真珠湾攻撃と小樽人

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 先月の保阪正康さんに続いて(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=21798)、「歴史を学ぶ」シリーズ、今回は渡辺大助さんの講演「真珠湾の小樽人」でした、素晴らしかったですね。

講演案内より「真珠湾の小樽人」、12月8日に因んで

講演案内より「真珠湾の小樽人」、12月8日に因んで

本間さんの当時の記事

本間一飛曹さんの当時の記事

 渡辺大助さんは福島の放送局でお仕事をされていたので、1941年12月8日(月)朝6時20分から夜中12時までのNHKラジオニュース資料を丹念に説明しつつ、几帳面な取材に基づいた臨場感あふれるお話でした。12月8日一日で、大本営発表は10回あったそうです。午前7時の臨時ニュースは開戦を伝える有名な発表で、正午には君が代奏楽に続いて比較的冷静な「宣戦の大詔」奉読と続きましたが、夜の午後7時30分の談話、「宣戦の布告に当たりて国民に愬(うった)う」は、情報局次長・奥村喜和男による4分半のまさに「アジ演説」です、こんな放送が当時のNHKラジオから流れていたことに驚きを感じます。

 大本営発表と言えば、1941年12月8日から1945年8月15日まで、合計846回の発表があったそうで、12月8日から11日の間に36回、12月8日から月末までに88回と続いたそうです。緒戦の華々しい時期は回数も多く冗漫で、次第に戦況が悪化してくると事実と乖離した発表になり、更に敗戦近くの1945年6月から8月には、月2・3回とダンマリ・数行のコメントへと変化していきました、プロパガンダにもならない実にみっともない状況です。

 真珠湾攻撃では、第二次攻撃隊に被害が多かったようです。米海軍アリゾナが大爆発を起こした時に、それを上空から見ていたある日本海軍幹部が「ざまぁーみろ!」と吐き捨てるように言ったとか。数年後、同じ言葉をアメリカ軍から各戦線で日本軍兵士は浴びせられたとも。結局、戦争は憎しみの連鎖の上に始まり終わる、歴史からしっかり学ばなければならないとおっしゃっていました。

 終了後も、有志でさらにフォローアップの懇談会。石原慎太郎、石原裕次郎の昔の思い出話等、小樽ならではの貴重なお話の数々、歴史の奥行きとお酒にまさに「酔いしれた」ひと時でした、ありがとうございます!

演者の渡辺大助さん@懇親会

演者の渡辺大助さん@懇親会

懇親会終了後、参加者の一部の方々と

懇親会終了後、参加者有志と

「世情」に寄せる今の心境!

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 先日の選挙後、今の私の気持は中島みゆきの「世情」の思いです。

* 「世情」 https://www.youtube.com/watch?v=xeGFtI_Y2U0

世の中はいつも 変わっているから
頑固者だけが 悲しい思いをする
変わらないものを 何かにたとえて
その度崩れちゃ そいつのせいにする

※シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
変わらない夢を 流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を
見たがる者たちと 戦うため※

世の中は とても 臆病な猫だから
他愛のない嘘を いつもついている
包帯のような嘘を 見破ることで
学者は世間を 見たような気になる

※シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
変わらない夢を 流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を
見たがる者たちと 戦うため※

七七日忌(なななのか)法要を終えて

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 先月3日に亡くなった私の兄・一男(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=21621)の「七七日忌法要」を、先日、滞りなく終えました、横浜市の緑山霊園に眠ります。分骨をし、来年雪が融けてから妻の佐和子さんが札幌に携えて、札幌市・平岸霊園にも納骨する予定です、まだまだ喪失感は続きますが一つの区切りでしょうか。

 この法要に先立ち、12月1・2日には、勤務していた国立相模原病院の院長室に祭壇が設けられ、病院職員、ボランティア他の方々が400名を越えて献花に訪れて頂いたとのことでした。兄は、学生時代から日本赤十字奉仕団として幾つかの病院のボランティア活動に関わっていたので、院長時代もボランティアの皆さんへの関心が高かったのかなと、私は勝手に考えております。

兄・一男が眠る墓 横浜市・緑山霊園

兄・一男が眠る墓 横浜市・緑山霊園

墓誌にも刻まれて

墓誌にも刻まれて

横浜市青葉区の高台:緑山霊園

横浜市青葉区の高台:緑山霊園

 死去から一ヶ月少々経ち、ある意味では落ち着きを取り戻した感の親族ですが、城山三郎の「そうか、君はもういないのか」、ふと何気ない瞬間にそんな思いが頭をよぎります。

 法要前日の夜に、札幌で、私は映画「野のなななのか(http://www.nononanananoka.com/)」の監督大林宣彦さんの娘さん・大林千茱萸(ちぐみ)さん、結城登美雄さん、「スローフード・フレンズ北海道(http://slowfood-friends.org/)」の皆さんとの会食でした。

