原発再稼働について

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 3

 この所、原子力発電の「再稼働」を巡って、いろいろな記事が出ていますが、私はひと言、「新しい組織と人材で、国民の納得する対策を説明をすること」が、最優先の当事者の今の課題だと思いますし、それなしに「再稼働」などあってはなりません。昨年の3・11以降の一連の爆発事故の検証も終了しないうちに、そして、今も尚、継続して危険な状態の東電福島第一原発の状態で、「再稼働」を決めるのは「犯罪」以外の何ものでもありません。

 再稼働させたい電力会社や政府は、「福島第一原発事故を教訓にした安全対策を実施する」、「だから大丈夫だ」という理屈にもならないごまかしで地域住民の理解を得る目論みのようですが、国民をなめるのもいい加減にしろ、と言いたいですね。

 経団連等は、「日本の原発をすべて止めたままにすると、製造業を中心に国際競争力が低下するなど、大きな問題を抱えている。だから原発を再稼働する必要がある」と喧伝していますが、むしろ、3・11以降の国際競争力は、個別企業の問題ではなく、「日本国」それ自体の問題であり、それゆえに福島第一原発事故を幾重にも検証し、そこから得られた教訓を一刻も早く生かした方針・対策を世界に発信しなければなりません。「日本国」の信頼、浮沈が掛っているのだと思います。これまでの地域独占に胡坐をかいた情報隠ぺい、虚偽の説明で、地元住民、国民、さらには国際社会を偽ってきた東京電力は、当事者として総括をしなくてはならないでしょう、少なくとも自立した「企業」であれば当然のことです。そして政府・国会の機能として、東電福島原発事故からの教訓を明らかにして、責任者を「処罰」し、新しい担い手に代えての議論が、最低限の条件だと思います。

 経済云々よりも、生存できるかどうか、これが今の日本の課題であるはず。それを企業競争力とか経済成長とかを声高に言う今の「経済界」の浅薄さに、人材の枯渇を強く感じます。

 このブログを始めて間もなく、2008年11月10日に私は書きました、「『平和』に対して、経営者はもっと積極的に活動をすべきなのではないか:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=70」、と。経済同友会で、永らくご活躍だった品川正治さんは、私の尊敬する経済人で、2009年6月に札幌でご講演もお願いしました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1351)。3・11以降の社会的には、「経営者は、『人間が生きていけるかどうか』に、もっと真剣に向き合うべきではないか」、となっているのだと思います。

 TPPの議論も、原発再稼働も、まさに日本の政府・官僚・アカデミックセクター・経済界の立場のある方々が「メルトダウン」です、今こそ、私たちは、日本国民の「主権」を取り戻さなくては。