。この映画がいつまでも生々しい存在であり続けなければならないと、僕たちは腹の底から痛感しています」と語っていますが、それが映画のシーンとして、言葉で、場面で、見事に表現されています。
「尊厳」を失ったら終わりだ、私は人間だ!、心に重く響きます!!!