食と地域について:結城登美雄さん、大林千茱萸(ちぐみ)さんらと

食と地域について:結城登美雄さん、大林千茱萸(ちぐみ)さんらと

 千茱萸さんともお話をしたのですが、何か不思議な縁を感じましたね。翌日は、わたしは「七七日忌(なななのか)」法要、彼女は自身が監督した作品「100年ごはん(http://100nengohan.com/)」の上映会他、「スローフード・フレンズ北海道」のイベントでしたから。

* 結城登美雄さん――> http://www.ruralnet.or.jp/ouen/meibo/243.html

 「野のなななのか」については、以前に書きました――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=19951

「SIAF 2014」を振り返る

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 今年初めて開催された「札幌国際芸術祭(SIAF)http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/2014/」の振り返りフォーラムは、今後に繋がる率直な意見交換の場となりました。

 以前、ここでも書きました:

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=19858

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=20738

パネルディスカッション後半の部

パネルディスカッション後半の部

 参加した芸術家の方々、受け入れ準備等に関わった関係者、地元で活躍し続けていたギャラリー経営者等、多彩な視点からの振り返りは、今後の地元に根付き、継続した「芸術祭」へのスタートとなりました。参加人数のみを評価する従来型のイベント評価から大きく進化した内容だったと思います、札幌・北海道の可能性も感じましたね。

沖縄、地元メディアの凄さ!!

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 敢えて何もコメントはしません、開くどの紙面を見ても立ち位置は明確です。地元メディア、琉球新報と沖縄タイムスの矜持、北海道はまだゆるいですね!

沖縄タイムズ

琉球新報

沖縄タイムス

沖縄タイムス

 
 一方、今回の知事選で、苦し紛れに現職知事陣営はこんなポスターでした!まさに手垢にまみれた「保守?」、「革新?」、「政治の劣化」、冷戦構造の遺物かと。

現職だった知事がこれはないでしょ!

現職だった知事がこれはないでしょ!

寒地技術シンポ 2014

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 「寒地技術シンポジウム 2014(http://www.decnet.or.jp/project/ctc/」が札幌で開催されて、秋山財団のネットワーク形成事業(http://www.akiyama-foundation.org/history/history_08)で応援している根本昌宏(北見看護大学)先生グループの発表もありました、素晴らしいプレゼンでした。是非、日本全国の自治体、町内会では参考にして頂きたい内容です、寒冷地で活きる知恵は、全ての地域でも参考になるノウハウだと確信します。早速、年明け早々に、秋山財団事務所がある地元連合町内会で根本先生をお招きしてプレゼンを行う予定です。

* http://www.toukihisaitaiou.jp/

プロジェクト名 積雪・極寒冷地域のいのちを護る防災・減災への取り組み―いきるための力を創出する
概要 道内の積雪・極寒冷地域災害に対処できる能力を人的ネットワークを生かした実践演習を通じて集積し、「いきる力・いきぬく力」を培い、多種多様な災害に備える。
代表者 根本  昌宏
助成期間 平成23年度~25年度

熱弁をふるう根本昌宏先生

熱弁をふるう根本昌宏先生

極寒地での実験は全国各地でも参考になります

極寒地での実験は全国各地でも参考になります

 これまで慎重な計画のもと、着実にプロジェクトは進化しています。全てデータに基づいた念入りの計画・実践・検証であり、それゆえに普遍性を持つ一連の活動です。一番の特徴は、下のスライドにある「住む場所だけ提供してもいのちを守る避難所にはならない!」ことを指摘している点だと思います、食べること、団欒できること等も、不安な状況の中で重要なファクターであることを実証実験から学んでいるのです。この辺りが、行政の無機質なアリバイ的計画との大きな違いでしょうね、「いのちを守る」視点からの取り組みゆえに獲得できるものだと思います。

まさに「いのち」を守る環境づくりです!

まさに「いのち」を守る避難所づくりです!

 このプロジェクトは、秋山財団のネットワーク形成助成で3年間ですが、さらに発展してより極寒地仕様に磨き上げられて、日本全国のモデルに成長していくでしょう。最も不安なことを考えない、或はそんなこと起こりえないと根拠なく楽観するのではなく、まずはこれへの備えを整えて、日々の安寧な暮らしを送る、3・11以降の日本国民のあるべき姿なのではないでしょうか。

終了後、被災看護の第一人者・尾山とし子先生&根本昌宏先生、財団スタッフ

終了後、被災看護の第一人者・尾山とし子先生&根本昌宏先生、財団スタッフ(宮原常務理事撮影)

「TGR 2014」公開審査会!

