ノーベル化学賞受賞に思う

Posted By 秋山孝二
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 2010年のノーベル化学賞を鈴木章・北海道大(http://www.hokudai.ac.jp/)名誉教授、根岸英一・米パデュー大(http://www.purdue.edu/)特別教授ら3人が受賞しましたが、特に北海道大学の鈴木先生は鵡川町ご出身の道産子(どさんこ)で大変身近なせいでしょうか、いつもとは一味違った感動を覚えますし、誇り高いですね。「HOKKAIDO」がまた世界ブランドになりました。

 昨年11月9日のこの欄(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2583)に、ノーベル賞の理念ほかを書き留めました。本来の意図が十分日本では伝わっていない部分もあり、特にノーベル平和賞の位置づけについては、中国の反応を見ていると、彼らも十分把握していないのではないか、と思われますね。国際社会の中で、なぜ今回、劉暁波さんにノーベル平和賞が授与されたのか(http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101008-OYT1T01158.htm)を、冷静に受け止めるべきだと思いますし、同時にノルウェーのノーベル委員会の決定にも敬意を表します、受賞理由が実に明快です。

 2001年に名古屋大学の野依良治先生がやはりノーベル化学賞を受賞された時(http://www.natureinterface.com/j/ni05/P24-28/)に、北大薬学部の先生が、「この分野は、日本の研究レベルが世界をリードしている」とおっしゃっていました。今回それを証明するかのように、お二人の先生が幅広い分野への応用を可能にする技術で受賞でした。ただ、懸念されることは、これまでの受賞者もそうですが、その殆どの研究が1970年代に為されている成果であることです。

 2000年代小泉政権時代に、国の自然科学に対する研究費が大幅に傾斜配分されて、基礎研究等への「投資」が必ずしも十分にはされていません。高等教育機関への資金も他の先進諸国に比べて、大変見劣りのする金額となっています。独立行政法人化により、研究の成果を近視眼的に追及されるとった弊害も指摘されています。政権交代後の「仕分け」でそうなったという方がいますが、それは事実と違います。間違いなく、小泉政権時代の「競争原理の導入」が直接の契機です。

 今回の受賞をきっかけに、自然科学系研究への関心が高まり、基礎研究分野でも日本の力を発揮して貰いたいものです。秋山財団の24年間の研究助成が、少しでもお役に立っていればとささやかな期待もしたいですね。そして、今後の助成活動にも大きな励みとなりました。ノーベル賞受賞だけがゴールでは勿論ありませんが、研究者の皆さん、これからのご活躍を祈念しています!!!

One Response to “ノーベル化学賞受賞に思う”

  1. 秋山孝二の部屋 » Blog Archive » ノーベル賞受賞、鈴木章先生 Says:

    [...]  今年度のノーベル化学賞に輝いた北大名誉教授・鈴木章先生(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6045)は、18年前の平成4(1992)年度、秋山財団(http://www.akiyama-foundation.org/)研究(一般)助成金(100万円)を受賞し、当時の贈呈式・懇親会にもご出席されました。研究テーマは、「医薬品など生理活性物質合成を指向した高選択炭素ー炭素結合形成反応」で、この年の選考委員長は、後に財団理事としてもご尽力頂いた米光宰先生でした。 秋山財団年報より:第6回研究助成(一般)で [...]