『雨はすべてを洗い流す』、上映&トーク

Posted by 秋山孝二
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  昨日は、2010年最初の「メディア・アンビシャス:http://media-am.org/」例会で、会員多数の出席で活発な意見交換も続き、大変内容の濃いひと時でした。

 uhb制作:2009文化庁芸術祭参加ドキュメンタリー作品『雨はすべてを洗い流す』の上映と、ゲストとしてディレクターの後藤一也さんと編集の定居孝行さんにお越し頂き、在宅死の痛みと夫婦・親子の絆の再生を追う姿をリアルに伺うことが出来ました。

メディア・アンビシャス ちらし

メディア・アンビシャス ちらし

  大きな課題を抱える現在の在宅医療、それを怒り告発するというよりも、その中で在宅死を迎える患者さん本人と、それに真摯に向き合う家族の強さ・美しさに焦点を当てたドキュメンタリーです。昨晩の議論にもなっていましたが、11月末に放映された実際の番組とは違いコマーシャル抜きの作品でしたので、より一層ストーリーの連続性が把握できて、新たな感動を与えたようです。以下、意見交換の中から思い出すものを幾つか。

* 医療制度の改定により、末期がんの告知を曖昧にされたままの状態で退院を迫られている多数の患者の存在

* 「在宅死は素晴らしい」はずだったにもかかわらず、現実は「在宅死」は何と厳しい現実か

* 「怒り」では人の気持を変えられない、「悲しさ・美しさ」という方向へ

* 患者本人の人生を受け入れてくれた医師・家族を含めた周囲の人々により、患者の表情が大きく変化していく様子

* 「在宅で看取る意味」、それをガン患者の娘は「親の為に家に帰ってきた」と言った

* 「死と向き合う」、それは家族の絆の深化・進化、「死・痛み・絶望」は、家族・共同体の絆の確認の場

* ドキュメンタリー作成とは、「相手の物語に入っていくプロセス」、すなわち「一緒に紡ぎだす」作業

* 視聴者の想像力・空想力は作者の予想を越えるもの、説明のし過ぎは制作者のおごり

 映画では名画座で再上映とか、DVD化とか、再び見る手立てがあります。テレビ番組では、NHKではアーカイブスとかオンディマンドとかで再度見られますが、民放のドキュメンタリーはそんな手段がありませんね。東京・新宿には吉岡忍さん、森達也さん等が企画する「ドキュメンタリー酒場」という場があるそうです。

 そう言えば2月15日のメディア・アンビシャス例会では、森達也『ドキュメンタリーは嘘をつく』を題材にする予定です。

 お二人のゲストのお話は、私にとっては大変新鮮な内容ばかりで感動致しました。これからもご活躍して下さい。