「札幌演劇シーズン冬 2017(http://s-e-season.com/)」が過去最高の観客数、大盛況のうちに終了しました。
今回のパンフレット表紙
今年で6年目、年2回冬・夏なので11シーズン目に入ったこの企画は、札幌で生まれた優れた演劇を札幌の財産として受け継ぎ、札幌ならではの資源として、演劇の持つ力で札幌の街をさらに活力あふれる街に変えていく。札幌演劇シーズンはそんなことを目指している取り組みです。
欧米ではどの街にも図書館があるように劇場が存在し、そこに所属するプロの劇団が蓄えてきたレパートリー作品を長期間にわたり再演し続ける「演劇シーズン」があります。 人々はシーズンを心待ちにし、シーズンが幕を開けると街は観光客で一気に活気づくと言います。私たちはそんな劇場文化を札幌にも根付かせたいと考え、「札幌演劇シーズン」を開催してきています。アメリカ・オレゴン州アッシュランドの「OSF」もその一つです。
* OSF(前) http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18021
* OSF(後) http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18027
「札幌演劇シーズン冬 2017」のラインアップは以下の5作品です。今年の公演は実に多彩、「ゲキカン(http://s-e-season.com/gekikan/)」では観劇した方々の率直な感想が語られています、どれも大変面白いですね、同じ芝居を観てこんなにも多様な受け止め方ができるとは。
* 劇団千年王國「狼王ロボ」 http://s-e-season.com/program/lobo/
* 札幌座「北緯43°のワーニャ」 http://s-e-season.com/program/vanya/
* NEXTAGE「LaundryRoom No.5」 http://s-e-season.com/program/lr/
* 実験演劇集団 風蝕異人街「邪宗門」 http://s-e-season.com/program/jashumon/
* 弦巻楽団「君は素敵」 http://s-e-season.com/program/suteki/
私も「狼王ロボ」にメッセージを寄せました。
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応援メッセージ <秋山孝二/公益財団法人 北海道演劇財団 理事長>
『出会いの感動、大人も子供も楽しめる華やかな舞台!』
「狼王ロボ」との出会いは、2011年11月の札幌劇場祭でした。3・11の大震災を経て、芸術・文化のエネルギーを再確認した一ヶ月で、当時、私は審査員の一員として、まだ一度も演劇を観たことの無いごく普通の市民に対して、劇場に足を運んでもらう努力・意欲が感じられること、何か新しいものを追いかけている姿に注目していましたが、その全てが盛り込まれた素晴らしい作品、大賞・オーディエンス賞を受賞し、今も、当時の感動が甦ります。
劇団代表・橋口幸絵さんが選んだ「狼王ロボ」、シートン動物記から、アメリカの開拓時代に大自然で繰り広げられた狼と人との戦いは、同時に、日本の開拓地・北海道の現在にまで繋がる「人間と野生動物の共存問題」を問う作品でした。肉食生態系の頂点としてのロボ、家畜殺しで憎まれるロボ、その両方に着目し、生きていくことの厳しさや命の尊さ、儚さを描いたテーマ性、更に、ダンス、音楽、装置ほか、大人も子供も楽しめる華やかな舞台になっていましたね。
公演後、私は劇団に道東・標茶町虹別、(株)オオカミの森の主宰・桑原康生さんをご紹介し、皆さんがその後訪問されたことを聞きました。日本では歴史的にも「神」として奉られていた狼、空に向かって高く響き渡る遠吠えを聞きながら、また一つ「野生」の力を感じてくれたことと思います。
2回目のこの「シーズン」公演、関係の全ての方々に感謝し、これからの活躍を大いに期待すると同時に、プロとして生活出来るためにも、多くの市民に劇場に足を運んで頂きたいですね。
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全ての公演が終了した翌日、関係者が集まり反省会を行いました。その時の様子ですが、ひどい写真ばかりでお許し下さい。
「演劇創造都市札幌プロジェクト(http://s-e-season.com/about/about-project.html)」の代表・蔵隆司さんもご挨拶。観客数とか規模の拡大のみを追いかけるのではなく、冷静なこの間の総括と新たな担い手組織の構築等、今後の持続性に向けた冷静なご指摘がありました。さらに今シーズンを終了して、Web解析から様々な傾向と変化をつかみ取ることができました。観客数が最高であると喜ぶだけでなく、マーケッティングの成果、事前告知、盛り上げイベント他、これまでの関係者プラス多くの皆さまのご尽力の賜物であることを、データから読み取ることができます。いずれHPに掲載されるでしょう、そして、今後の新たな飛躍のヒントが盛り込まれています。
各劇場もよく頑張りましたね。事前のチケット販売、当日のお客さばき、劇場経営等、6年間の積み重ねのノウハウは実に貴重な経験の相乗効果となっています。
「演劇創造都市札幌」の蔵隆司代表
Web担当から素晴らしい分析資料!
札幌座の横山さん
舞台に関わる方々ばかりでなく、より多くの支援する企業・団体・人々のお知恵と力を得て、これからのこの企画の発展を期待したいですね。皆さま、お疲れ様でした!