今月上旬に、劇作家・演出家、劇団青年団(http://www.seinendan.org/jpn/seinendan/about/index.html)主宰、内閣官房参与の平田オリザさんを東京からお招きして、「劇場/新時代の展望」と題してのセミナーが(財)北海道文化財団(http://haf.jp/)主催で行われ、当日は260名を越える方々の参加で、大変な盛り上がりを見せました。
平田オリザさんの基調講演では、「芸術立国論」を発表してからの10年の足跡を辿り、「舞台芸術の現状と未来~優れた劇場からの創造発信」や、「創る、観る、育てる」劇場と新しい国立劇場構想、劇場法策定の意義について、貴重なお話を聴くことができました。その理念については、文化庁文化審議会文化政策部会の資料からも読みとれます(http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/seisaku/08_08/pdf/shiryo_2.pdf)。
創作活動としての「劇場」の位置づけ、成熟した国家・社会における「政策」の重要性、そしてそれが世界へ発信できる人材の確保・育成につながる一連の効果を、フランス・イギリスの例も提示されて大変分かりやすいお話でした。不足している「教育システム」と「劇場の創作活動」とのご指摘はまさにその通りで、従来型ハコモノ政策ではない市民活動の高まりとして、「文化で生きていく覚悟」を問われたような気がします。思えば、これまで北海道演劇財団の設立以来発信してきたメッセージそのものでもあります(http://www.h-paf.ne.jp/hpaf/tokushoku.html)。
従来の「国立劇場」のイメージとはかなり違った、創作活動の拠点としての全国各地の「創る劇場」構想は実に興味深く、北海道の芸術・文化政策としてもかなり現実味を帯びていると感じました。今後、道民としてもしっかり地に着いた議論を重ねて、実現したいと思いましたね。
来月2日午後6時30分から、札幌市中央区大通東3丁目・内田洋行1階「U-cala」で、「演劇文化は街の活力~演劇人が活躍する街をめざして」をテーマにフォーラムが開催されます。札幌をもっと芸術・文化のあふれる街にしたい、そんな想いから「芸術・文化フォーラム:ACF」が結成されて、今回はここ主催の第5回フォーラムとなります。私もパネラーの一人として参加する予定です。