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 「札幌劇場祭(TGR) 2014」は、今年も盛況で終了し、先日、公開審査会があり今年の大賞他が決まりました、9回目を経てすっかり定着した感があり、公開審査会でのやり取りも大変興味深かったです。演劇を取り巻く関係者ばかりでなく、地域として「演劇産業」としての厚みが増すことを期待したいです、私は足を運ぶことで応援するしかありませんが。

 これまでの「TGR」のコメントはこちら――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=TGR

今年も札幌劇場祭(TGR)が盛り上がる

今年も札幌劇場祭(TGR)が盛り上がる

 今年の受賞作品は下記の通りです。

* http://www.s-artstage.com/2014/tgr2014/news/2014/12/257/

 今年のTGR札幌劇場祭2014大賞には、韓国のプロジェクト・アイランド「アイランドー監獄島」が選ばれました。海外の団体が大賞を受賞するのははじめてです、いいことですね。私はこの公演のチケット予約をしていたのですがどうしても都合がつかず観ることができませんでした。ただ観劇した方々の評価が殊の外高く、特に二人の役者の演技力の凄さは、字幕のハンディを乗り越えるに余りあるものだったと。先日の公開審査会でも審査員の方々も一様に賞賛のコメントでした。劇場祭冒頭の2日間の公演にも関わらず、観客に与えて強烈な印象は、韓国・ソウルの劇団の底力とでも言えましょうか。

作品紹介~~~~~~~~~~~~~

南アフリカ共和国の劇作家A・フガードによって書かれたこの作品は、ケープタウン沖合いのロベン島の古い刑務所が舞台です。マンデラ元大統領をはじめ政治犯の強制収容所として使われたこの収容所でコンサートを準備することになった受刑者ジョンとウィストンの物語に、韓国の女性演出家が挑みます。

作・演出
原作/アソル・フガード
演出/ソ・ジヘ

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大賞には韓国・ソウルの劇団「アイランドー監獄島」!

大賞には韓国・ソウルの劇団「アイランドー監獄島」!

 熱気の会場の近く、札幌ファクトリー・アトリウムには巨大なクリスマスツリーが綺麗でした。いよいよ師走ですね。

近くの札幌ファクトリー・アトリウムで

近くの札幌ファクトリー・アトリウムで

昭和史に学ぶ、そのこころは!

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 以前から昭和史ほか、戦争の総括・論評に定評のある保阪正康さんが、札幌での道新フォーラム(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/576308.html)の翌日、小樽「道新文化センター特別講座」でお話をされました。

* http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/576632.html

保阪正康さんの鋭い分析と見識

保阪正康さんの鋭い分析と見識

 お話は、本当に素晴らしい内容で溢れていました。太平洋戦争から学ぶべき点として、

1. 軍部による政治のコントロール

2. 特攻や玉砕を「国家システム」として採用

3. 捕虜の扱いなど国際ルールの無視

の三つを挙げ、「昭和史には無数の教訓が詰まっている」と指摘しました。  以下に私の心に残るフレーズを書き留めます。最後の質疑応答で、東京裁判についての保阪さんのコメントも実に明快でした。

* 「歴史から学ぶ」ことは自分だけの為だけではない、子・孫につないでいく作業に

* 歴史は実証主義的に検証、取材、点検しなければ「教訓」、「学び」とはならない

* 日本が「軍事力」を本気で考える場合、「旧日本軍」を徹底的に検証すべき

* 「昭和」の指導者の「錯覚」は、軍事の歴史を振り返ると不可避だったのではないか、参謀優位、ロジスティクス軽視等

* 「歴史修正主義」は、国際社会では最も軽蔑され、相手にされない。歴史を理解するには「礼儀」があるもの

* 日本社会の「知的劣化」を強く感じる。昭和が創ってきたものがガタガタと壊れてきている。左翼の「甘え」、組合の「特権化」

* 「覚悟」が必要、言い換えるなら、今、生きていることを問われている

* 昭和史のささやきは、最短距離を最短時間で一気呵成に進むのではなく、「ゆっくり歩こうよ」だ

 今月の講師は、以前からお世話になっている戦史研究家・渡辺大助さんです、また小樽に行って聞いて参ります。身近な人を通して歴史を紡ぎ直す作業は、実に大切な気がします、そこで生きた人の息遣いを感じながらです。

渡辺大助さんのご講演

渡辺大助さんのご講演

「新渡戸稲造記念公園」、着々と!

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 札幌市中央区南4条東4丁目、札幌遠友夜学校跡地には来春記念公園が供用開始となります。そして、2年後には、記念館建設も予定されていて、今、その建設寄付金募集をしています。多くの市民・企業・団体の皆さんのご支援・ご協力をお願い申し上げます(http://nitobe-enyu.org/enyu_memorial_donation/)。

 これまでの「札幌遠友夜学校」関係はこちら――>http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E9%81%A0%E5%8F%8B%E5%A4%9C%E5%AD%A6%E6%A0%A1

仲通側の入り口

仲通側の入り口

入口左にはリンカーンの言葉、その奥には子供たちの遊具も

入口左にはリンカーンの言葉、その奥には子供たちの遊具も

記念館予定地側の入り口

記念館予定地側の入り口と移設された新渡戸ご夫妻記念碑

記念館予定地玄関入口付近

記念館予定地玄関入口付近

記念碑と説明文

記念碑と説明文

札幌遠友夜学校の歴史と理念

札幌遠友夜学校の歴史と理念

 「新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会」は、下記の趣旨で設立し、この場から放つ札幌の人材育成メッセージを大切に受け継いでいく活動を続けたいと思っています。国内・国外の多くの方々とのコラボレーションを形成していきたいですね。

http://nitobe-enyu.org/prospectus/

役者たちの挑戦に拍手!

