メディア・アンビシャス(http://media-am.org/)(呼びかけ人代表・山口二郎法政大学教授)は2009年に発足し、新聞、テレビの報道を市民の立場から見守っています。その一環として「メディア・アンビシャス大賞」を設け、年に1回、新聞などの「活字部門」、テレビなどの「映像部門」の2部門で、会員同士でニュース・記事、レポート、ドキュメントなどを推薦し、優れた記事・作品に賞を送って称えてきました。私もこの間、世話人の一人として活動しています。
今回の表彰は昨年1年間(2016年1月1日―12月31日)を対象にし、8回目となります。審査及び投票は昨年末の第1次審査会を経て、1月中旬には映像部門の集中上映会を行い、さらに28日に追加候補を加えた最終審査会を開きました。「市民が勝手に表彰」とは言っても、その選考は大変厳密・慎重で、透明性・公正さは年を経るごとに信頼を集めています。
* http://media-am.org/?page_id=894
【活字部門概況】24本の記事のエントリーがあり、12月25日に第1次審査をおこない、広告的なものなど、過去のケースを参考に当初から審査対象を外れるものを除いて選考しました。その結果、大賞には、北海道新聞が11月27日から12月初めにかけて掲載した「原発会計を問う」た一連の報道と連載記事が選ばれました。電気料金に組み込まれる原発会計の問題点を鋭く抉り出し、専門家の意見を加えて易しく解説しており、読者として啓発されることが多かったと評価されました。
【映像部門概況】推薦数は42本に上りました。国外テレビ局の作品など過去の選考事例などから9本を除いて選考対象としました。上映は計17本と、例会時の鑑賞分を加えて20本近くに上りました。視聴していることを条件にした投票及び審査の結果、大賞はNHKスペシャル「村人は満州へ送られた ~“国策”71年目の真実~」(8月14日放送)と決まりました。長野県の寒村から満州へ送り出された村民の悲惨、戦後自殺した村長の苦悩などを淡々と描いたドキュメントです。作品はいったん決まった「国策」という流れを押しとどめることの難しさを浮き彫りにし、現在的な課題として通底していました。
授賞式が今年も「愛生舘サロン(http://aiseikan.net/salon)」で開催され、表彰状授与の後、受賞者によるパネル討論「メディアの今」で、私はコーディネーターを務めました。短い時間でしたが、濃密なやり取りは充実していたと思います。
そして懇親会にも大勢の参加者でした。
2016年メディア・アンビシャス大賞の受賞者(敬称略)は以下の通りです。~~~~~~~~~~~~~~
【活字部門】
〇大賞 ・「原発会計を問う」北海道新聞 11月27日―12月2日の記事と連載
北海道新聞社報道センター 記者 関口裕士
〇メディア賞 ・「憲法を考える 自民改憲草案」朝日新聞 3月―6月にかけて連載
朝日新聞「憲法取材班」(代表 政治部次長 高橋純子)
〇アンビシャス賞 ・「南スーダン派遣と自衛隊員の生命 国防ニッポンのリアル」
サンデー毎日12月4日号、同11日号 毎日新聞東京本社社会部編集委員 滝野隆浩
〇アンビシャス賞 ・「オスプレイ墜落」の現場写真とルポ 沖縄タイムス12月14,15日
沖縄タイムス北部支社北部報道部記者 伊集(いじゅ)竜太郎
〇入選(1作品) ・憲法70年第3部「壊憲のゆくえ」北海道新聞9月5日―11日 連載
北海道新聞社報道センター編集委員 斎藤正明、楢木野寛
【映像部門】
〇大賞 ・NHKスペシャル「村人は満州へ送られた〜〝国策〟71年目の真実〜」
8月14日 NHK名古屋放送局 報道番組チーフ・プロデューサー 加藤謙介、プロデューサー 森田 超
〇メディア賞 ・NHKスペシャル「私は家族を殺した〜介護殺人〟当事者たちの告白〜」
4月9日 「NHKスペシャル“介護殺人”取材班」(NHK報道局社会番組部 チーフ・プロデューサー 横井 秀信)
〇アンビシャス賞 ・Eテレ・バリバラ「検証!『障害者×感動』の方程式」
8月28日 NHK大阪放送局制作部 チーフ・プロデューサー 真野 修一、ディレクター鈴木 伸治
〇入選(4作品)
・NHKスペシャル 「決断なき原爆投下 ~米大統領71年目の真実~」
8月6日 NHK広島放送局 報道番組チーフ・プロデューサー 高倉 基也、ディレクター葛城 豪
・報道ステーション「独ワイマール憲法の〝教訓〟 なぜ独裁が生まれたのか」テレビ朝日(HTB)
3月18日 テレビ朝日「報道ステーション」 松原文枝、池田悠樹
・NNNドキュメント「知られざる被爆米兵 ヒロシマの墓標は語る〜」広島テレビ(STV)
8月1日 広島テレビ放送報道部 加藤 紗千子
・「戦争とは〜記者たちの眼差し 戦後71年の開戦の日に〜」TBS(HBC)
12月26日 TBSテレビ報道局編集部記者兼キャスター 佐古 忠彦
【北海道賞】今回から新設しましたが、該当作なしでした。
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これまでの掲載記事――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83