激動の時代を拓く人間力を!

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 新渡戸・南原賞(http://www.akiyama-foundation.org/nitobe/)の第二回受賞者、湊晶子(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7346)先生は、東京女子大学(http://office.twcu.ac.jp/info/index.html)の学長を2002年から2010年までの8年間お務めになりました。

 この度、「これからの日本を、また世界を担ってくださる若い皆さまの心に届いてほしいと願いつつ、心をこめて作成しました。たとえどのような苦境の中にありましても、希望をもって人生の途上を前進してほしいと願ってやみません」と、緊急私費出版されました。「卒業したあなたへ、入学したあなたへ、激動の時代を拓く人間力を!」です。

 新渡戸稲造先生について、これまでこの欄には何回も書いてきました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E6%96%B0%E6%B8%A1%E6%88%B8%E7%A8%B2%E9%80%A0)が、湊先生のこの著書の中で、随所に新渡戸稲造先生の言葉が引用されています。 

* 「日本人に最も欠けているものはPersonality(人格)の観念であり、PersonalityのないところにはResponsibility(責任)は生じない」

* 「知ること(to know)」よりも「実行すること(to do)」、「実行すること」よりも「存在すること(to be)」が重要である

* リベラル・アーツ教育について:「内観外望」の中で、「学問の第一の目的は人の心をリベラライズ(自由)するということ、エマンシペイト(解放)することである」

 

 添えられた湊先生からのお手紙には、「・・・・・・第一線を退いた私にも何かできないかと思いを巡らしていた時に、8年間の学長時代に、卒業式・入学式で語ったメッセージを小冊子にして、これからの日本を背負って下さる若い方々に届けたいという思いが湧きあがってきました。被災地の復興のために用いて頂きたく私費出版致しました。全て被災地の復興のために捧げさせて頂く所存です。一日も早い復興を祈りつつ、心をこめて作成致しました。・・・・・・・」、そして最後に、「新渡戸先生のご功績を世に広める責任があると思っています。」と結ばれていました。

「第7回新渡戸・南原賞」受賞式

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  今年の秋山財団「第7回新渡戸・南原賞」受賞式が、先日東京で開催されました。2年前に当財団でお引き受けした事業です(http://www.akiyama-foundation.org/nitobe/)が、今年の受賞者は、

*北海道大学名誉教授・三島徳三(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%B0%C5%E7%C6%C1%BB%B0)さん

*成蹊学園専務理事・加藤節(http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/2421704.html)さん

です。この事業の鴨下重彦代表がおっしゃっていますが、「この賞は受賞された方々のご活躍で一層価値が高まっていく」のです。今年の贈呈式・祝賀会にも、素晴らしい方々が駆けつけて来られました。

資生堂相談役 池田守男 氏

資生堂相談役・第3回受賞者 池田守男 さん

元東京大学総長 佐々木毅 氏

元東京大学総長 佐々木毅 さん

韓国・成蹊大学教授 李 静和(リ・ジョンファ) 氏

韓国・成蹊大学教授 李 静和(リ・ジョンファ) さん

朝日新聞論説委員 辻 篤子 氏

朝日新聞論説委員 辻 篤子 さん

前東京女子大学学長 湊 晶子 さん

当事業運営委員(前東京女子大学学長) 湊 晶子 さん

 それぞれの先生方からは、貴重なメッセージの数々を頂きました。「賞の存在意義、それは社会に対する強いメッセージの発信であり、積み重ねることで価値が高まっていくのでしょう」、「時代と人間」、「実践と理念」、「思索と思考する姿」、「密かに闘っている人々への熱いメッセージ」等、心に響く言葉がご来賓の方から発せられました。

 2年前に、この事業を引き受けるに当たって、お墓参りと故郷巡礼に行ったのを思い出しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35)。新渡戸稲造、南原繁、お二人は大変困難な時代に生きた稀有な人物ですが、その哲学と信念は今の時代に一層学ぶ価値があるように思います。先日の受賞者・関係する方々のお話から、現在の日本を憂う気持と強い危機感と同時に、若い世代育成への並々ならぬ意気込みを感じ、日本の「良心」に勇気づけられました。

