秋山財団贈呈式 2014 (1)

Posted by 秋山孝二
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 「公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団(http://www.akiyama-foundation.org/」の一年で一番のイベント、「特別講演会」と「贈呈式」が、200名の出席者で盛会裏に終了しました。当日の様子は、後日、秋山財団HPに掲載されると思いますので、是非ご覧ください。(http://www.akiyama-foundation.org/news/1020.html

< 特別講演会 >
 昨年に続いて今年も、特別講演の前に「受領者からのメッセージ」を企画しました。これは、今後の研究やプロジェクトの理解者を拡げる「場」を創り出したいとの趣旨で、最前線のお二人の若き研究者と、冬場の災害に直面した時の「生きぬく力」を提唱される、ネットワーク形成事業助成の受領者お一人、合計3名に発表して頂きました。研究者としての取り組みが率直な語り口から伝わり、活動については、実証的な取り組みの成果を知ることができました。

〇 「受領者からのメッセージ」

・『乳腺胞上皮細胞における乳汁分泌機構の解明』 北海道大学大学院農学研究院 助教 小林 謙 様

・『私が研究をする理由』 北海道大学大学院歯学研究科 助教 佐藤 真理 様

・『冬の万が一を想定した寒冷期災害対策の実証と提案』 日本赤十字看護大学看護薬理学領域 准教授 根本 昌宏 様

特別講演、贈呈式のしおり (秋山基氏 撮影)

特別講演、贈呈式のしおり (秋山基氏 撮影)

開会前から多くの参加者 (秋山基氏 撮影)

開会前から多くの参加者 (秋山基氏 撮影)

〇 特別講演会

・講師:小澤 祥司 様(環境ジャーナリスト・環境教育コーディネーター)

・演題:『 地域を潤すエネルギーの選択

~ 持続可能なエネルギーシステムへの転換 ~ 』

 特別講演会では、環境ジャーナリストの小澤祥司さんを東京からお招きして、私が座長を務めました。

< 講演要旨 >

  東日本大震災とそれに引き続く東京電力福島第一原発の事故によって、日本のエネルギー状況は大きな転換点を迎えたといえます。事故前には、気候変動を防ぐためとして原子力発電の比率を高める政策が進められようとしていました。

 しかし福島原発事故であらためて原発の危険性と廃棄物処理の困難さが浮き彫りになり、新設はおろか再稼動も容易には進められない状況になっています。一方で、化石エネルギー資源の枯渇する状況もそう遠くない将来に訪れるでしょう。もともと原子力発電は危険であるばかりでなく、非効率な発電方式です。私たちはややもするとエネルギー=電気と思いがちですが、私たちが使うエネルギーのうち電気の比率は小さく、また実際に電気でなくともよい用途は多いのです。

 自然エネルギーの活用を考えるときにも、電気へのこだわりを捨て、より効率のよい使い方を選択することが必要です。それには、現在の大規模集中型からコミュニティ型(小中規模分散型)へのエネルギーシステムの転換が必要になります。この転換は、海外や域外への経済的な依存を減らし、地域に雇用を生むことにもつながります。内外ですでにそうした取り組みは進んでいますし、自然条件に恵まれた北海道はエネルギー自立の可能性に満ちていると思います。

<経歴>

1956年 静岡県掛川市生まれ、1980年 東京大学農学部卒業、出版社に勤務の傍ら自然保護ボランティア活動に参加、1986 チェルノブイリ原発事故をきっかけにエネルギー問題・地球環境問題に関心を深める、1990 以後、自然環境教育や自然エネルギーの普及をテーマに活動、2011 東日本大震災後に福島第一原発事故による汚染に見舞われた福島県飯舘村民の支援活動、放射能汚染調査に携わる

<著書>

『エネルギーを選びなおす』(岩波新書)、『減電社会』(講談社)、『飯舘村 6000人が美しい村を追われた』(七つ森書館)、『コミュニティエネルギーの時代へ』(岩波書店)、『メダカが消える日 自然の再生を求めて』(岩波書店)、ほか多数。