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 普段は演劇で活躍する役者の皆さんが、最近映画にも挑戦している姿はいいですね、先日はご案内があったので合間を縫って2本立てでみました。「縛刃(ばくば)https://www.youtube.com/watch?v=zMOMUrUGyTc」と「花(https://www.youtube.com/watch?v=QrX7WIuLfEc)」です。

* こちらも――>https://www.youtube.com/watch?v=-swTzFfDvvg&list=PLE-J8HO4ztKTPepLG5S1meGPHGyKC5ulj

「花」と「縛刃(ばくば)」

「花」と「縛刃(ばくば)」

 映画としては、言いたいことが幾つかある作品ではありますが、登場する俳優たちの中には、いつも札幌の舞台で活躍する方々も多く、スクリーン上との違いも面白かったですね。何か、映画の方が簡単に「装(よそお)える」みたいな、窮屈な画面の中に個性が畳み込まれているような印象を受けました。舞台上の方が、それぞれの個性が伸びやかに展開されるみたいな感じでしょうか。

舞台挨拶する監督

舞台挨拶する監督

明逸人さんと江田由紀浩さん

明逸人さんと江田由紀浩さん

 江田由紀浩さん、明逸人さんも、いつも舞台で大活躍です。ダイナミックな演技をこれからも芝居の中で続けて欲しいです、当日、参加者にプレゼントされたインタビューDVDが面白かったですね。監督の意図とかJさんの演劇と映画との違いについてのコメントが興味深いです。

 任侠ものついでに、こちらの話題も。高倉健さんが11月10日に享年83歳でお亡くなりになりました。人生後半での映画で、たくさんの方々と共演しましたが、歌も忘れられません、心からご冥福をお祈り致します。

時代おくれの酒場(https://www.youtube.com/watch?v=QoyEK8ETkKg

秋の展示会 in 益子

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 本来は始まる前にアップしたかったのですが、栃木県益子町の「ワグナー・ナンドール・アートギャラリー(http://kankou.4-seasons.jp/asobu/509.shtml)~秋の展示会」が盛況で終了しました。先日、終わった後の静寂の中、ゆっくり噛みしめながら散策してきました。

 これまで何回もここに書きました:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%83%AF%E3%82%B0

秋の展示会を終えて

秋の展示会を終えて

帽子を被ったワグナー・ナンドール

帽子を被ったワグナー・ナンドール(ハンガリーからの寄贈):室内展示室

特別展示室:ハンガリー・ブダペストのアトリエ修復事業ほか

ハンガリー・ブダペストのアトリエ修復事業ほか:特別展示室

 今年の特別展示室では、ハンガリー・ブダペストの王宮下にあるアトリエ大修復の様子が展示されました。「修復」といっても日本でイメージする「修理」とは趣を異にして、まさに賑やかに「リニューアル」された感じです。1956年のハンガリー動乱(革命)以前は、王室の下で芸術家の創作活動は大変活発だったようです、ワグナー・ナンドールもそんな芸術家の一人でした。

 事務局員の小方良子さんの話では、最近の傾向として、下村徹著「ドナウの叫び(http://www.gentosha.co.jp/book/b1717.html)」とか新聞記事、テレビ報道等をご覧になっての来館者、リピーター、毎回それぞれをお楽しみになっていく方も多いとか。私の叔母・和具奈ちよをご指名で「生ちよ」さんにお会いする目的の方、お弁当を開いてひと時ごゆっくりとか、お茶を飲みながらの団欒の場として過ごされる方もいらっしゃるそうで、嬉しいですね。

 昨今の日本の状況を見るにつけ、戦後日本の行き詰まり、瓦解、劣化・・・・、国の崩壊過程は、経済と芸術文化のバランスの崩れであり、言い換えるなら「リベラルアーツ」教育の欠如によるリーダー職にいる人材の劣化によるところが大きいですね。ヨーロッパの呻吟した時代を経ての鍛えられた市民一人一人の思想・哲学に比べると、簡単に社会と距離を置くと言って逃避する無関心層が多い日本社会の脆弱さ。

 昨晩、小樽で開催された「道新文化センター特別講座 昭和史に学ぶ~保阪正康さん」のお話が心に染み入りました。

札仙広福・円卓会議 2014

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 昨年9月に札幌で開催された経済同友会の「札仙広福・四極円卓会議」が、今年は仙台市で開催されました、テーマは「地方中枢都市の役割」。

*昨年の様子はこちら――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17945

第14回目が仙台で開催

第14回目が仙台で開催

 今年の基調講演は、仙台市長・奥山恵美子さんです。仙台市役所、市教育長を経て市長へ。お話は、4都市をデータマイニングしてそれぞれの強み・弱みを明快にご説明になり、あらためて札幌のポジショニングも認識しました。抱える課題はどこもほぼ同じ、「高齢化」、「子育て環境」、「観光」、「雇用の確保」、「グローバル化」等です。

仙台市長の特別講演

奥山恵美子仙台市長の講演

 ここで紹介された札幌市の「SAPPORO トリセツ!(http://www.city.sapporo.jp/kikaku/renkei/torisetsu.html」は、初めて見ましたが面白い冊子ですね!