新渡戸稲造と妻メアリーの精神

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  「現代を生かす新渡戸稲造と妻メアリーの精神(こころ)――教育と平和」と題して、東京女子大学(http://www.twcu.ac.jp/)前学長・湊晶子先生のご講演でした。湊先生は、秋山財団の一つの事業「新渡戸・南原賞:http://www.akiyama-foundation.org/nitobe/」で、その運営委員会メンバーのお一人です。この賞を秋山財団が受け継いだ経緯は一昨年のこの欄に掲載しています(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35)。

素晴らしいご講演でした

素晴らしいご講演

  前日の夜は、お忙しい中お時間をとって頂き、夕食をご一緒にする機会もあり、じっくりお話を伺うことができて光栄でした。昨日のご講演も含めて、体が感動で震えるとでも言うのでしょうか、素晴らしいメッセージの数々でした。

 新渡戸稲造はご承知の通り、初代の東京女子大学・学長、湊晶子先生は、新渡戸稲造の妻メアリーの研究でも有名な方です。札幌ANAホテル玄関横に、1891年1月1日にアメリカで結婚されてすぐに帰国、札幌農学校教授となった時の官舎跡碑があります。写真の2階窓から姿を見せているのがメアリー夫人です。別件ですが、この年に秋山愛生舘が地元企業として創業しています。恐らく札幌の街中のどこかで、新渡戸稲造・メアリーと初代秋山康之進が出会っていたかも知れません。

札幌ANAホテル玄関横のパネル

札幌ANAホテル玄関横のパネル

 1894年に遠友夜学校(http://www.city.sapporo.jp/kyoiku/youth/enyuyagakko/index.html)を創立し、初代校長に稲造が、没後妻メアリーが就任しました。 

 湊先生は、第13代の学長、卒業生では初めてで、女性では安井てつ先生に次いで2番目です。新渡戸稲造とメアリーの教育者としての足跡、特に女子教育への造詣、平和主義者としてのメッセージを語られました。著書では、『新渡戸稲造と妻メリー』、『女性を生きる』ほか多数あります。以下昨日のお話からいくつかを。

* 稲造はジャンヌ・ダルクが好きだった?――大学に所蔵されている資料のかなりの部分は彼女に関わるもの

* 二人が実践した「リベラル・アーツ教育」は、いわゆる「一般教養」などではなく、「自信」と「喜び」を通して得られる「生きる力」そのものである

* 知識として教えられることをすべて忘れた後に残っているものが教養である

* 人はどこか動じないところ、譲れぬという断固とした信念がなければならない

* 「太平洋の橋」として、『武士道』を英語で出版した。副題は「Sole o Japan:日本の心」、「武士の心得」を書いたものではない

 湊先生は、最後に「二人から現代へのメッセージ」とおっしゃって、講演を結ばれました

1) 一人称で語れるわたしに ―― To know, to do, to be :知ることよりも実行すること、実行することよりも私が私として存在することがまず大切で、価値がある

2) 責任を取り得る人物に ―― 「自分を治める」こと :Personality(人格)のないところにはResponsibility(責任)は生じない :別の表現では、「孤独に勝て」と

3) 平和をつくり出す人に ―― 「寛容の精神」、「私と公と公共」の理念を :当時は「滅私奉公」に象徴されるように「公=国家」だったが、本来は「公=個の集合体」であるはず、そして「つくり出す」のは、「参画する」ことから始まる

2004年に姿を消しましたが、左下に太平洋もありました

2004年に姿を消しましたが、左下に太平洋もありました

 お札から姿は消えましたが、私たち北海道の人間の心の原点として、再度その「精神(こころ)」を見つめ直したいものです。ゆかりのある場所は、大切に保存し、札幌市民として一層誇り高い場所としていきたいですね。

 湊晶子先生、貴重なお話の数々をありがとうございます、心から感謝申し上げます。

秋山財団贈呈式ほか、終了です

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 (財)秋山記念生命科学振興財団http://www.akiyama-foundation.org/の今年度の講演会・贈呈式が、先日沢山の方々のご参加を得て終了致しました。

今年は講演会として、幅広くご活躍の香山リカさんをお招きして、「『強い人』と『弱い人』がともに生きられる社会とは」というテーマで430名を越える出席者でした。質問も多数寄せられていました。 

