姉妹都市・ポートランド 訪問 (6)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 今回の大きな目的、ポートランド州立大学のローレンス・コミンズ教授が指導する「英語版 仮名手本忠臣蔵」の公演を観劇。英語名では「The Revenge Of The 47 Loyal Samurai」、「仇討ち」は「Revenge」か、とあらためて考えさせられました。

 場所は、ポートランド州立大学(PSU)キャンパス(http://www.pdx.edu/)内のリンカーンホールです。

 公演動画はこちら――> The Revenge Of The 47 Loyal Samurai 忠臣蔵

Part 1 https://www.youtube.com/watch?v=_mdOmTtxwZ4&feature=youtu.be

Part 2 https://www.youtube.com/watch?v=SxQ_f3dQvzc

場内は公演かなり前からお客さんがたくさん

場内は公演かなり前からお客さんがたくさん

前半・後半、それぞれに登場

前半・後半、それぞれに登場

公演終了後、楽屋でコミンズ先生とご一緒に観劇した徳島大の吉田敦也教授

公演終了後、楽屋でコミンズ先生とご一緒に観劇した徳島大の吉田敦也教授

ホール壁にはオーディションの案内等も

ホール壁にはオーディションの案内等も

 今回の件、2月に北海道新聞に公演が紹介されたので、すぐに足を運ぶことを決めました。コミンズ先生とは30年前にお会いして、姉妹都市交流に基づく、PSUと札幌の地場企業とでプログラムを構築した懐かしい思い出がありましたので。

 HPで事前に紹介サイトを見る限り、顔の骨格、体格が違う侍ほかに、正直、かなりの違和感があったのですが、実際、公演を2回観て、どんどん引き込まれていくクオリティに感動しました。目の動き、指先まで行き届いた仕草、足の運び等、当時の文化をしっかり理解している様子が、観客席からもよく分かりました。むしろ、会場の観客の方が、やや複雑な場面転換についていっていなかったかなと思われます。私の前の少々ご年配の男性は、しきりに首を傾げて、明らかに「よく分からないな」という感じでしたから。

 海外公演では、舞台それ自体の興味はもちろんありますが、お客さんの反応、どんな場面で湧いて、どんな場面で静まりかえるのかも楽しみです。今回は、判官側が師直側をやっつける場面は拍手喝采、逆の場合は遠慮のないブーイングで、分かりやすい観客の反応に思わず笑ってしまいました。

 前半、後半のそれぞれ冒頭に、文楽を醸し出す人形を使っての簡単なストーリーの説明も面白かったです、お客さんに「掛け声」を遠慮なくするようにとのリクエストもあったりして。後半に入って、私自身、何か心の底から感動しましたね、アメリカ人の学生が、この演目に挑戦している真摯な姿、そしてここまで指導してきたコミンズ先生はじめPSUの日本科の教員集団、さすがにドナルド・キーンさんの教え子たちと唸らせるレベルの高さと集中力になのかも知れません。この公演に参加した学生は、正式の何クレジットかの単位認定になるのでしょうが、それを越える日本文化への造詣を深めたと思いますね、とにかく、すごい取り組みだと2回とも余韻を楽しみながらPSUキャンパスを後にしました。

 終演後に楽屋を訪問すると、演じたたくさんの学生たちの達成感に満ちた笑顔が印象的でしたし、コミンズ先生ともお疲れのところ、今後の札幌の演劇集団との何がしかのコラボレーションもお約束して参りました。

 本当に異文化理解とはここまでやれるのかと、久しぶりに深い感動を覚えました、皆さん、お疲れさま、そして、ありがとう。