情報発信の一元化は解決策?

Posted By 秋山孝二
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 東日本大震災関係、とりわけ福島原発事故に関するマスメディアの公的(?)情報源は、これまでの様子から見ると首相官邸をはじめ安全委(内閣府)、保安院(経済産業省)、東京電力の4つのようですね。以前から、この4つの異なった情報源から発信されることにより、一つの事実に対して4者の説明が食い違ったり発表のタイミングずれる等、情報の「混乱?」を広げる要因をつくっている、とマスメディアは報道していました。

 それを受け止めてかどうか、昨日、情報発信の一本化が始まったようです、経過は以下の通り~~~~~~

 細野豪志首相補佐官は21日、福島第1原発事故対応をめぐり、東京電力や経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会がそれぞれ実施している事故に関する記者会見を、25日から一本化するとの方針を明らかにした。東日本大震災に関する政府と与野党政策担当者の実務者会合で報告した。事故に関する説明が食い違うなどの問題点が指摘され、一本化を求める声が上がっていた。 

 細野氏は政府と東電の事故対策統合本部で事務局長を務めており、会合で「私が統合本部として情報を整理し、それぞれの担当部門に報告してもらう形にする」と説明。会見場所は東電本店とする方向で調整している。

~~~~~~~~記事おわり

 本当にこれで情報発信の強化、海外からの信頼回復等の目的は達するのでしょうか、最初の会見場面をテレビで見て、むしろ大いなる危惧を持ちました。なぜなら、これまでの一連の混乱は、非常時におけるリーダーシップの欠如と情報内容のあいまいさにあるわけで、その解決策としては、「命令指揮系統の確立」と「情報の整理と一元化」なのだと思います。決して「情報窓口の一元化」だけでは解決はしないし、それどころか情報操作・隠ぺい体質の強化にもつながりかねません。記事にある「一本化を求める声」の主語は、政府?保安院?東京電力?マスメディアの記者たち?、誰なのか分かりません。

 昨日の記者会見、ひな壇に並ぶ人の多さをみると、国会の答弁に控える官僚まる出しで、とても国民に対して正確な情報発信をしようとする意欲は伝わって来ません。4者が一堂に会することにより、逆に黙っている時間が許される緊張感の無い「いつもの場」となってしまうのですよ。地域での出前講座で、一つのテーマにも関らず担当部署の連中がズラッと並ぶ役所的対応を思い浮かべます。一同に会しても、結局は自分への質問に答えるだけのために座っている多くの関係者たち。ここは細野豪志首相補佐官に頑張って頂かなくてはなりません。

 要するに最優先課題は、「命令指揮系統の一本化」と「リーダーシップ・フォロアーシップの確立」であり、その具現化が「情報発信の一元化」という手段ということだと思います。やらなければならないことを間違ってはなりません。私たちは引き続き、ここからの情報を「監視」し続けると同時に、インターネット等で発信される一貫した識者の言にも耳を傾ける必要があります。

 

 似たような危険性を、違ったテーマではありますが、朝日新聞(4月24日)掲載、小沢昭一さんの「シブトク立ち直って」から読みとることが出来ます。

~~~~~~~~~~引用はじまり

敗戦後は日本中が「茫然自失」の状態でした。昨日までの価値観が根底からひっくり返って、ただ「茫然」とするだけじゃなく、自分の存在の根拠さえ失った「自失」だったわけです。昨日まで「鬼畜米英」なんて言っていたのが、ガラリと変わってアメリカ礼賛の「民主主義」「自由」なんです。世の中、信じられなくなっちゃった。

当時は「みんなで頑張ろう」なんてかけ声もなかった。みんな焼け跡で、今日を生きることで精いっぱい。てんでんバラバラに頑張るしかなかった。

それまでの「一億一心」から、正反対の「てんでんバラバラ」。この「てんでん」というのは、個人一人ひとりの「自立」なんです。そのてんでんを深めよう、バラバラを深めようと、急に切り替わった。でも、バラバラの価値観をどう深めていくか。それは大変でも、そのために戦争という大きな犠牲を払ったわけですからね。

戦後はみんなが何もかも失って貧しかった。でもその代わり「自由」なるものを味わって、これにすがりつこうと思い、みんなが希望を持った。

「今日一日の食うものもない貧乏暮らしだけれど、今度こそ貧乏をバネに俺の好きな生き方をしよう」「大変だろうけど、やってみようじゃないか」と、一人ひとりが独立心を持った。後に私の唱えた「貧主主義」が芽生えるのです。

今回、「一致協力」とか「絆」なんてことが強調されるのが実はちょっと心配なんであります。いつかまた、あの忌まわしい「一億一心」への逆戻りの道になりゃしないかと、そんな気がするんですね。だから私たちの世代には「絆」ってのはちょっと怖い言葉なんです。耳にタコで、こりごりしてる。でも若い人たちには初めての新鮮な言葉なんでしょう。いつの間にか意味がすり替わらないように、気をつけなくちゃいけませんよ。

東北の皆さんはみんな我慢強く、ねばり強い。それだけじゃなくて、実は底抜けに明るいユーモアの心もお持ちなんです。大変でしょうが、持ち前のたくましさでシブトク立ち直っていただきたいと祈っております。~~~~朝日新聞より引用おわり

 

 「みんなで頑張ろう」、「こころは一つ」という言葉も、誰が言うか、誰から言われるかが重要であり、受け手としての「自立した個」が大前提なのだと思います。昔から小沢昭一さんのラジオ番組(http://www.tbs.co.jp/954/ozawa/)は味が有りますが、先日のメッセージを読んで、「見通している人物でただ者にあらず」と感じました。

 本来の意図する所を外さないかどうか、信念をもって見続けなければなりませんね、今の時期!

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