香山リカさん

香山リカさん

毎日新聞コラム「こころの万華鏡」http://mainichi.jp/life/health/kokoro/、北海道新聞の毎日曜日生活欄のコラムでも連載されています。

贈呈式では秋山財団賞・研究助成・市民活動助成・ネットワーク形成事業助成等の受領者の参加で盛況でした。

http://www.akiyama-foundation.org/what/index.php?year=2009&mon=06&day=29#16

 

一方、実質的には今年度から秋山財団で引き継いだ「新渡戸・南原賞受賞式(第6回)」が、14日に東京神田・学士会館で開催されました。今年度の受賞はお茶の水女子大学名誉教授、数学者・作家の藤原正彦さんと、元東京大学出版会専務理事の石井和夫さんに決まりました。これまでのご功績を讃える多くのお言葉が披露されました。

石井和夫さんと藤原正彦さん
石井和夫さんと藤原正彦さん

会場には、マラソン解説でお馴染みの増田明美さんもご出席になり、素晴らしいご祝辞を述べられました。授賞式では私の隣だったので、先日の北海道マラソンでの解説に感動した事をお話致しました。

それぞれにご参加の皆様に心から感謝を申し上げます。

新渡戸・南原賞の再出発にあたって

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 昨年末に、講演で札幌にいらっしゃっていた順天堂大学の先生から、新渡戸・南原賞のお話を伺いました。5年間、新渡戸稲造、南原繁のお二人の偉大な教育者の軌跡を記念して、授賞事業を継続していたそうです。財政的事情から、今後の事業継続に懸念が出てきて、受け皿を模索中とのお話でした。

 一方秋山財団では、この間の努力により新たな財源が生み出されて、新規事業の検討を行っていました。テーマ性のある事業への支援、将来の新しい担い手を育成する事業等への応援を軸に構想を練っていた時だったので、この新渡戸・南原賞の件を伺って、トントン拍子に事が進み、来年度から秋山財団での事業とする事に致しました。

 私は、何か事を始める時に、「原点」を大切にしたいといつも思うのです。新渡戸稲造、南原繁という人物はどこに生まれ、どういった時代、どんな人生を生きた方なのか、まずお二人が眠る東京の多摩霊園に墓参に参りました。6月8日、この事業の代表者東京大学名誉教授の方、他2名とご一緒に、新渡戸稲造、内村鑑三、南原繁、矢内原忠雄の各墓前にお花を捧げ、各先生のご功績等を話合いながら、約2時間を掛けて回りました。途中、日本海軍の英雄、東郷平八郎、山本五十六の墓前にもお参り致しました。私の父、秋山宏(旧姓野田宏)は海軍兵学校66期卒で、キスカ撤退作戦、レイテ沖海戦で旗艦の通信長を務めましたが、2年前に90歳で亡くなりました。

 8月末に、その父の故郷青森県八戸市で「いとこの会」が開催されました。20名程の親戚が一堂に会し、在りし日の先祖をそれぞれに語り、絆を再認識しました。翌日に妻と二人で、盛岡市の先人記念館に紹介されている新渡戸稲造の資料、花巻市の新渡戸稲造記念館を訪問して、あらためて新渡戸稲造の多彩な功績の数々に圧倒されました。

 そして、先日10月23日、四国香川県東かがわ市三本松の南原繁の生誕地を訪問することが出来ました。今も現存する県立三本松高校の同窓会100周年会館内の記念展示を拝見して、今もなお地元でしっかり受け継いでいる南原繁の精神を目の当たりにして、その偉大さとそれを継承している帝國製薬社主の方をはじめとする地元の方々の活動に、強く感動しました。大坂峠からみる景観は、南原繁がしばしば思い出したふるさとの原点となっているとの事でした。

 私もこれまで数多くの国・都市を訪問しましたが、結局自分の心の中にある原風景は、ふるさと札幌の藻岩山であり、豊平川の水の流れであり、円山公園の空に向かう木々でした。

 どんな時代においても、変わらぬ立ち位置、ポジショニングは、すなわち変わらないミッション(使命)を意味している訳で、今年の故郷巡礼の旅は大変貴重なひとときとなりました。