「ことほぐ」、「不知火の燃ゆ」

Posted by 秋山孝二
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 北海道の演劇は、この数年盛り上がりを見せ、熱くなってきています。 意欲的な「intro:http://intro-sapporo.com/」による「ことほぐ:http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=26522」公演が、琴似のコンカリーニョ(http://www.concarino.or.jp/npo/)で開催されました。

360度に観客

360度に観客、開演30分前にはすでに着席する方々

 この公演への意気込みと題してHPに掲載されています~~~~~~~~~~~~~~

 「ことほぐ」は、北海道舞台塾2012シアターラボにて、渡辺源四郎商店・畑澤聖悟氏をドラマドクターに迎え製作された「言祝ぎ」の姉妹作品となります。「言祝ぎ」は、祝いたいのに祝えないひとたちを描いた3人芝居でしたが、ええいもう祝ってしまえ!と、タイトルは動詞に変更し、人数も増やし、少し違う角度から、違う面から「祝うこと」について向かいます。・・・・・また、「ことほぐ」はこれまで取り組んできたintroの演劇方法にさらに磨きをかけ、言葉の持つちからと我ままな身体についての考察を深め実践し、さらなるintroグルーヴで劇場を巻き込むつもりです。毎公演がintroの集大成、という言葉は裏切りません。進展しつづけるintroにご期待ください。」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 芝居は、妊婦が3人。“妊娠”という世間的にはおめでたいはずの出来事と、これからの生活への不安を抱えながら日々を過ごす人々を描くコメディ作品。彼らは、「希望と絶望をない交ぜにした、intro流祝福劇」と宣言しています。、ブログ(http://introsapporo.blog.fc2.com/)も面白い、「CoRich舞台芸術まつり!2012:http://stage.corich.jp/festival2012/grand_prix.php」の審査員の方々の劇評、札幌公演の観客のコメントは、特に。観てから一ヵ月が経つのに、反すうしながら楽しめる、まるで牛のようです。イトウワカナの引き続きの進化に期待しながら、盆踊りで8月の北海道の夏を思い出しました、9月の東京公演も頑張って下さい!

 

 一方、「座・れら」の第6回公演 「不知火の燃ゆ:http://hakouma.eux.jp/2012/06/shiranuino_moyu/が、やまびこ座(http://www.syaa.jp/sisetu/gekijou/shisetu_y.html)で開催。多様に変化する舞台正面の水俣湾が印象的でした。

水俣湾の「不知火」の燃ゆ

舞台に現れた「水俣湾の不知火の燃ゆ」

 こちらは、「水俣病」を取り上げたずっしり重いお芝居。チラシから~~~~1956年5月、水俣病「公式」発見、以来50年以上経た今もなお、被害者は救済されず問題は未解決のまま。日本が追い求めた “豊かさ” とともに生まれた病。そこで起きたことは、ここで起こっていることと、何もかわらない。不知火の火影浮かぶ八代海に生きる家族の、昭和31年、夏の終りの物語

作: 鷲津環 演出: 戸塚直人
出演: 竹江維子、澤口謙、前田透、信山E紘希、玉置陽香(劇団しろちゃん)、小山由美子、フクダトモコ、西野輝明

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 「座・れら」は、一昨年の劇場祭(http://www.s-artstage.com/2010/category/tgr/)で「空の記憶」、昨年の劇場祭で「トランス」と、ともに重たいテーマをしっかり演出・上演していて、毎回私にとっては心に強く残る作品です。竹江維子、澤口謙は、もちろんですが、特に、信山E紘希、玉置陽香、前田透が魅力的です、人を引き付けるって、何なのでしょうね。

 今回のテーマは「水俣病」です、しかし実は「2011・3・11」以降の日本そのものでもあります。政府・企業・政治家は、「日本は、水俣病ほかの公害を乗り越えた」と簡単に口にしますが、実は何も解決していない、今、この芝居が上演される価値、それは日常における時代を経ても変わらぬ不条理であり、いのちの連鎖を断ち切る身近な世間の実像のような気がします。直接的な言葉で語るのではなく、瞬間の動作、少しの沈黙等、心の動揺が、不安、恐怖、逃避等のメッセージとして伝わる面白さでした。

 もう一つ、HPに「以来50年以上経た今もなお、被害者は救済されず問題は未解決のまま。」とありましたが、「良子」の妹の「水俣病患者:千恵子(フクダトモコ)」が、役者の顔を見せずとうとう最後まで「千恵子」だったこと、「未解決のまま」を最後の最後まで強烈に印象づける演出、芝居というのはすごいです、ね。

 今回、偶然にも、二つの芝居は季節が8月、新しく宿った命がキーになる舞台でもあり、今の世相を反映し、意識しての作品と私は理解して、一層味わいの深いものになりました。