「参院選挙 2016」の結果をどう見るか?

Posted by 秋山孝二
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 2016年参議院選挙が終わりました。マスコミ各社の報道は、「与党圧勝」、「改憲勢力が議席の三分の二を獲得!」という見出しでしたが、本当に自民党が大勝し、民進党をはじめとする野党各党が敗北したのでしょうか?少なくとも北海道から見る結果からは、かなり違った民意を汲み取ることができます。

 今回の結果、冷静に時系列で総括してみると、自民党の2010年、2013年、2016年の参議院選挙区の結果は39→47→36で、大勝の前回より減らし、更に前々回よりも減っていいます。にもかかわらず、自民党の大敗を覆い隠しているのは、公明党の躍進でしょう、選挙区で3→4→7と増え、比例は前回同数の7ですが総数で3増やし14としました。前々回は総数で9だったので着実に増やしていることになります。ただし、得票数では、前々回は764万票、前回は756万票、今回は757万票なので、増えてはおらず、6年前よりは減っています。

 惨敗のように言われている民進党ですが、選挙区では予想以上に健闘したのではありませんか。北海道(3人区)で2人、東京(6人区)でも2人、愛知(4人区)でも2人が当選しました。私たちの北海道では、今回から定数が一名増え、三番目の議席を巡って自民と民進が激闘を繰り広げ、わずか8500票の差で、民進党の鉢呂吉雄さんが当選を決めました。共産党も候補者を立てての民進2議席獲得は、安倍政権への批判の現れと受け取るのが妥当です。広大な北海道一区の中で、道議総出で支援した自民党の敗北は大きな民意の表れだと思います。野党統一候補も大健闘で、青森、山形、宮城、福島、新潟、長野、山梨では「統一候補」でなければ当選させることはできなかったでしょうし、敗れはしたものの、秋田、奈良、愛媛、滋賀などは、本当に僅差の争いでした。

 特に今、目の前の原発問題を抱える青森、福島、新潟、そして知事選の鹿児島での自民の敗北も象徴的でした。私たちはローカルな課題に対する地元民の審判を冷静に評価する必要があります、マスメディアの従来型の中央からの総括からは現実のダイナミックな動きは見えてきません。

 今回の選挙前の報道では、「経済問題」が最優先の論点とマスメディアは喧伝しながら、終わった途端に「改憲論議」へと誘導する見出しのオンパレード、何とも奇妙なメディアスクラムです。私たちは騙されてはいけません、自分たちの脳みそをフルに活用して良質の情報を拾い集めて考える必要があります。

 選挙から少し離れますが、メディアに関して等についてインターネット上には、海外メディア、ジャーナリストのコメントが興味深いです。昔に比べて個人的にも随分ハッとさせられるメッセージに出会うことができます。NYタイムズの前東京支局長マーティン・ファクラーさのコメントは特に舌鋒鋭いです、「ジャパンハンドラー」への言及部分は特に。

 昨年(2015年)9月にフォーラムのパネリストで、ファクラーさんとご一緒でした。
* http://makerunakai.blogspot.jp/

 「日本はいま、これまでとは全く異なる国家をつくろうとしている。憲法に基づいた平和主義を守るのではなく、米国や英国の仲間になろうとしている。果たして、それでいいのか。大きな岐路、重要な局面に立っているのに、そうした議論が何もないじゃないですか。これは本当に不思議なことです。恐らく多くの国民は、戦後以来の大きな変化が起こっていることすら知らないんじゃないですか。私は何も新聞に反安倍のキャンペーンをやれと言っているわけではないんです。安倍政権はこういうことをやろうとしているけれども、そこにはこういう問題点や危険性がある。こういう別の意見もある。せめてさまざまな立場の見方を紹介して、幅広い議論を喚起することが必要なんじゃないですか。

* http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158019

 選挙に関して、幾つかの賛同できる見方がFBにアップされています。

* http://blog.goo.ne.jp/h-take888/e/b9b9a5619852ff0c3277250a291fc498