振り返り1) ノーベル賞 受賞

Posted by 秋山孝二
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 昨年末は、何かと気忙しく、手元に認めたコメントをアップできずに新年を迎えてしまいました。ここから数回、「振り返り」として続けてアップさせて頂きます。

 まずはその初回です。

 昨年10月にハンガリー訪問から帰国して、Facebookに私は書きました。

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 ハンガリーから戻ってきて久しぶりに日本の新聞を読んで、何とも脆弱な政治状況を痛感!戦争では負け続けているハンガリー、ただ、どの博物館に行っても「祖国防衛のために戦った誇り」を伝える展示が骨太です。それに比べて、「ヤジ懸念で街頭演説日程非公表」?、自らは何のための存在か、何の信念もなく権力を弄ぶ、権力の座にしがみ付く姿はみっともない。今年のノーベル平和賞、文学賞、多くのハンガリーの方から「おめでとう!」の言葉を頂きました、意識の根底にアジアの一員としての我々との連帯意識が。良く今の状況を戦前と似てきたというけれど、市民社会の活動、NGOの存在等、今は、国政の劣化を私たち市民の連帯が補って余りある状況とも言えるのではないでしょうか?それにしても日本の政治はみっともなく、恥を知れ!ですね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ここまででコピーおわり

 2017年のノーベル文学賞を受賞した日系英国人作家、カズオ・イシグロさんが10月10日夜(日本時間11日早朝)、ストックホルム市庁舎での記念晩さん会で行ったスピーチ全文は以下の通り。格調高い内容に、日本人として誇りを感じます。

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 陛下、殿下、そして紳士淑女の皆様。

 大きな外国人の顔、西欧の男の人の顔が、私の本の1ページを埋めるようにカラーで描かれていたのを、鮮明に記憶しています。堂々とした顔の後ろの一方に見えたのは、爆発による煙とほこりでした。もう一方に描かれていたのは煙の中から空へと昇っていく白い鳥でした。私は5歳で、伝統的な日本の家の畳の部屋で腹ばいになっていました。この瞬間が印象に残ったのは、私の後ろの方で、ダイナマイトを発明した人が、その使われ方を心配して(日本語で)「のーべるしょう」を作ったと話す母の声に特別な感情がこもっていたからです。「のーべるしょう」という言葉を日本語で聞いたのは、これが初めてでした。「のーべるしょう」はね、と母は言いました。(同)「へいわ」を促進するためにあるのよ、と。「へいわ」はピースやハーモニーという意味の日本語です。私の街、長崎が原爆によって壊滅的な被害を受けてから14年しかたっておらず、まだ年端もいかない私でも、平和とは何か大切なものであること、それがなければ恐ろしいものがこの世界を襲うかもしれないことを分かっていました。

 ノーベル賞は他の偉大な賞と同じく、小さな子どもでも分かるようなシンプルなもので、それがきっとこれまで長く世界の人々の想像力をかき立て続けてきた理由でしょう。自分の国の人がノーベル賞を受賞したことで感じる誇りは、オリンピックで自国の選手がメダルを勝ち取ったのを見て感じるものとは違います。自分の部族がほかの部族より優れていることを示したからといって、誇りをもったりはしません。むしろ、自分たちのうちの一人が人類共通の努力に著しい貢献をしたことを知って得られる誇りです。わき上がる感情はずっと大きく、人々を融合させてくれるものです。

 私たちは今日、部族間の憎しみがますます大きくなり、共同体が分裂して集団が敵対する時代に生きています。私の分野である文学と同じく、ノーベル賞は、こうした時代にあって、私たちが自分たちを分断している壁を越えてものを考えられるよう助けてくれ、人間として共に闘わねばならないことは何かを思い出させてくれる賞です。世界中で母親たちがいつも子どもを鼓舞し希望を与えてきたような、母親が小さな子どもに言って聞かせるようなものです。このような栄誉を与えられて、私はうれしいと思っているでしょうか? ええ、思っています。私は受賞の知らせを受けて直感的に、「のーべるしょう」と声に出し、その直後に、いま91歳の母親に電話しました。私は長崎にいた時、既に多少なりとも賞の意味を理解しており、今も理解していると思っています。ここに立って、その歴史の一部になることを許されたことに感動しております。ありがとうございます。

https://mainichi.jp/articles/20171211/k00/00e/040/177000c

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 同じく2017年のノーベル平和賞を受賞したNGO「ICAN(http://peaceboat.org/21213.html」を代表して、ベアトリス・フィン事務局長と広島の被爆者であるサーロー節子さんが共同して、ノーベル平和賞受賞講演を行いました。

 この演説と講演の日本語訳を以下からダウンロードできます。なおこれらの日本語訳はピースボートによる非公式訳であり、英語の原文の著作権はノーベル財団にあります(© THE NOBEL FOUNDATION, STOCKHOLM, 2017)。聴衆の真剣な眼差し、節子さんの力のこもった語りとスピーチ、これにも日本人としての誇りを感じます。

http://peaceboat.org/22083.html

https://www.youtube.com/watch?v=W_nIa520gu0

 日本国政府のみっともなさとは裏腹に、世界で活躍する日本人の素晴らしさ、国破れても人財あり、でしょうか。政治家の劣化と恥さらしをカバーして余りあるお二人の国際舞台でのスピーチでした。