 この日は会議終了後の交流会を終えて二次会、そして夜の新幹線で宇都宮へ移動でした。東京行き最終電車で、万が一寝過すと東京まで行ってしまうので緊張感を保って乗車していました、無事、宇都宮で下車しました。

「TGR 2014」、終盤へ

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 札幌の舞台芸術にすっかり定着した登竜門的イベント「札幌劇場祭:TGR(http://www.s-artstage.com/2014/about/」が、今年で10周年の節目となり、今、終盤を迎えています。演劇部門では、韓国の劇団を含めて今年34作品がエントリーしています。

 先日は、札幌座pitのイヨネスコ作品「禿(はげ)の女歌手」を観ました。なかなか難しいイヨネスコ作品に果敢にチャレンジして、予想通り容易な理解とはいきませんでしたが、札幌座の「椅子」、「瀕死の王さま」に続くイヨネスコ作品への挑戦は、拍手喝采です!終了後のトークショウは、英国演劇の周辺も含めて解説・補足して頂き、ロングランを支える幅広い観客層の厚みの違いも感じる等、さらに作品を楽しむことができました。

 こちらの劇評は興味深いです――> http://theatrearts.aict-iatc.jp/201411/2246/

札幌座pitによる「禿の女歌手」

札幌座pitによるイヨネスコ原作「禿の女歌手」

 まだまだ面白そうな芝居が続きます、12月2日には恒例の「公開審査会」が予定されていて、7人の審査員がどんな論評をされるのかも含めて楽しみです、もちろん私も出席します。

* 公開審査会2013 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18601

* 私が審査員の時 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E6%9C%AD%E5%B9%8C%E5%

 「演劇のマチ・サッポロ」を目指して、演劇関係者、観客、それを支援する団体・企業等、一層のレベルアップも必要かと。11月の「札幌劇場祭」、冬・夏の「演劇シーズン」等の「装置」も整い、いよいよ楽しみな状況が創られてきています、これまでご尽力して頂いた多くの関係者の皆さまに感謝ですね。

東京大学キャンパス 秋 2014

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 今年も開催された私も理事の「一般財団法人 社会福祉・医療事業の経営研究会」主催のセミナーです。基調講演は、「地域包括ケアと家庭医」と題して、 葛西龍樹 (福島県立医科大学教授) 先生、引き続いてパネルディスカッションでした。

 葛西龍樹先生は、「かっさい」とお読みするのが正しいそうです。北海道大学医学部ご卒業後も北海道の臨床現場とも関わりが深かったですね(http://www.fmu.ac.jp/home/comfam/comfametc/member/kassai_r.html)。「家庭医療学」の専門家として、「家庭医専門医」育成のプロフェッショナルです。

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第12回 社会福祉・医療事業の経営研究セミナー

『地域包括ケア体制のマネジメントと家庭医の役割を考える』

基調講演 「地域包括ケアと家庭医」 葛西龍樹 (福島県立医科大学教授) 先生

主 催: 一般財団法人 社会福祉・医療事業の経営研究会

後 援: 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻保健社会行動学分野

静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科附属医療経営研究センター

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昨年の様子はこちら――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18261

 当日の東京は抜けるような青空。東大本郷キャンパスには修学旅行の生徒と思われる集団が、安田講堂前で説明を受けていました。安田講堂の前庭の両サイドには、こんな大きな樹木が以前からあったのですね、全然気が付きませんでした。時代が変わると見る景色も違って見えるのか、ふとそんな想いにふけりました。

安田講堂&前庭

安田講堂&前庭

 今年は私はどうしてもこのキャンパスに行ってみたかった。先日亡くなった兄が、1968年11月だったでしょうか、翌年1月18・19日の安田講堂攻防戦の前に、図書館前で腕を骨折し、さらに飛んできた石が目に当たって病院に運ばれて手術・治療、その後も網膜にシミが残り、以降は片目の中心視野が失われました。46年前のこの場所でそんな出来事があったのかと、妙に確かめたい気持だったのです。先日はその前庭は工事中でした。

