演劇シーズン2012 夏

Posted by 秋山孝二
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 2年目を迎える 「札幌演劇シーズン2012 夏:http://s-e-season.com/season/2012/summer/」が、今年は3つの演目で開催されています。

<シアターZOO(http://www.h-paf.ne.jp/zoo/index.html)>では、

 * 札幌座公演「アンダンテ・カンタービレ:http://s-e-season.com/season/2012/summer/andante/

 * 札幌座公演「瀕死の王さま:http://s-e-season.com/season/2012/summer/hinshino/

<コンカリーニョ(http://www.concarino.or.jp/)>では、

 * コンカリーニョプロデュース公演「歯並びのきれいな女の子:http://s-e-season.com/season/2012/summer/hanarabi/

 日替わりの公演の時もあり、役者のみなさんも大変ですね。毎回、熱演が続いていますが、あと数日で千秋楽を迎えます。

札幌座公演:「瀕死の王さま」の玉座

コンカリーニョプロデュース公演:「歯並びのきれいな女の子」

コンカリーニョプロデュース公演:「歯並びのきれいな女の子」

 

<アンダンテ・カンタービレ:作・演出・音楽 斎藤歩> 今回、これまでと違って一番よかったのは、和尚役のすがのさんではないでしょうか、気合いが入っていたというか、どこか吹っ切れた(?)、ピリッと締まって存在感がありました。「市町村合併」、「自衛隊の海外派兵」等、時の経過を感じさせるセリフも印象的でした。コーラスもそれぞれのパートが格段にランクアップし、歌と芝居が融合して北海道の風が吹きぬける気持のよい作品でしたね。

<瀕死の王さま:作 ウジェーヌ・イヨネスコ、翻訳 大久保輝臣、脚色・演出 斎藤歩> 2回観ました、作がイヨネスコということで覚悟をして臨みましたが、斎藤さんが1時間20分に、セリフも途中で切ってくれたお陰でしょうか、大変コンパクトに分かりやすい作品に仕上がっていました。第二王妃マリー役はダブルキャスト、宮田さんと坂本さんの回とで、こんなにも印象が変わって、王さまの人格まで影響を与えるような気がしました、女性というのは怖いですね。怖いと言えば第一王妃マルグリット役の橋口さん、しかしながら最終フレーズの王さまの臨終場面では、何か彼女に愛おしさを感じてしまいました、結局最後まで寄り添ったのは彼女だと。斎藤さん、橋口さん、弦巻さん、札幌座のスタートでもあり、熱演に感動しました。佐藤さん、高子さんも大変素晴らしかったです。

<歯並びのきれいな女の子:作・演出 イトウワカナ、監修 泊篤志(北九州・飛ぶ劇場)> こちらも座席を変えて2回観ました。特に2回目は格段に面白かったです。最初の観劇は、多少アルコールが入って着席したので、ひょっとしたら申し訳ありません、途中で夢の中だったのかもしれません。大胆な沈黙と緩急にメリハリがあってとても心地よく、舞台にくぎ付けになりました。ごくありふれた「家族」を取り上げて、「遺言書を開く」という非日常的場面での家族の動揺、思惑、等を、コンカリの広大な空間を駆使し、コミカルに描写、演出していて、実に楽しいひと時でした。イトウワカナさんが言う「札幌感」は、しっかり伝わってきましたよ。

 

 最後に、パンフレットにある斎藤歩さんの言葉:

~~~~~~~崩壊しつつある王国とか地域がある一方で、そこで生きていく人間達=個人は、生きるということに貪欲であったり、愚かしくもしたたかであったり、最後まで楽観的な希望を持ちたがっていることが鮮明に浮かび上がります。そうした人間たちの願いとか、絶望への抗(あらが)いのような、ほとばしりが「生命(いのち)」なのかもしれないですね。国王はあらゆる権力を駆使して「死」に抗い、合唱団は声を合わせて歌い上げることで生きている証(あかし)を実感する、そんな2つのドラマなんだと思います。~~~~~~~~~~~~~

 全くその通りだと思います、昨年の3・11以降、「生きている証を実感する」、そんな日々でありたいです。「秋山記念生命科学振興財団」の「生命」も、そんな「いのち」をイメージしています。

 あと残り数日となった「演劇シーズン2012 夏」、まだ間に合います、是非足を運んでみて下さい。役者の皆さんは、大変な毎日でしょうが、濃密なこのシーズン、多くの人々がそれぞれの感動を受けとめていますよ、熱演、本当にありがとうございます!!