シンポ『日本の空と日米地位協定』

Posted By 秋山孝二
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 一つ前のブログに関連して、4月上旬に開催された日本弁護士連合会主催シンポジウム、『日本の空と日米地位協定~401418』はあらためて日本の空の現状を知る機会となりました。

* https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2021/210403.html

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【 プログラム 】

第1部 基調講演

吉田 敏浩 氏(ジャーナリスト)
 「日本の空の主権を制約する米軍空域」をテーマとした基調講演、
日米地位協定とそれを支える政府間密約等により、日本の空の主権が著しく制約を受けていることを解説。羽田や成田を使用する民間機は、米軍のための巨大な空域を避けるため、常に急上昇や迂回を強いられています。主権国家の空を外国に制限されるのはなぜなのか、密室で決められる知られざる法体系を明らかに、歴史の経緯を踏まえて解説されました

第2部 パネルディスカッション

福本 道夫 氏(第9次横田基地公害訴訟原告団長)
山口 宏弥 氏(元日本航空機長)
頼 和太郎 氏(「リムピース」編集長)


 沖縄・本土周辺の米軍の訓練空域の設定・使用状況、横田ラプコンや岩国ラプコンと民間機の飛行制限、低空飛行訓練や対地攻撃訓練の危険性、オスプレイの沖縄・横田等での飛行実態と危険性、航空機騒音被害や航空機事故の実態・問題状況など、それぞれの分野に詳しいパネリストによる討議を受けて、「日本の空」をめぐる日米地位協定の緊要な課題を浮き彫りにし、あるべき対策についての問題提起でした。

 特に元日本航空機長の山口宏弥さんのご経験、民間機の安全運航に関してアメリカ大使館への抗議をした時、当時の駐日アメリカ大使から真摯な謝罪のレターが届いたお話は興味深かったですね、アメリカはきっちり向き合って意見交換すればテーブルに着く用意はあるのだろうとも。

 日本には憲法体系とは別に安保法体系があります。対日講和条約と同時に「日米安保条約」、「日米地位協定」が発効し、地位協定に基づいて協議機関としての「日米合同委員会」が発足しました。この委員会は米軍が日本で占領期と同様の行動を可能とするためのもので、議事録、合意文書は非公開。“航空管制委任”もこの密室内での合意によります。

 横田空域を避けるために、羽田空港から西に向かう定期便は急上昇を強いられ、小松便などはすぐに急降下。また、羽田への着陸時は南を迂回する必要があり、ルートが限られるため渋滞が常態化、ニアミスが懸念されます。民間機の効率的かつ安全な運航を妨げる巨大空域が首都圏にあることは異常です。同じ敗戦国で米軍基地がある独、伊にはありません。この空域は日米関係を象徴しています。

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