東大総合図書館玄関

東大総合図書館玄関

 さらに今年の医学部一号館は、そんな兄を偲ぶような気持も含めて、「ここのどこかの席で学んだのかな」とも。机に刻まれたインク壺台、筆記用具置きが深いですね。

医学部一号館・階段教室机上

医学部一号館・階段教室机上

 1980年代でしたか、私が札幌で仕事をし始めた時に、参議院議員になる前の元東大全共闘・今井澄さんと札幌でお会いすることがありました。学生時代は、千葉県松戸市にある千葉大学園芸学部で講演を聞いたことがありました、ベトナム戦争で米国の北爆が真っ盛りのときでした。今井澄さんはその後、再三の退学処分にも関わらず、医師国家試験を経て臨床現場で活躍されました。特に長野県諏訪中央病院での実践は、その後鎌田實先生らに引き継がれて、高齢社会の地域医療のモデルとなるような素晴らしい活動を継続されています。

 今井澄さんがご逝去された時に、弔辞を読まれたのが山本義隆さんと聞いています。そんなこんなで検索をしていると、国会議員の小宮山洋子さんが当時の東大総長代行・加藤一郎さんの実娘さんと知り、当時の対峙した時代を思い出し、何かの因縁を感じます。

 東京の本郷界隈と言えば、私の高校時代の修学旅行で宿泊した旅館「機山館」を忘れることができません。先日、地下鉄・本郷三丁目駅付近をブラブラしていると、「ホテル機山館」の看板が目に飛び込んできました、今は、ホテル風のビルになっていましたが、懐かしかったですね。

懐かしの「機山館」

懐かしの「機山館」

 東京・本郷界隈は、時代とともにこれからも変化していくのでしょう、私にとって一つの「時代」を思い出した大切なひと時を過ごしました。

「自伐型林業」による地域再興!

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 「自伐型林業」を推進する動き(http://jibatsukyo.jimdo.com/)が、今、大きなうねりとなって全国で注目されています。

 先日、高知県の「土佐の森・救援隊(http://mori100s.exblog.jp/」代表の中嶋健造さんをお迎えして、北海道白老町での実習と札幌での講演「土佐の森方式 自伐林業のスゝメ」が開催されて、いずれも大変盛況でした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 当日チラシより

< KITA-NET CAFE きたネットカフェ2014 > http://www.kitanet.org/event/2014/kitanetcafe-tosa.pdf
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土佐の森方式 自伐林業のスゝメ
講師 中嶋健造氏(NPO法人 土佐 の森・救援隊 理事長)
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 「自分の山は自分で管理する」ことを基本に、荒廃した地域の山に手を入れて、新たな仕事を作りだす仕組みとして、副業的自伐林業を中心とする「土佐の森方式」を提唱・実践する中嶋健造氏にお話をうかがいます。地域通貨「モリ券」による地域活性化の仕組み、伐採木や林地残材をバイオマス発電や熱利用に活かす仕組み、高価な機 材・技術がなくても林地残材を集積・搬出できる「土佐の森方式軽架線キット(ワイヤーとウインチで木材を林道まで運び出す機具)」の開発など、林業の既成概念を打ち破る森づくりは、林業人口・人材不足、森林管理者不在などの問題が深刻な北海道の課題解決に大きなヒントを与えてくれます。

中嶋 健造 氏 (NPO法人土佐の森・救援隊 理事長)(http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/1407/html/f11.htm

 1962年高知県生まれ。愛媛大学大学院農学研究科修了。高知県いの町在住。IT、経営コンサルタント、自然環境コンサルタント会社を経てフリーに。NPO法人土佐の森・救援隊設立に参画し、現在理事長。山の現場で自伐林業に驚き興味を持ち、地 域に 根ざした環境共生型林業が自伐林業であることを確信し、「自伐林業+シンプルなバイオマス利用+地域通貨」を組み合わせた「土佐の森方式」を確立させた。真の森林・林業再生、中山間地域再生、地域への人口還流等のために、自伐型林業及び土佐の森方式の全国普及にまい進している。著書に「バイオ マス 収入から始める副業的自伐林業」(全国林業改良普及協会)。鳥取大学地域学部非常勤講師(2009年 度~)、総務省・地域力創造アドバイザー(2014年度)、持続可能な環境共 生林 業を 実現する自伐型林業推進協会代表理事(2014年度)。

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 これまで何となく「?」だった日本の林業政策の歴史と課題が、中嶋健造さんのお話でストンと腑に落ちました。

* 今日、日本の中山間地域の衰退は林業の衰退とイコール

* 「自伐型林業」は、良好な森の維持が必須であり、同時に収入をあげる林で両立する:究極の「環境保全型林業」

* 「施業委託型林業」では、所有と施業を分離し、大量生産・大量消費・大規模物流が基本、それが「短伐期皆伐施業」を促す

* これまでの林業政策では、「森林経営」が存在しない。「森林経営」は、企業経営的な短期業績を追い求めるものとは別物

* 「限界集落」への対策は日本全国どこでも「六次産業化推進・農産物加工」と「観光」ばかり。ポテンシャルは「林業」である!

