プロフェッショナルな視座!!

Posted by 秋山孝二
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 プロ野球、ゴルフのマスターズ、大相撲、ボクシング、サッカー等、熱戦をテレビで見ていて、試合のカード以上に自分が選んでいるのは解説者とアナウンサーです。

 今日の北海道新聞朝刊、「がんばれファイターズ 473」では、テレビ北海道アナウンサーの大藤晋司さんのメッセージが掲載されていました。「実況にも『常識破り』を」の見出しで、実に興味深いことが書かれていて、私も全く共感する内容でした。要するに、「“ネガティブワード”にメスを入れよう」というのです。「モーションを盗む」、「借金」、「「打球に勢いを殺す」等、日常ではネガティブを連想する言葉を言い換えて実況中継すると。これは想像以上に難しいことだと思いますね。

 さらに大藤さんに共感するのは、大谷翔平選手の前代未聞の「二刀流」挑戦を目の当たりにして、まだ始まったばかりではありますが、投打とも素晴らしい成績を挙げている現状から、このコメントが発せられていることです。昨年も、従来型の解説者、プロ野球選手OBは大谷翔平、日本ハムファイターズの挑戦に大変ネガティブな反応でしたね、まるで成功しては困るかのようでした。今年はさすがにそれ程ではありませんが、張本勲氏を筆頭に相変わらずの方も多いです。

 私はこれまでこの欄で大谷翔平くんにエールを送り続けています。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15309

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16905

 解説者というと、私は小さい頃の大相撲解説の玉の海梅吉さん、神風正一さんを思い出します。今の相撲解説は目の前の取り組みのまさに「解説」に留まっているのですが、当時のお二人、特に玉の海さんの噛み締めるような一言一言は、辛口と言われますが、人生哲学のような奥深いものを幼いながらに感じ取っていました。恐らく、その裏での日々の取材とか幅広い人脈、ご自身の歩んで来られた人生がそんな語りを成していたのだと、今思いますね。

玉の海梅吉: http://www6.ocn.ne.jp/~fukusige/ayumi/oomura-history/tamanoumi.html

神風正一: http://www.pref.kagawa.lg.jp/kocho/sanukino/2006/spring/9_10.htm

 ボクシングの郡司信夫さん、白井義男さんもそうでした。選手に寄り添う暖かい眼差しと勝負の底にある駆け引き等を言葉にして視聴者に伝えるプロフェッショナルな姿勢はとにかく興味深かったです。昨今の解説者は、肝心なところに来ると「ワァッー」、「すごい!」しか言いません、サッカーでもただ騒々しいだけの解説とか、バレーボール解説の川合俊一は最悪です、ただの一観客でしかないではありませんか。監督の目線、試合の戦略、ここぞの場面の戦術等への言及は何もありません。特にテレビの場合、ごく限られたシーンの放映になるので、カバープレーとか、フォロー・アシストする選手の周辺の動きについて解説者の役割は大きいですね、あとベンチワークについても。それを毎回成し遂げるには、日々のプロフェッショナルとしての自覚と取材、調査が欠かせないのだと思います。

<ご参考> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6488

 何回もこの欄でも書いていますが、新しい挑戦を従来型の眼でしかコメントできない、理解しようとしない、その構図が今日本の閉塞状況を象徴しているような気がします。ベテランは、自分で判断できないことは素直に「分かりません」、「果敢に挑む本人を応援しましょうよ」と、どうして言えないものか、社会全体の器の小ささ、解説のプロフェッショナル不在を感じる昨今です。