今年は、日米開戦(1941年)から70年、映画「太平洋の奇跡~フォックスと呼ばれた男:http://www.taiheiyo-no-kiseki.jp/index.html」は日米のスタッフ・キャスト合同の話題作で、印象深かったですね。
「歴史に埋もれた真実の物語」とチラシにあった通り、私自身恥ずかしながらこう言った事実を知りませんでした、サイパンは玉砕だったと思っていて、です。さらに、この真実がアメリカ人の元海兵隊員ドン・ジョーンズによって明らかになったこと、原作者が戦後に来日して取材を重ねて書きあげた著書であることに、少し残念な気もします。彼は、大場栄大尉の戦いぶりに強い感銘を受けたとも、本人の言葉として語られています。あとがきには、「多くの人たちが、自分たちの父や祖父や叔父たちが、国を守るために戦った精神について何も知りませんでした。もっと驚いたことは、その人たちがしたことに、何の尊敬の念も払っていないことです。私は、このことをとても残念に思います」と記されているそうです。
竹野内豊が演じた大場大尉は、太平洋戦争の激戦地サイパン島で、わずか47人の兵力で4万5000人もの米軍を巧妙な戦略で翻弄し、“フォックス”と畏敬の念を込めて呼ばれていました。ただ、当時の日本兵にあって、「自決するより生きて戦うことを選べ!」という信念を貫き、終戦後の12月に戦没者を弔うべく軍歌を歌いながら投降したという史実を知る日本人は、驚くほど少ないのも事実です。
竹野内をはじめ、作品にかかわったすべてのスタッフ、キャストが伝えたかったことは、「日本人の誇り」だったのでしょうね。俳優、監督の弁(http://dogatch.jp/cinema/taiheiyo/special/)は、大変興味深いです。
* 大場栄大尉役の竹野内豊: 「生きて、日本に帰ろう」、赤ん坊に言うセリフ「生きろ!」
* ハーマン・ルイス大尉役のショーン・マクゴーウァン: 「優秀な軍人は戦争を求めない、戦うのは平和を求める時だけ」
映画にはいくつか印象的なシーンがありますが、私は、投降後、米軍のジープに乗りながら、敵だったアメリカ軍人に対して、「ただ無心に戦っただけ。私はこの島で、誉められるようなことは何もしていません」と、静かに語っている場面が一番でしたね。もう一つ、アメリカ軍の当初の指揮官・ポラード大佐が、日本兵のメンタリティを「理解出来ない!!」と繰り返し叫び、「上官たちがどうして決戦前夜に自ら命を絶つのか」等、たくさんの質問をルイス大尉に浴びせる場面も面白かったです、恐らく多くのアメリカ人、いや現代の日本人でも抱く疑問かもしれません。
この映画をみ終わってから、インターネット検索で映画の周辺情報を読んでいますと、実に多彩で、さらに興味を増しますね。以前にも書いたのですが、演劇(芝居)にも映画作品程の周辺情報があれば、誘いやすいし、もっと広くファンを集められるような気がするのですが、これからの課題でしょう。
竹野内豊(http://www.youtube.com/watch?v=FG3pQiT-d4Y&NR=1&feature=fvwp)の今回の好演は、これまでのイメージを変えるのに十分だったとの評価です。私は、もう少しあくが強くても良かったのかな、と思いましたが。日本軍と現地民間人との葛藤も、沖縄での現実を含めて、見逃してはならないです、軍隊は「何のために、誰を守るために戦っていたのか」、ですね。