後期高齢者医療と地域連携

Posted by 秋山孝二
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 医業経営セミナーで、旭川医大学http://www.asahikawa-med.ac.jp/new04/gaiyou/gakucho.html・吉田晃敏学長、医療法人財団夕張希望の杜http://www.kibounomori.jp/・村上智彦理事長、厚生労働省保険局・宇都宮啓企画官がパネラーのフォーラムがありました。それぞれご自分のフィールドから、貴重なお話の数々であり、秋山財団の理事でお世話にもなっている吉田学長は、立体ハイビジョン等を駆使しての遠隔医療の実践を、映像を使っての分かりやすいご説明、村上理事長は、地域医療について、行政・メディアへの問題提起を織り込みながら、夕張市の破綻の現実の中で、力強く活躍する姿に説得力を感じました。

昨年は「後期高齢者」という言葉に批判が集中しましたが、医療保険制度に近い位置で仕事をしていた私にとっては、この言葉への批判に当初は戸惑いを感じました。それ程、関係者の間では、日常的に使われていましたので。「終末医療」、「末期医療」、「前期高齢者」、とともにです。しかしながら、新たな社会制度として幅広い国民への説明には、ごく常識的言葉とか、事前のきめ細かい説明等が必要な事を痛感致しました。思い起こせば、介護保険導入に当たっての繰り返し全国で開催された説明会・意見を聴く会等の地道な努力と比べると、昨年の「後期高齢者医療制度」の導入時は、事前の努力が足りなかったとの批判も甘んじて受けざるを得ず、一層その説明責任の大切さを認識します。政策立案者の「コモンセンス」の重要性とでも言うのでしょうか。

その点、現場で日々悪戦苦闘する方のお話には、地域で暮らすごく普通の人(?)の息使いを感じて、「なるほど」と思う部分が多いですね。「村上スキームhttp://item.rakuten.co.jp/book/5703344/~地域医療再生の方程式」で村上先生も語られていますが、「生活習慣の重要性」とか、「赤ひげを作らない」、「医師に、骨を埋めよとは迫るな」とか、医療を担う側の生の声を率直に聞く事が出来ました。以下は、お二人のお話からの私の心に残ったお言葉の数々です。

吉田先生 *地域連携は同時に世界連携

       *個人の医療情報は個人で管理する時代

       *広大な北海道では、人(医師・患者)が動くのではなく、情報を動かす事で地域医療を創り出すべき

       *健康増進で、ITは極めて有効

村上先生 *夕張は日本の縮図

       *大量の医療費未納、市営住宅費滞納、学校給食費未納等、地域住民は「かわいそう」ではないだろう、義務を果 

       たしていない人と果たしている人とが、同じサービスを受ける事は問題ではないか

       *医療崩壊の原因は、都市部への患者集中、地域医療・連携は「棲み分け」であり、高齢者医療は「予防」と同時

        に「生き甲斐」が必要であり、医療はその手段と考えるべき

       *都市部は「戦う医療」で、地方は「支える医療」

私の高校同期で首都圏で活躍する医師の数人が語っていました。「自然環境が豊かで身近な北海道で医療を行いたいという医師は、自分の周りにもかなりいるよ。ただ、行政とか地域住民から、骨を埋めろと言われる事が一番の障害だろうね。そこまでの決断を迫られると躊躇してしまう。半年とか1年間の契約で、複数の医師或いは医療機関と契約してローテーションを組んで担い手を安定供給する、そんな仕組みを地元は考えられないものか」と。

医療を巡る最近のメディアの報道を読んでいると、あまりに患者サイド一辺倒という気がします。医師・コメディカル等の担い手にとって持続可能でない限り、結局は患者にとっても不都合な医療となってしまうのではないでしょうか。