湯浅誠さん、岩盤を穿(うが)つ!

Posted by 秋山孝二
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  私も世話人の一人になっている「グリーン九条の会」が、「第3回講演会――経済の視点から平和を考える」を開催しました。湯浅誠(http://yuasamakoto.blogspot.com/)さんを演者にお迎えして、「岩盤を穿つ」と題し、質疑応答を含めて約2時間半、250名の聴衆と共に平和と貧困について考える素晴らしいひと時でした。

講演会チラシ

講演会チラシ

  講演の冒頭から、「3万人を越える毎年の自殺者、貧富の格差等、今問われているのは、日本社会そのものの問題である」と、そして2006年から始まった日本の歴史上初めての「人口減少社会」のリアリティが、今を生きる人々に殆ど欠如していることを鋭く指摘されました。

会場は250人の満席

会場は250人の満席

  社会としての解決策は、「一人ひとりの可能性を最大眼に引き出すこと」しかないのではないか、それが貧困問題から考える経済の視点である、と簡潔に語りました。

* 人間は見たいものしか見ないもの

* 貧困は「社会のあり方の問題」、それが「経済成長の問題」であるはず

* 「自死」「交通事故死」等の遺失価値は4兆円を越えるだろう―――社会に取っては「損する方向」に向かってきた結果

* 企業は社員をリストラ出来る、日本国は日本国民をリストラは出来ない、ワーキングプアもホームレスも日本社会のどこかで生きていくのだ

* これまでは「企業」と「家族」で支えてきた日本国、今はそれらの「溜め」が無くなってきた

* 「すべり台社会」で底辺に落ちた「Noと言えない労働者」には、一歩一歩上に昇る階段が必要

* 「貧困」と「貧乏」の違い:「貧乏」は貧しいが人間関係の「溜め」は存在する、「貧困」は貧乏で孤立している、すなわち「無縁」

* 自死する人のほとんどが「ゴメンナサイ」と言って亡くなっていく現実――社会自体の病理と受け止めるべき

* 今の日本は、「不満」と「あきらめ」が同居する状態で、最も不健康な社会

* 世代間格差、官民格差による対立・ギャップは、孤立と分断しかもたらさない、誰かが「呼びかける」必要があり、その人を「活動家」と自分は認識している

  講演後の質疑応答では、紙に多くの方が質問を寄せて内容も多様でしたが、一つ一つに丁寧にお答えになっていました。その後のサイン会でもたくさんの人が並んで、順番に個別に湯浅さんと言葉を交わす姿が印象的でした。25年以上も「もやい:http://www.moyai.net/」、「反貧困ネットワーク:http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/」を通じて活動されてきた方の、本物の姿を見て感動致しました。参加した多くの方々に、大きな勇気を与えてくれた講演でした。

大通公園:紫・白のライラックが満開

大通公園:紫・白のライラックが満開

 気がついてみるともう5月も終わりを迎えて、大通公園のライラックも満開でした。私にとって今年の5月は超過密スケジュールで、週末も連続してダブル・トリプルのイベント・会議の連続、どうやらそれも峠を越えました。しばし思索に耽りたいと思ってはいるのですが・・・・・。