* 「大規模化」は言い換えると自分でやる人を減らすこと。高性能機械は多額の減価償却費、修理費、燃料費のコストが膨大

* 出口戦略として、皆が出せる「木質バイオマス」。今、「長伐期選択施業」の大きなチャンス

* 東日本大震災の被災地で、「復興事業」としても脚光を浴びて、実績も挙げてきている

 新しい時代は、林業の世界でもことのほか早く到来してきています。

シップリサイクルプロジェクト

Posted by 秋山孝二
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 「シップリサイクルプロジェクト(http://shimizu-kazumichi.com/ship_recycle/about.html」について、気仙沼における被災船解体の報告でした。室蘭工大の清水一道先生(http://shimizu-kazumichi.com/)のお話は大変興味深かったです。復興支援にはいろいろな角度からの取り組みがあることをあらためて知りました。これまで「労働集約型」と言われて敬遠されてきた事業・産業が、これからの「環境保全」と「雇用」と「地域復活」政策のキーになる予感がしました、先日の林業のお話(まだ掲載していませんが)とも重なって。

 当日の模様はこちらで――> http://shimizu-kazumichi.com/2014/10/post-177.html

北海道経済同友会例会でのご講演

北海道経済同友会例会でのご講演

 シップリサイクルに関しては、2009年5月に国際的な「シップリサイクル条約(http://www.classnk.or.jp/hp/ja/activities/statutory/shiprecycle/)」が成立しています。日本はこの条約策定に関わりはしましたが、批准はまだのようで今、検討会が進行中です。

<参考> http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji05_hh_000033.html

札幌の冬、始まる in 2014 !

Posted by 秋山孝二
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 一昨日からの降雪で、札幌・北海道は一気に冬到来となりました。

一昨日の夜、気が付くと庭の柿の実も雪かぶり

一昨日の夜、気が付くと庭の柿の実も雪かぶり

 昨日も降り続き、今朝はさらに積もりました。つい先日、落ち葉を掃いたばかりで、今年最後の次回のごみ収集に出すために袋にしまってあり、冬に使う雪かき道具一式は、まだ物置の奥の奥。これから3月までの「雪かきシーズン」を考えると、今は、「この雪はすぐに解けるだろう!」と、根拠なき楽観で雪かきする気持にはまだなれませんね。3月までの長期戦の組み立てからすると、泥とか火山灰と違っていずれは融ける「雪」、水としての活用も可能な「雪」は、なんとも愛おしい存在と思うのが、「持続可能な社会」を生きようとする自分のライフスタイル・信条かと、少々無理のある説明で過ごしています。

 札幌ばかりでなく北海道全域がすっかり冬の景色のようです。今朝のFaceBookによると、下川町住人のアップした写真では40センチ以上の降雪とか。これは根雪になるでしょうね。

 タクシーの運転手さんが言っていましたが、東京方面から来た人の方が、「冬を楽しむ気持ちが強い」とのこと。確かにそうかも知れませんね。私も幼い頃は、朝起きてみるとカーテンの向こうが妙に明るく、開けてみると一面銀世界という思い出があります。また、深夜の外を歩く酔っ払いの叫ぶ声が、新雪に吸収されて柔らかさを増して聞こえてくるとか、都会の雪国に生まれた私の忘れられない記憶です。そう言えば、最近、大声を出して夜に千鳥足でマチを歩く酔っ払いの姿も見なくなりました。皆さん飲み方が品がよくなったのか何か、クリスマスイブなどはとにかくうるさかった南1条仲通り界隈でした。

 段々大人になって、吹雪とか雪かきで何か雪の「怖さ」を知ってしまうと、地元住民はそんな自然の資源を敵視していしまうのでしょうか。スキー場経営の方は、「雪が降ると天からお金が降ってくる」とおっしゃるそうです。まさに資源的に見ても、「天からのプレゼント」なのでしょう。

 とにかく今シーズンも体を鍛えて、財団理事長の最優先の仕事「雪かき」で、社会に貢献して参ります!!!

(公社)北海道倶楽部 交流会

Posted by 秋山孝二
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 「公益社団法人 北海道倶楽部(http://www.hokkaido-c.or.jp/)」の恒例の「交流会」が東京で開催されました。

http://www.hokkaido-c.or.jp/koryu-event/%E9%96%8B%E5%82%AC%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85.pdf

秋の交流会
松田昌士会長

松田昌士会長

JR東京駅長にご就任の江藤さん

JR東京駅長にご就任の江藤さん

 この会は歴史が古く、設立発起人の一人には新渡戸稲造も名前を連ねています。今回、札幌の記念館建設寄付依頼のチラシを置き、ポスターも作って頂きました。以前からお世話になっている江藤さんが、今年6月に東京駅・駅長にご就任!久しぶりにお会いし、握手もできました。

記念館コーナーも設営

記念館コーナーも設営

兄・秋山一男、逝く

Posted by 秋山孝二
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 私の尊敬する兄・秋山一男が、11月3日午前10時13分、国立相模原病院で亡くなりました、附属札幌中学校、札幌南高(16期)、東京大学医学部卒、享年67歳。葬儀は、東京・信濃町の「一行院(いちぎょういん)千日谷会堂(せんにちだにかいどう)http://shinj-sennitidani.tokyobutuji.com/」で執り行われ、大勢の方々にご参列頂き、心から感謝申し上げます。

