大雪との予報でしたが、10センチ以上積もると「あー、冬だ」という気がします。
昨日は早朝7時から、もう20年続く民間病院の理事長(院長)の皆様方との月一回の早朝勉強会でした。遅れてはいけないと朝6時過ぎには家を出ましたが、新雪で車も少なく、いつもとほとんど変わらない時間でかえって早めに到着しました。JR北海道が開発したDMV(http://www.jrhokkaido.co.jp/new/dmv/index.html)の貴重なお話に、予定の参加者も集まり、興味を持って皆さん聴きました。技術開発そのものの問題というより、今の日本の法体系の縦割り弊害が、一番の阻害要因だという印象でした。北海道の土地柄にあった鉄道・道路インフラの有効活用とまちづくりの視点から、是非実用化に漕ぎ着けて貰いたいです。全国からの問い合わせも多く、北海道での展開も一緒に考えたいものです。地域住民の応援も、実用化に向けた大きな力になる気がしました。
いったん家に戻り、それからまち中に行くのに、いつものように北海道神宮境内を地下鉄駅まで歩いていました。新雪の歩道は一本道になりますが、時々逆方向から人が歩いてくると、どちらからともなく脇に寄って歩き始めて、相手を通そうとします。長靴を履いている訳でもないので、脇に避けると靴が雪に埋まりながら歩いているのですが、それでも100%そうするのですよ。時々は「おはようございます」と挨拶もしますが、ほとんどの場合は無言で軽く会釈をしながらといった感じで。その時に、私は新渡戸稲造の「武士道」の一節が頭に浮かびました。
第6章「礼」--人とともに喜び、人とともに泣けるか:礼とは他人に対する思いやりを表現すること、で始まる一節。「礼義は優美な感受性として表れる」の項目で、日陰のない炎天下にいる所に、顔見知りの日傘を差した日本人が通りかかる場面の記述です。
時々、新渡戸稲造の「武士道」を、武士の心得と言ったふうに解説している方がいますが、本当に読んだことがあるのでしょうかね。英語で書かれたこの本は、日本文化を欧米に紹介するエッセーみたいな内容であり、これ程几帳面に日本人の風習を説明した文章をみた事がありません。日傘を取って同じ炎天下で語る姿、それにつづく文面では、「つまらないものですが・・・」と言って贈り物をする日本人の心等、実に繊細に、正確に説明している新渡戸稲造の眼差しを感じます。
寒い朝の雪道で、ふとそんな事を思い出しました。