「42年ぶり国内全原発停止 泊3号機の定検開始:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/370156.html」との新聞の見出し、3・11を経て、「全原発停止」状態が実現しましたが、あくまでも「稼働ゼロ」、「停止」であり、「脱原発」に向けてはしっかりしたデータとロジックに基づく必要があり、予断を許さない状況と見るべきでしょう。
田中優さんは、ご自身のブログ(http://tanakayu.blogspot.jp/2012/05/blog-post_2393.html)で、鋭く「偽装停電」を指摘されています。どんな社会的課題の解決でも同じですが、一見追い風に見える状況というのが最も警戒すべき時とわきまえるべきです、からめ捕られない地に着いた活動を展開しなくては。なぜなら、再稼働を急ぎたい輩の恐れることは、「電力不足」ではなく、「節電等によって原発ゼロ状態で乗り越えてしまう」ことなのでしょうから。
「電力不足は正しい情報に基づいているのか」、「不足の前提にしている条件に恣意的な誘導はないのか」、「昨年の『計画停電』の過ちをどう乗り越えているのか」、全原発停止状態を喜んでいる暇はありません。政府・電力会社は行動で改善・改革を成し遂げているのかどうか、国民は実績をしっかり見極め、データの適時開示を求め続けて、なし崩し的再稼働を許さない見識が必要です。
メディアの誘導に対しても監視を続けなければなりません、電力会社の記者会見での毎回の生ぬるいやり取りでは、国民の前に「真実」を知らしめることはできないではありませんか。今こそ、「メディア」の本来の機能に立ち返ってもらいたいものです、独自のコメントの前に、当事者たちに正しい情報の公開を要求をして明らかにする、そんな原点です。
「原発再稼働」については、3月に私はコメントしました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12331)。とにかく、昨年3・11以降、東電福島第一原発は未だ終息せずに事故は継続中、使用済み核燃料の状態は全く変わらず不透明、泊3号機に溜められている使用済み核燃料についての言及も見つけることは出来ない現状です。複数の事故調査報告に真摯に向き合い、その答えを国民に明示すること、民間企業としてのイロハであり、いやしくも企業経営者の立場に居て報酬を得ている人間の基本です。
先月の富山での経済同友会全国セミナーでは、電力会社の不適切な情報開示に対して、私の想像以上に全国の多くの経営者が憤っていました。そして、原材料の値上がりを理由に電気料金値上げを言いだす電力会社の経営体質に対してもです。日ごろ、コスト削減に真剣に向き合っている経営者の生の声だと感じました。
今回の「停止状態」を契機に、本格的に自然エネルギーを軸とした「代替エネルギーへのシフト」を、新たな技術革新、エネルギー・イノベーションに着手する、それが国際社会の日本復活への道です。