「医光院寛恕一心居士」

「医光院寛恕一心居士」

 現役の「独立行政法人 国立病院機構 相模原病院院長(http://www.hosp.go.jp/~sagami/byoin/aisatsu.html)」としてアレルギー分野で日本の医療に尽力してきました。

 1年ほど前に検査ですい臓・肝臓の異常が見つかり、以来、入退院を繰り返しながらも院長業務を変わらず続け、最後まで現役「臨床医」の信念を行動で示しました。悲しみ、喪失感というより、何か「医道のサムライ、アッパレ!」と言いたい首尾一貫した人生でした。

 思い返せば今年明けから、私の東京出張の合間に病院を訪問し、約10か月間。これまでの薄いコミュニケーションを一気に取り戻すような、私なりには濃密なやり取りは貴重でした。3歳年上で、幼い頃から勉強、運動ほか、私の目標とする兄でした。小学校の時だったでしょうか、相撲をやっていて私の投げ技で目の前でひっくり返った兄を見て以来、私は兄と相撲を取るのをやめました。その瞬間が昨日のことのように思い出すから不思議です。

 限りある命の宣告を受けた直後は、「死」について向き合う少々動揺する心を率直に語ってくれました。何回目かの訪問時、「『死』というよりも『永眠』と考えると気持ちが落ち着いてくる」と、笑顔を交えて話していました。「覚悟を決めたのに少し状態がよくなってきて気持が緩むと、それをまた引き締め直すのが大変だ」とも。毎回こちらから問いかける訳でもないのに、数値を示しながら今の自分の状況を淡々と説明する様子は、まるで目の前の患者さんの病状を職員に語っているような錯覚をするほどでした。この間に届いたメールを読み返して見ても、素人の私に対して専門用語と数字の変遷を書き綴って、終始、今の体調を説明する内容です。

 病室では、アレルギー分野の医療の課題の他、病院人事とか院長職としての病院経営総体に対するやり取りが印象的でした。特に、自分が患者として感じたことを、院長を務める自病院の医師・看護師・コメディカルの方々に、あたかも研修の講師のように細かく分かりやすく説明する姿も目に焼き付いています。

 9月下旬には、「腹水が少しずつ溜まってきている、確実にダウンヒルだね」と。毎回病室を出る時は握手して別れていましたが、10月29日の午前中の訪問時は、「意識と体が別々の感じがする」と言いながら力強く握手したのが、わたしにとっては兄の最後の姿となりました。この間、病院の皆様方の一丸となった誠意溢れる対応に、見舞いにきた母が感動し、私も心から心から感謝する次第です。長男の健一くんの話によると、最後の晩は、「もうこれは要らない」と自ら酸素マスクを外し、その後に昏睡状態となり、数時間後に静かに心臓が停止したとのことでした。

 生前からいつも語っていたように、息を引き取る最期まで、「臨床医」、「病院長」として職責を全うした人生、あらためて私の誇りです。安らかに「眠って」下さい。

<参考> 秋山一男 http://dr-guide.net/www/%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E4%B8%80%E7%94%B7/

函館 2014 秋

Posted by 秋山孝二
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 北海道海洋生物科学研究会(http://www5f.biglobe.ne.jp/~hmbs/)主催のシンポジウムが函館で開かれました。場所は、今年4月にオープンした函館市国際水産・海洋研究総合センター(http://center.marine-hakodate.jp/)です。

水産・海洋生物研究シンポジウム

水産・海洋生物研究シンポジウム

<プログラム>

(1) 世話役挨拶 伏谷伸宏(函館市国際水産・海洋都市推進機構長)

(2) 「幼体移植式藻場造成法(モアシス)の開発について」 北山進一氏(共和コンクリート工業(株)海藻技術研究所 アルガテックKyowa

(3) 「北海道周辺の海洋環境と漁場形成 ―事例紹介―」 渡野邉雅道氏(道総研函館水産試験場)

(4) 「最近のバイオロギング研究 ―特に魚類への新たな試み―」 宮下和士氏(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)

(5) 「温暖化とマナマコの夏眠」 五嶋聖治氏(北海道大学大学院水産科学研究院)

(6) 代表幹事挨拶 尾島孝男(北海道大学大学院)

函館山から望むシンポ会場

函館山から望むシンポ会場

メインビルディング

メインビルディング

センター長の伏谷先生

センター長の伏谷伸宏先生

 秋山財団評議員でこの研究会代表幹事・尾島孝男先生からご案内を頂き初めて出席しました。「藻場造成」、「バイオロギング」、「ナマコの夏眠」等、私にとっては大変新鮮なテーマのご発表で、海洋生物、水産についてはまだまだ未知の部分も多く、興味深い時間となりました。終了後の交流会でも研究者の方々とお話もできてよかったです。