「~危機を好機に変える情報の戦略的活用~」のサブタイトルがついて、日本アイ・ビー・エム株式会社主催のカンファレンスがあり、2000名以上の登録でした。http://www-06.ibm.com/itsolutions/jp/solutions/leveraginginformation/events/iodc2009/
私にとっては本当に久しぶりの情報系フォーラムへの参加でしたが、「情報の価値・認識」では時代の変化を具に感じて、今の時代の難しさも再認識しました。そんな中で私が経営の現場にいる時と変わらないテーマも多く、経営陣にとっては環境は一層厳しくなってきているのだろうと推測しました。このフォーラム、第一回が500名、第二回が1200名、そして今回が2100名の登録と年を追うごとに盛況になっている様子でした。
思い起こせば私は、1979年に札幌に戻って会社に入り、3年後に第2次オンラインシステム構築に向けたプロジェクトの責任者になりました。全社から現場の人間をピックアップして、仕事の分析から始まり、課題の抽出、創業100周年に向けて将来のあるべき姿等、しつこい議論の繰り返しをし続けた事が懐かしいですね。その結果出来あがったシステムは、今も陳腐化することなく動き続けていますから、しっかり議論した結果のシステムの根幹は、時代がどんなに変わっても普遍なんだとつくづく感じています。アプリケーションレベルでは沢山のシステム追加があったとしても、根幹を根こそぎ変える必要はないのです。企業というのも同じで、理念がしっかりしていれば、それに基づく事業も、人々に価値を提供し続けるのだと確信しています。入社間もない私にとっては、出来あがったシステム以上に、短い間に現場の人間たちと沢山のコミュニケーションが取れたし、頭の中だけですが業務の流れを広範囲に掴む事が出来ました。今考えてみると、将来経営者になるのに、最も基本的な実務を学んだ時代でした。
私のシステム担当経験で、一番印象深いのは、「経営シュミレーション」ですね。当時社長だった4代目社長の経営計画策定プロセスを、何とかシステム的に転換出来ないか、ほぼ毎日のヒアリングとコンピューター会社のSEの方との議論の連続、「PLANCODE」というシュミレーションプログラムをベースに休日も返上して、創っていました。1年くらい掛かって、やっと完成と大喜びで実際の経営計画策定で使用を開始。多くの変数を瞬時に変える事で、沢山の場合を想定した計画を策定して、経営者に対して提供できる素晴らしいツールと自負したものでした。ところがそれから数か月後に、今のパソコンレベルで出来るシュミレーションソフトが発売されて、入社1年目の社員でも簡単なシュミレーションが出来てしまうではありませんか。この数年の自分の努力と時間は何だったのか、と嬉しくもありちょっとした虚脱感もあり、複雑な暫くの時間でした。
ツールは簡単になったとしても、なお難しいのが「経営」ですね。外部環境は常に揺れ動き、競争環境も日々変動し、時には追い風、時には向かい風、そして社内環境も新陳代謝をしていくし、人が居るだけで問題が次から次に起きてきます。営業は人の為す技ではありますが、その人であるが故に課題も尽きないです。
まだインターネットというのも無い時代です。「ナプルプスかキャプテンか」、と一生懸命沢山の案件にも首を突っ込んでいましたが、インターネットの普及で世の中が様変わりでした。技術革新の不連続な発展を実感しています。
先日のカンファレンスですが、学者の方の話は難しいですね。簡単な事例をどうして難しく説明しようとするのか。アカデミックセクターには裏付けを得るような貴重な役割と同時に、社員も顧客も研究者じゃないですよ、と言いたくなる場面と同居する様な気がします。
「Information On Demand 」、その「Demand」のプロセスに経営者の力量が問われるのでしょう。