北海道新聞の朝刊「卓上四季」、朝永振一郎先生、湯川秀樹先生のお名前が懐かしかったですね。私は高校時代に、大学入試で朝永振一郎先生に憧れて東京教育大学応用数理学科を受験しようと年末までその気でいましたが、年明けの1969年、東京大学が学園闘争で、東京教育大学も筑波移転問題等だったかで共に入学試験が中止となる前代未聞の年でした。
私はノーベル物理学賞受賞されたということばかりでなく、世界平和へのスタンスでも朝永先生を尊敬し、直接教えを請いたい思いでしたが叶いませんでした。
* <参考> 朝永振一郎教授の「思い出ばなし」
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<卓上四季>
科学者の社会に対する責任とはなにか。物理学者の朝永(ともなが)振一郎が向き合い続け、実践したテーマだ。ともにノーベル賞に輝いた湯川秀樹と手を携え、核兵器廃絶へ力を尽くす▼研究成果の善用がいかに好ましく、悪用がいかに破壊的か。<正しい評価は科学者が科学上のデータに立ってはじめてなし得ることであります>。政策決定者が判断を誤らぬよう、科学者には伝える責務がある―。1962年発表の朝永の講演録にある▼科学者が戦時下、軍事研究に関わった負の歴史があった。朝永はレーダーの開発、湯川は原爆の可能性を検討する形で軍部の研究に加わっている▼人文・社会科学でも同様の動きはあった。片や政府や軍部の意に沿わない研究が弾圧される。学問の自由を奪って、異論を消し去ったことが無謀な戦争につながったのではないか。その反省から日本学術会議が生まれる。朝永は60年代に学術会議の会長を務め、平和を大切にする姿勢を貫いた▼こうした積み重ねを揺るがしかねない。学術会議を改組する法案の国会審議が大詰めを迎えている。政府が介入し、会議の独立性が損なわれるとの懸念は強い▼フランスの哲学者コンドルセは学問の精神を説いた。<現行制度の賛美者を作ることではなく、制度を批判し改善する力を養うこと>。これこそが学術会議の役割だ。
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日本学術会議の位置づけを巡って、今国会での法案提出で、研究者の方々の反対が激しくなっていますが、戦時下の自らの研究を猛省してのお二人の戦後の活躍は、今も高く評価されてしかるべきだと思います。
*日本学術会議に関連するこれまでの記事ーー> 秋山孝二の部屋