「空席」を巡って、海外の機内で

Posted by 秋山孝二
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 今年10月に、ハンガリーに行きました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14622)。外国旅行中は、普段日本国内とは違った光景に出くわす場合が多々あり、ある意味で新鮮な驚きを与えてくれます。

 そんな一例として、ハンガリー・ブダペストからフランクフルトへの機内でのできごと、私の感性がずれているのかどうか、ご感想をお聞きしたい心境です。

 ルフトハンザ航空(http://www.lufthansa.com/online/portal/lh/jp/homepage2011?nodeid=1658982190&l=ja)の早朝ブダペスト発エアバス機でしたか、私は前方の通路側「C」席で、搭乗はかなり早い方で着席していました。殆ど満席状態でしたが、暫くしても私の列は窓側「A」も「B」も空席のまま。ひょっとしたらここだけは二席空いたままで出発でラッキーかと思っていましたら、最後のお客さんが私の列の「A」席の方でした。30歳くらいのブラウン肌の男性、私が立って窓側に入った後もしばし立ったまま、何やら「フランクフルト空港の乗り換え時間が少ないから」とつぶやきながら、前の席が空いていると見つけてそちらに移動しました。私は、あそこは同じシートではあるけれど確かビジネスクラスの席のはず、移動は難しいと思ったのですが、彼は何の躊躇も無く移って座っていました。するとキャビンアテンダントの女性が案の定、「ここはビジネスクラスです」と促して、彼は再度、私の列に戻って来たのです。そして列の真ん中の席が空いたままに滑走路へと進み、飛行機は離陸しました、ここまではよくある光景かもしれません。

 こういった場合、日本の国内線、或いは私の数十年の国際線の常識としては、空いた真ん中の席「B」を窓側と通路側のお客がある意味で共有しますよね。ところが、その若い男性は、すぐに何と自分が「B」席に移動して窓側席を自分だけで占有したのですよ。私は一瞬何が起きたのか理解出来なかったのですが、しばらくそんな状態が続いていた所、またまたCAが彼に向って、「お客様、ご自分の席にお戻りになって、B席はこちらのお客様(私)と共有して下さい」と、かなりきつめに語っていました。すると彼は素直にまた戻って座り、私に向かって「ここを使っていいよ」みたいに言うではありませんか。

 私は妙にこだわって「いや、結構!」と敢えて拒否したのです、お前に言われるまでも無くそれは世界の常識だぜ、と。その後彼は、「フランクフルトからサンフランシスコに行くのだけれど、乗り換え便は間に合うだろうか」とCAに聞いていましたが、「大丈夫です、十分に時間がありますよ」と返事が返ってきていました。私の乗り換え便よりはるかに余裕のあるフランクフルト出発便でしたよ。

 恐らく、あのアメリカ人にとっては、初めての飛行機の旅だったのかも知れませんね、それにしても「空間の使い方」の国際社会、世代間ギャップを、何か目の当たりに見た気がして、時代の変化を受けとめて、「ひとり占め」が当たり前のアメリカでは、競争の中を生き抜く知恵なのかもしれないなと、乾いた殺伐とした空気みたいなものを感じました。

 ここまでつまらないことを書いてしまったと多少の自己嫌悪ですが、どうせなら嫌悪ついでに今、思い出しました、飛行機内では普段使わない表現も時々アナウンスされます。

 数年前でしたか、札幌・新千歳空港から東京に行く便、羽田空港近くで雷雲の中を下降していると、機体の床部分を前方から後方に「カーン」と抜けるような金属音がしてガタガタ揺れた時がありました。少しして機長のアナウンス、「ただ今、雷が当たりましたがご心配はいりません」と。「雷が当たる?、雷は落ちるでしょ!」、そう私は思いましたが、敢えて「落ちる」を使わない機長の乗客への配慮かと、妙に感動した覚えがあります。

 今年も随分飛行機に乗りました、特に印象的だったのは、羽田空港国際線のANA午前1時発フランクフルト行き、午前6時着フランクフルト発羽田着便のB787でした。日本仕様とのこの機体は、細かな部分に配慮が行き届き、居住性に格段に優れていましたね。数年前の香港発アフリカ・ヨハネスバーグ行きのジャンボ機最後部列とは、比べものにならない快適さでした、日々進歩の航空機ほかの乗り物、長生きして新しい乗り物にこれからも乗ってみたいですね。

 つまらない気がついたことを書き留め、ここまでお読み頂いてありがとうございます。