大地震、今、感じること(7)

Posted by 秋山孝二
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 もうすぐ大震災から一ヵ月が経とうとしています。数回前にも書きましたが(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7320)、このところ、的を射た発言、感動する番組も増えています。

 経営共創基盤CEO(http://www.igpi.co.jp/)・冨山和彦さんの文章、産業再生機構時代から彼の発言には注目していましたが(http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/person/interview/070424_toyama1/)、朝日新聞(4月2日)のオピニオン「3・11再起」で、「すべては『子どもの為に』」と題するメッセージは心に染み入ります。

・・・・これからの日本再興で一番大切なことは、すべての政策やプランを「子どもたちにプラスかマイナスか」で判断することです。「国は何をしてくれるか」ではなく、「あなたは国の未来のために何ができるか」を問うこと。それを国民に問う勇気のあるリーダーを選ぶこと。だから町づくりも、さらには国づくりも30代までの若い世代に任せたい。50年後にも生きているだろう彼らが、未来を決めるべきです。それより上の世代は、子どもたちのためにどれだけ犠牲になれるか、当然と思っている既得権益をどれだけ捨てられるか、が問われる。年金受給権も、医療保障も、あるいは年功序列や終身雇用も、それが大事です。すべての政策や復興計画は、子どもたちの未来を軸に考えていく。・・・・・

 NHK教育テレビ(4月3日夜10時から)のETV特集「原発災害の地にて~対談玄侑宗久・吉岡忍:http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html」は、原発事故下の福島県にて直近の取材で、大変説得力がありました。福島県三春町の福聚寺住職・玄侑宗久(http://www.genyu-sokyu.com/)さんの言葉の力、近隣住民の元高校教師の放射線量観測データ、避難所の漁師の証言等、東京電力ほか原発関係者を含む諸中央官庁への不信感、自らのデータ蓄積と研ぎ澄まされた判断で行動する自立性、等です。今回「亡くなった命」が生き残った人々へ与えるメッセージをしっかり受け止めて、私たちには新たなより良き社会を構築する使命がある、そう私は理解しました。

 プロゴルファー・石川遼くんの今年の賞金全てを被災者支援への寄付とする報道にも感動しました。ただのパフォーマンスではなく、マスターズトーナメント(http://www.tbs.co.jp/masters/)を間近に控えて、今回の被災者に心を寄せるその姿勢、19歳の人間とは思えいない、いやそれゆえの崇高な志に涙を抑えることができませんでした。自身の成績と金額を連動させたことについて、「こんな時に、ゴルフをやっていていいのだろうかとも考えました、でも復興には長い時間がかかると思う。皆さんと一緒に戦っていく形にしたかった」とインタビューで答えていました、何というプロゴルファーでしょうか。

 昨日、スイスの金融機関の方から連絡が有りました。「日本の原発事故の推移の中で、少なくともヨーロッパの多くの人々は、日本の関係当事者たちの発表に強い不信を持っている」と。爆発当初にアメリカ原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Comission:http://www.nrc.gov/の責任者が語った悲観的予測の通りに事態が進んでいると認識していて、日本の復興により経済が上向きになるのは10月以降ではないか、との観測が定着しつつあるようです。さらにフランスのサルコジ大統領の緊急な訪日も、来年の大統領選挙に向けては裏目との見方が大半とか。

 NRC は3月21日に、福島第一原発事故に関する公聴会を行いました。その中で、NRC は現在、福島第一原発事故に関して、主に3つの活動を行っていることを明らかにしています。1つ目は、日本政府、およびNRC の連携先である原子力安全・保安院に対する支援、2つ目は、情報収集とその情報にもとづく日本国内のアメリカの施設への安全性評価、3つ目は、アメリカ大使館への支援です。

 福島第一原発事故の現状も説明されましたが、日本側から提供される情報は記者会見で発表される程度のもので、NRC が独自の解析を行うに足るものではないようです。「正確な状況を理解することは非常に難しい。情報はときに錯綜しており、技術者が詳細な解析をするために必要なレベルではない。そのため、われわれは最良の理解のための情報を収集するのに多くの時間を費やしている」と、責任者(Executive Director for Operation )のウィリアム・ボーチャード氏は語りました。

 気象庁の事故現場付近の風に関する定点観測情報も、海外からのメッセージの方が迅速で正確のようですね(http://takedanet.com/2011/04/47_afa2.html)、国内ではなぜか急に発表されなくなったのですから。今の情報時代、NHK教育テレビに出演していた福島県三春町の福聚寺住職・玄侑宗久もおっしゃっていましがが、とにかく出来るだけ早く測定値を発表さえすれば、分析等は世界の専門家たちが瞬時に寄せる時代である、と。「Twitter」がわずかの文字数でもなぜあれ程のネットワークを形成できるか、それは個々のメッセージを読んだ人たちが、次々にメッセージを寄せることにより、瞬時にネットワークが形成されていく、質の進化がなされる、そういう時代なのですよね。

 情報制限下の日本社会、「国への幻想」は早々と捨てて、私たちの身の回りのできる活動からやっていきましょうよ!未来は予測するものではなく、創っていくものであることを信じて、です!