SAS北海道(http://sas-hokkaido.jimdo.com/)セミナーで、「公益財団法人 大原美術館(http://www.ohara.or.jp/201001/jp/index.html)」の代表理事・大原謙一郎さんのお話「地方の論理と主張~文化・事業・生活について~」をお聴きしました。
<大原 謙一郎さん> 実業家。大原總一郎の長男で、大原孫三郎の孫にあたる。 大原美術館、倉敷中央病院の理事長で、倉敷商工会議所の会頭。倉敷芸術科学大学客員教授、くらしきコンサート顧問も務められ、元クラレ副社長、元中国銀行副頭取。
大原美術館は、倉敷を基盤に幅広く活躍した事業家・大原孫三郎が、前年死去した画家児島虎次郎を記念して昭和5年に設立した日本最初の西洋美術中心の私立美術館です。
日本美術のコレクターでもあった孫三郎は、親しい友人虎次郎の才能と、美術に対する真摯な姿勢を高く評価し、三度にわたる渡欧を促します。虎次郎は、そこで制作に励むかたわら、孫三郎の同意のもと、日本人としての感覚を総動員してヨーロッパの美術作品を選び取るという作業に熱中します。
大原美術館は、その後も、倉敷の地にあって活発な活動を続け、西洋の近代から現代の美術、日本の近代から現代の美術、民芸運動にかかわった作家たちの仕事等にコレクションを広げ、日本人の心情に裏打ちされた独特の個性を発揮するユニークな民間総合美術館として世界に知られるようになりました。
今、大原美術館は、現場で子供達や社会人と触れ合う種々の「教育普及活動」に加え、毎夏の「美術講座」や、世界を代表する音楽家を迎えての「ギャラリーコンサート」等を通じ、諸芸術のフロンティアと広く関わりながら、21世紀に生きて躍動する美術館として、多彩な活動を展開しています。
今回は大原美術館のご紹介に留まらず、本来の「地方創成」の意味と価値等について、大変示唆に富むお話でした。
* 全国に数多い美しくて価値ある町の美術館でありたい
* 受け継ぐのは、美しい景観や町並みと歴史・文化・心意気
* 地方が世界一流になって初めてこの国の姿は整う
* 芸術・文化を「集客のための装置」として、観光産業の下僕にしてはならない
* クリエイションのパワーを高め、「一流の地方」を創る文化の力
* この地で文化の力と使命をあらためて思い起こしたい
* 流氷漂う北の海から黒潮踊る南の島まで各地の文化力がこの国の風格を創る
* この国のクリエイションのエンジンとして働く地方を再生したい
最後は、「東京中心の『地方』ではダメ、それぞれの地域・土地が『DNA』を見つけ出す、掘り起こす、それがすなわち自分たちの土地の歴史であり、それぞれの地域の仕事である」と結ばれました。まさに「地方の心意気ここにあり!」でした。